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わんとワンの物語

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物語がどう紡がれていくのか書いてる自分自身にもわからない。
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#奄美大島

わんとワンの物語 0

年の瀬も迫った12月のある日、港湾センターに5匹の仔犬が産まれた。茶犬が3匹、黒犬が2匹。こ…

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 18

かなしくなるとここへ来る。 この島が嫌いになるたびにいつもこの丘へ来る。 ミナミから車を…

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 17

私が水の宇宙で掬ったのは奄美大島の記憶でした。それはとても愛しい記憶でした。

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 12

「おまえは1号だから一番先に旅立たなければならない」と、ワン父が言った。でもわんはまだこ…

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 11

最近ワン1号4号5号が見あたらない。いるのはガンたれ小僧の2号と3号だけだ。そしていつも…

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 10

ぼくたちはこの丘から南へ創造の旅にでる。「シニレク、あなたは赤を創って。わたしは青を創る…

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 9

わんが水の宇宙で掬ったキオクは、この宇宙の500年にわたる他の宇宙からの繰り返される侵略と迫害のキオクだった。 ひとつ目はナハンユ、ふたつ目がヤマトユ、みっつ目がアメリカユ。この3個のイタミをわんは自分の遺伝子にしっかりと組み込まなければならない。そしてこの遺伝子を、いつか生まれる子ワン孫ワン孫孫ワン孫孫孫孫ワンに遺さなければならない。 そのキオクから聴こえてきたのは、この宇宙のカナシミの唄だった。 慶長14年(1609年)3月7日 笠利間切津代港におこった 一発の銃声

わんとワンの物語 8

わたしは一番末っ子で一番小さいから5号なのだそうです。わたしは小さいのでこの塀を越えるの…

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 7

ぼくのはじまりは天から落ちた一滴の雫だった。たくさんの一滴がばらばらに飛び散り、ぼくたち…

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 6

1号は一番大きいのですぐわかる。でも2号3号だけは大きさも毛色もそっくりなので未だに見分…

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 5

あの白いクルマのおじさんは相変わらずわんのことをワン1号と呼んでいる。センノーされてるつ…

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 4

こんにちは。わたしはワン5号。わたしはカナシミの海から創られました。 わたしはこの宇宙に…

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 3

この島に「島時間」があるように、ここの空間には「ワンジカン」が存在してるのだろう。大晦日…

泉 順義
3年前
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わんとワンの物語 2

わんはワン父である。名前は・・あるはずだが、時々やってくるあの白いタクシーの運転手がわんのことを「ワン父」と呼んでいるので、わんも自分のことをワン父と言ってるだけだ。手前のワンはわんのツレの「ワン母」である。どうだ、なかなかの美人さんだろ。 この宇宙のニンゲンはワン語がわからないらしいが、どうやらここのニンゲンたちもワンをマネて自分のことを「わん」と言っている。ろくでもない連中だ。しかしこの宇宙のニンゲンは他の宇宙のニンゲンと比べたら少しはマシなのかも知れない。 実はわん