★ダメンズの手記
俺は、彼女がいない=ダメ男、という考えが強くてまるで一種の脅迫観念のようであった。そのため彼女aがいるのに同時に彼女b、彼女cを作り「全く彼女がいない状態」を避けていた。
ところが複数彼女がいる状態が苦しくなったのである。それは四十代半ばのことだ。
従って、彼女は複数作らずただ一人だけと付き合おうと考え、それを実行したが、結局その彼女とも長続きせず、別れた。そして社会人になり初めて彼女がいない時代を迎えた。
若い頃の俺から見たらたいへん不幸な時代である。ところが本人は、なんだか開放感に似た気持ちを味わっていた。決して不幸ではない。むしろ楽しい。
アルコール中毒患者が断酒に成功した話と似ている。俺は断酒ならぬ断女に成功した。
全く交際相手がいない期間がまもなく一年を迎える。さて、どうしよう。新しい彼女、そろそろ欲しいか?と自問したら、
欲しい
と。(笑)
でもその欲求はたいへん弱い。このまま彼女なしで死んでも構わない。俺は、俺の元カノたちとの素晴らしい思い出のおかげで、今でも十分に満たされている。本当に素晴らしい女性たちだった。今からそれぞれにお伺いして丁寧に礼を言いたいぐらいだ。たぶん殴られるだろう。(笑)
死ぬとき、最愛の彼女が側にいないというのは、決して不幸なことではない。残された彼女の気持ちを思えば自然にそう思える。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?