★極道学園(536)

上野のホテル104の屋上にあるヘリポートから安孫子へ飛び立つ。20分かからず大学のヘリポートに到着する。ダニエル先生の社会学の講義を聴いたのち、学食内の松屋で牛メシを食べて今度は南西に向かう。九十九里だ。安孫子から九十九里はやはり20分くらいである。

漱石茶屋の横にあるヘリポートに降り立ち、清と雑談しながら珈琲を飲み、二階から海を眺め、徒歩で港へ向かう。

ドラゴンフーズの巨大な倉庫ではムラカメやヤマザキが納品準備で忙しく働いている。主にムラカメが担当している亀肉の売上は絶好調だ。屋台村=亀肉、というイメージが出来上がったようで週末になるとたくさんの家族連れが亀肉を食べに来る。

俺たちの亀牧場で育った亀の肉は臭みが全くなく、柔らかい。そして味は濃厚である。なぜなら、亀たちに毎日上質な餌を与えているからである。Instagramには「牛肉より美味いよ」という投稿がたくさんあった。

ムラカメたちと雑談したのち、小船で海上ホテルに向かう。予め予約した部屋では慶子が美しいドレス姿で待っている。俺たちは海上ホテル内にあるコンサートホールに向かう。俺もきちんと正装した。

その日は世界的に著名なピアニスト、マンクリーヌ・アナルスキーの演奏会であった。彼女を呼ぶには一晩2000万円必要である。チケット10万円が1000枚売れたので主催者のサンチョウさんはきちんと儲けを出した。

アナルスキーはPopularな曲を何曲か弾いたあと、彼女Originalの「ナムア・ミダブツ」を演奏した。この曲はたいへん長く、最後まで聴いた人は世界中、一人もいない。ぜんぶで十三時間かかるのである。三時間を超えると気を失う人が大量に出ると聞いている。途中で死んだ人もいるそうだ。

俺たちも一時間ぐらい聴いて会場をあとにした。部屋で慶子とドラ焼きを食べながら映画「かもめ食堂」を観た。この映画をみると心がほっこり温まる。

美味しいものを食べ、良い音楽を聴いて好きな女と二人きりで過ごす。これはかなり幸せなことである。俺たちの特技に着目してたくさんのシノギを開発してくれたポン社長、サンチョウさんにはただ感謝、感謝である。

翌日は石川店長主催の麻雀大会に出場した。参加者は百名で石川は首位、俺は三位であった。石川は賞金五百万を受け取り満面の笑みであった。俺は賞金二十万円を貰った。ハタシの店でネックレスを買い求め、慶子にプレゼントした。ハタシの作品は大変よく売れており、port99のアート村にも店を出すことにした。

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