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【将棋】羽生善治九段の通算勝率を最速で5割にする方法を考える

※ この記事は、以前書いた https://okoucho.hatenablog.com/entry/2018/05/19/183756 のリバイス版です。
羽生九段は当時より勝ち越し数を増やしているので、通算勝率5割の達成がさらに困難になっています。


発端

こちらの記事を読んで思ったのですが、あくまで理屈の上でなら、羽生善治九段はどこまで早く負け越せるのでしょうか?

この記事を書いている2023年12月8日現在、通算成績|成績・ランキング|日本将棋連盟によると、羽生九段の現在の成績は1552勝687敗であり、通算勝率5割を達成するには、あと865敗が必要です。
年間30敗しても29年かかる程の白星貯金を有していますが、その貯金を崩すために、各棋戦でどこまで黒星を稼いでいけるのかできるか考えてみましょう。

棋戦について

羽生九段が参加できる棋戦は現在13個です。

$$
\begin{array}{|l|l|l|} \hline
棋戦名 & 予選・本戦 & タイトル戦 \\ \hline
竜王戦 & トーナメント形式 & 七番勝負 \\ \hline
名人戦・順位戦 & リーグ形式 & 七番勝負 \\ \hline
王位戦 & 予選:トーナメント、本戦:リーグ & 七番勝負 \\ \hline
叡王戦 & トーナメント形式 & 五番勝負 \\ \hline
王座戦 & トーナメント形式 & 五番勝負 \\ \hline
棋王戦 & トーナメント形式 & 五番勝負 \\ \hline
王将戦 & 予選:トーナメント、本戦:リーグ & 七番勝負 \\ \hline
棋聖戦 & トーナメント形式 & 五番勝負 \\ \hline
朝日杯 & トーナメント形式 & ✕ \\ \hline
銀河戦 & トーナメント形式 & ✕ \\ \hline
NHK杯 & トーナメント形式 & ✕ \\ \hline
JT杯 & トーナメント形式 & ✕ \\ \hline
達人戦 & トーナメント形式 & ✕ \\ \hline
\end{array}
$$

※スマートフォンで表が見切れる場合、PC版サイトとして表示してみてください。

大会形式は大きく3種類に分かれます。

  • トーナメント:勝ち抜き続けてトーナメントでの優勝を目指す。1敗したら基本的に脱落するが、敗者復活が存在する棋戦もある。

  • リーグ:リーグ内で複数回の対局を行い、成績によって優勝やクラスの昇降級が決定する。複数回敗北できるため黒星源として有用

  • 番勝負:同じ2名が複数回の対局を行い、勝ち越しが決定するまでシリーズを戦い続ける。毎年タイトルホルダーと挑戦者が戦っているのはこの形式。複数回敗北できるため黒星源として有用だが、番勝負に挑むには予選や本戦で勝利を重ねて優勝しないといけない点に注意する

トーナメントの例:叡王戦


リーグの例:順位戦


番勝負の例:名人戦

棋戦の多くはトーナメント形式のため、実は敗北数を重ねにくいようになっています。
かつて加藤一二三九段が通算1000敗を達成したときには「偉業」と讃えられましたが、これは複数回の負けが許される本戦リーグやタイトル戦番勝負に数多く登場した証と言えます。

では、各棋戦で羽生九段がどれだけ敗北できるかを考えていきます。
大きく、以下の3種類に分けて検討することになります。

  • 挑戦者決定の過程でリーグ戦を戦うタイトル戦 -> 名人戦・順位戦、王位戦、王将戦

  • 挑戦者決定の過程でトーナメント戦のみを戦うタイトル戦 -> 竜王戦、叡王戦、王座戦、棋王戦、棋聖戦

  • 一般棋戦(番勝負のないトーナメント戦) -> 朝日杯、銀河戦、NHK杯、JT杯、達人戦

名人戦・順位戦

名人戦は、予選にあたる順位戦がリーグ形式となっています。
最上位リーグのA級で1位の成績を収めた棋士が、番勝負である名人戦に進出できます。

タイトル戦については、番勝負に進出して全敗するか、予選・本戦で全敗するか、どうするのが効率よく黒星を稼げるかを比較していきます。

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline
方針 & 負け越し数 \\ \hline
タイトル戦番勝負全敗 & 2敗(順位戦5勝4敗 + 1勝、番勝負4敗) \\ \hline
順位戦全敗 & 9敗〜12敗 \\ \hline
順位戦残留 & 10敗(B2ループ、後述) \\ \hline
\end{array}
$$

順位戦A級は10名の棋士が所属する総当たりのリーグです。
名人戦に進出する最多敗ルートでは、羽生九段が5勝4敗、残りの9名が5勝4敗 or 4勝5敗として、さらに挑戦者決定のプレーオフで勝利、その後の番勝負では全敗という、6勝8敗の結果になります。
しかし、順位戦は予選段階で唯一リーグ制を取っている貴重な黒星源です。名人戦まで進むより、ひたすら負けた方が効率的でしょう。

順位戦のリーグ構成は以下のようになっています。

朝日新聞の画像がわかりやすかったので引用しましたが、「名人への道」とは真逆の最多敗を目指す検証に使ってしまい申し訳なさが募ります。

ここで毎年全敗し続ける方針は有力ですが、リーグの成績下位者はどんどん降級していきます。
最終的にC級2組からフリークラスに転落すると、好成績を収めて復帰しない限りは順位戦に参加できず、対局数が激減してしまいます。
そのため、単純に全敗し続けるだけでは黒星を稼ぎきれず、順位戦に居座るために、他のリーグ参加者の順位・成績が重要になってきます。

B2ループ

2019年度までであれば、順位戦B級1組で毎年1勝11敗しながら残留し、昨年度の昇級者をB級2組に叩き返し、従来のB級1組以上在籍者におよそ30年の間B級2組への降級を許さない、通称B1ループによって毎年10敗を積み重ねることができました。
しかし、2020年度からはB級1組の降級者数が2名から3名に変更された影響で、B級1組での残留には2勝10敗が必要となり、B1ループの効率が低下しました。

そこで、今回はB2ループというものを考えます。
つまり、以下のような方針が可能か検討します。これが順位戦の重要テーマになります。

  • 順位戦でできるだけ多く敗北する(全敗が理想)

  • B級2組には残留する


順位戦では、その年度のリーグでの勝敗数を元に成績の上位・下位が決定し、B級2組の場合は下位1/4(2023年度現在では7名)の棋士が降級点を付与されます。
B級2組で降級点が2点溜まると降級となってしまうため、降級点の付与は回避しなければなりません。

また、順位戦の年度成績が並んだ棋士同士では、その年度開始時の順位(昨年度の最終成績によって決定)で上位・下位が決定します。
これが重要で、たとえ順位戦で全敗しても、同成績の順位下位者が一定数いれば降級点の付与を回避できます。

B級2組での順位ですが、順位戦開始前に、上位から順番に以下のように決まります。

  1. 昨年度、B級1組から降級した棋士の成績順

  2. 昨年度、B級2組に在籍し、降級点を付与されなかった棋士の成績順

  3. 昨年度、C級1組から昇級した棋士の成績順

  4. 昨年度、B級2組に在籍し、降級点を付与された棋士の成績順


ここまで長々と前提の説明をしてきました。
目指す状況は、2. に該当する羽生九段が全敗し、なおかつ羽生九段より順位の低い3. と4. の棋士のうち、6〜7名(降級点付与者数分)が全敗することです。
例として、以下のようなリーグ成績が理想となります。

1年目(在籍者28名のため、降級点付与者は7名=22位〜28位)

$$
\begin{array}{|l|l|l|l|} \hline
順位 & 棋士 & 成績 & 年度終了時の降級点 \\ \hline
21 & 羽生善治 & 0勝10敗 & 0 \\ \hline
22 & 棋士A(昨年度の昇級者) & 0勝10敗 & 1 \\ \hline
23 & 棋士B(昨年度の昇級者) & 0勝10敗 & 1 \\ \hline
24 & 棋士C(昨年度の昇級者) & 0勝10敗 & 1 \\ \hline
25 & 棋士D & 0勝10敗 & 2 -> 降級 \\ \hline
26 & 棋士E & 0勝10敗 & 2 -> 降級 \\ \hline
27 & 棋士F & 0勝10敗 & 2 -> 降級 \\ \hline
28 & 棋士G & 0勝10敗 & 2 -> 降級 \\ \hline
\end{array}
$$

2年目(在籍者27名のため、降級点付与者は6名=22位〜27位)

$$
\begin{array}{|l|l|l|l|} \hline
順位 & 棋士 & 成績 & 年度終了時の降級点 \\ \hline
21 & 羽生善治 & 0勝10敗 & 0 \\ \hline
22 & 棋士H(昨年度の昇級者) & 0勝10敗 & 1 \\ \hline
23 & 棋士I(昨年度の昇級者) & 0勝10敗 & 1 \\ \hline
24 & 棋士J(昨年度の昇級者) & 0勝10敗 & 1 \\ \hline
25 & 棋士A & 0勝10敗 & 2 -> 降級 \\ \hline
26 & 棋士B & 0勝10敗 & 2 -> 降級 \\ \hline
27 & 棋士C & 0勝10敗 & 2 -> 降級 \\ \hline
\end{array}
$$

あとは2年目の成績を繰り返すだけです。


ただし、要検討課題が1つ残っており、本当にこれだけの全敗者を出す対局組み合わせが実現可能なのか確認できていません。
全敗予定者同士は直接対決できないので、意外と組み合わせは制限されています。

また、B級2組の場合、「1. 師弟戦は行わない」「2. 前期未対戦者を優先して組み合わせを抽選する」「3. 3年連続の同じ対戦はない」という規定があります。

1と2による組み合わせ制限も考えると、実際にはこういった組み合わせの実現は不可能かもしれません。
検証が待たれますが、一旦はB2ループが可能なものとして考えます。
3. については、羽生九段の対局者候補となる上位者が常に20名存在し、各年度の順位戦対局数が10局であることから、抵触を回避できるはずです。

王位戦

王位戦は予選がトーナメント制、本戦が1リーグを6名の総当たりとする2リーグ制です。
両リーグの優勝者が挑戦者決定戦を戦い、勝者がタイトル番勝負に進出します。

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline
方針 & 負け越し数 \\ \hline
タイトル戦番勝負全敗 & 2敗(本戦3勝2敗 + 1勝 + 番勝負4敗) \\ \hline
リーグ全敗 & 1敗(予選4勝 + 本戦5敗) \\ \hline
リーグ残留 & 1敗(本戦2勝3敗) \\ \hline
予選全敗 & 1敗 \\ \hline
\end{array}
$$

王位戦はタイトル戦番勝負に進出することで敗北数を最大限稼ぐことができる唯一の棋戦です。

挑戦者決定リーグでは6名中2名のみが残留できます。残留するためには最低でも2勝3敗が必要です(1名が5勝0敗、残り5名が2勝3敗とする)。
また、挑戦者決定リーグで全敗すれば5敗を稼げますが、来年度にリーグ入りする(再度全敗の機会を得る)ためには予選トーナメントを勝ち抜く必要があり、結果的には予選の初戦で敗北するのと負け越し数が変わりません。

一方、リーグ優勝→挑戦者決定戦勝利と進めば勝ち越し数を2つに抑えられるため、番勝負と合わせて2敗を稼げます。
このとき、プレーオフでの+1勝を回避するために、羽生九段が所属するリーグでは以下の条件が必要になります。

  • 4勝以上の棋士が存在しない

  • 羽生九段を含め、3勝の棋士が3名以上存在する

  • 直接対決の結果、あるいは前期成績が、羽生九段を優勝者として決定するものになっている

例えば成績最上位の3者が3勝2敗で並んだ場合は、羽生九段が残り2名との直接対局で勝利していることを条件に、プレーオフを発生させずに挑戦者決定戦に進出できます。

羽生九段が毎年番勝負に挑戦しては敗北していくため、在位中の藤井王位はタイトルを降りることができなくなります。

王将戦

王将戦は1次予選と2次予選がトーナメント制、本戦が7名での総当たりリーグ制です。

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline
方針 & 負け越し数 \\ \hline
タイトル戦番勝負全敗 & 3敗(本戦3勝3敗 + 1勝、番勝負4敗) \\ \hline
リーグ全敗 & 4敗(2次予選2勝、本戦6敗) \\ \hline
リーグ残留 & 2敗(本戦2勝4敗) \\ \hline
予選全敗 & 1敗 \\ \hline
\end{array}
$$

王将戦はどの方針を取ってもある程度黒星を稼げます。

挑戦者決定リーグでは7名のうち上位4名が残留します。
最終成績で並んだ場合は、リーグ開始時の順位で残留者が決定します。順位戦に似ていますね。
2次予選からリーグ入りした3名については、全員5位としてリーグが開始します。

残留を目指す場合は、以下のようにすれば、2勝4敗までは成績を落とすことができます。

$$
\begin{array}{|l|l|l|l|} \hline
順位 & 棋士 & 成績 & 残留/陥落 \\ \hline
1 & 棋士A & 6勝0敗 & 残留 \\ \hline
2 & 棋士B & 5勝1敗 & 残留 \\ \hline
3 & 棋士C & 4勝2敗 & 残留 \\ \hline
4 & 羽生善治 & 2勝4敗 & 残留 \\ \hline
5 & 棋士D & 2勝4敗 & 陥落 \\ \hline
5 & 棋士E & 1勝5敗 & 陥落 \\ \hline
5 & 棋士F & 1勝5敗 & 陥落 \\ \hline
\end{array}
$$

タイトル番勝負に進出する場合は、リーグで成績最上位者となる必要があります。
また、成績最上位者が複数名いる場合は、順位上位2名の棋士同士によるプレーオフが発生します。
羽生九段が順位2位以内のとき、リーグの全員が3勝3敗の成績で並べば、勝ち越し数を最小限に抑えてプレーオフまで進出することができます。

こうした方法を差し置いて、最も大量に敗北できるのは挑戦者決定リーグでの全敗です。
リーグから陥落すると、来年度の王将戦は2次予選からの参加になります。
また、前年度リーグ参加者に与えられるシードの関係で、再度リーグ入りするには2局を勝ち抜けばOKです。
2次予選で2勝して再びリーグ入りし、リーグでは6敗して陥落する、この繰り返しによって、通算では4敗の負け越しを貯金できます。

竜王戦、叡王戦、王座戦、棋王戦、棋聖戦

残りのタイトル戦は全てトーナメント制で検討事項が少ないため、簡潔にまとめます。
勝率を下げるために番勝負に進出する機会はないです。

竜王戦

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline
方針 & 負け越し数 \\ \hline
タイトル戦番勝負全敗 & 1勝(予選3勝1敗、本戦4勝1敗、番勝負4敗) \\ \hline
予選全敗 & 2敗 \\ \hline
\end{array}
$$

本戦は予選上位者ほど有利なシードを与えられる、変則的なトーナメント制です。
タイトル戦番勝負への進出を目指す場合は、予選で竜王戦1組を準優勝し(3位、4位でも可)、本戦では2勝して挑戦者決定戦まで進み、挑決三番勝負では2勝1敗します。
全敗する場合、竜王戦の予選には敗者が参加する2回目の昇級者決定トーナメントがあるため、そこでも敗北して0勝2敗になります。

叡王戦

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline
方針 & 負け越し数 \\ \hline
タイトル戦番勝負全敗 & 1勝(本戦4勝、番勝負3敗) \\ \hline
予選全敗 & 1敗 \\ \hline
\end{array}
$$

王座戦

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline
方針 & 負け越し数 \\ \hline
タイトル戦番勝負全敗 & 1勝(本戦4勝、番勝負3敗) \\ \hline
予選全敗 & 1敗 \\ \hline
\end{array}
$$

棋王戦

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline
方針 & 負け越し数 \\ \hline
タイトル戦番勝負全敗 & 1勝(本戦5勝1敗、番勝負3敗) \\ \hline
予選全敗 & 1敗 \\ \hline
\end{array}
$$

棋王戦の本戦トーナメントには敗者復活があり複雑ですが、番勝負に進出する場合はトーナメントで4勝して優勝したあと、挑戦者決定戦(変則二番勝負)で1勝1敗するのが最多敗になります。

棋聖戦

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline
方針 & 負け越し数 \\ \hline
タイトル戦番勝負全敗 & 1勝(本戦4勝、番勝負3敗) \\ \hline
予選全敗 & 1敗 \\ \hline
\end{array}
$$

一般棋戦

一般棋戦はタイトル称号を冠さない棋戦です。
羽生九段が参加できる棋戦は全部で5つですが、いずれも番勝負は存在せず、全てトーナメント制です。

朝日杯、銀河戦、NHK杯、達人戦

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline
方針 & 負け越し数 \\ \hline
トーナメント全敗 & 1敗 \\ \hline
\end{array}
$$

番勝負やリーグ戦がない以上、勝ち進む理由もないため、全棋戦の初戦で敗北します。

JT杯

$$
\begin{array}{|l|l|} \hline
方針 & 負け越し数 \\ \hline
トーナメント全敗 & 1敗 \\ \hline
\end{array}
$$

JT杯もトーナメント制なので1敗したいところです。
ただし、この棋戦は全棋士参加棋戦ではありません。
基本的には、前年の賞金ランキング上位12名までが選抜されて戦います。

将棋界 - Wikipediaによれば、ランキング12位の棋士が獲得している賞金は、概ね1500万円~1900万円で推移しています。
一方、最多敗を目指す羽生九段は王位戦と王将戦こそ良い位置に付けていますが、それ以外の棋戦は全敗です。
高額な賞金を得るには対局料が高額となる棋戦上位まで進出する必要があり、このままでは賞金1500万円に届かないでしょう。

しかし、まだJT杯参加の可能性は残されています。
対局料を一部の棋士が寡占していれば、黒星を稼ぎながら賞金ランキング12位以内に入ることは不可能ではありません。
例えば、全タイトル八冠の獲得と参加可能な全一般棋戦の優勝を棋士Fが、王位以外のタイトル七つへの挑戦と全一般棋戦の準優勝を別の棋士が達成するとします。
そうなれば、その他の棋士は対局料を稼ぎにくくなり、JT杯参加の足切りラインとなる賞金額は下がります(今更ながら、他の棋士にとっては普通に迷惑なことを考えている)。

それでも賞金ランキング12位に届かない場合は、羽生九段が毎年権利を得ている王位戦挑戦者の対局料のみを増額すればよいです。
日本将棋連盟会長として、主催社に対して粘り強く交渉しましょう。

ここでの1敗は重要で、あるかないかで勝率5割達成のタイムが1年以上違ってきます。

まとめ

$$
\begin{array}{|l|l|l|l|} \hline
棋戦名 & 成績 & 負け越し数 & 備考 \\ \hline
竜王戦 & 0勝2敗 & 2敗 & 竜王戦6組 \\ \hline
名人戦・順位戦 & 0勝10敗 & 10敗 & 順位戦B級2組21位 \\ \hline
王位戦 & 4勝6敗 & 2敗 & 藤井 - 羽生百番指し \\ \hline
叡王戦 & 0勝1敗 & 1敗 & \\ \hline
王座戦 & 0勝1敗 & 1敗 & \\ \hline
棋王戦 & 0勝1敗 & 1敗 & \\ \hline
王将戦 & 2勝6敗 & 4敗 & 毎年リーグ入りして全敗 \\ \hline
棋聖戦 & 0勝1敗 & 1敗 & \\ \hline
朝日杯 & 0勝1敗 & 1敗 & \\ \hline
銀河戦 & 0勝1敗 & 1敗 & \\ \hline
NHK杯 & 0勝1敗 & 1敗 & \\ \hline
JT杯 & 0勝1敗 & 1敗 & \\ \hline
達人戦 & 0勝1敗 & 1敗 & \\ \hline
年度成績 & 6勝33敗 & 27敗 & 勝率0.154 \\ \hline
\end{array}
$$

こうして毎年27敗を稼ぐことができました。
あと865敗積み立てるにはおよそ32年かかり、85歳頃に通算勝率5割を達成することになります。

負け越しの数より、これだけの黒星を積みながら年間39局も対局できる方がすごいと思います。

余談

過去に書いた同記事では、黒星を加速させるなら、羽生九段が日本将棋連盟会長に就任してシニア棋戦を新設するしかない、という話を持ち出しました。
それから5年経ち、達人戦というシニア棋戦が実際に新設されました。

(当然、連盟会長の羽生九段が負けたいあまりに棋戦を新設するわけなんてないのですが、)これで黒星貯金が加速するのか?と思ったりもしたのですが……。

会長自ら優勝するのかい。
将棋が強すぎる。

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