★読書愛好会(25)

パク・ヨンミ「生きるための選択」いう本を三年生男子が紹介したので早速読みました。

この女性は1993年、北朝鮮に生まれました。父親の経済力の浮き沈みが激しく、酷いときにはヨンミと姉が二人きりで家に残された。彼女たちは野草や虫を食べて飢えをしのいだのです。

紆余曲折を経てヨンミは母と共に北朝鮮を脱出しました。ところが脱出を仲介した中国人ブローカーは人身売買の専門家でした。母はブローカーに娘の目の前で乱暴されたのち、中国東北部の農家に売られ奴隷のように働きました。ヨンミはブローカーの愛人になりました。

その後、彼女たちは青島のキリスト教団体の支援により深夜、寒冷著しいゴビ砂漠を歩き続けてモンゴル経由で韓国に行きます。

だいたいこのような話なのですが、僕はかなり衝撃を受け本を読み終わったときは放心状態でした。

ヨンミは現在、人権保護活動に従事し、北朝鮮政府からたいへん警戒されています。北朝鮮政府は「ヨンミの話は全部ウソ」というプロパガンダを積極的に展開しています。

生きるため家族を守るため戦い続けたヨンミの物語は衝撃的でした。父や母を憎み、家族を捨てることばかり考えている僕とヨンミは全く違う種類の人間のように思えます。

僕の生活を保護してくれる父親への感謝の気持ちはありますが、僕はどうしても父や母を愛することができません。特に、暇があれば父親の悪口ばかり言っている母を許すのは難しいです。お前は父親に飼われている豚じゃないか、三食ついて、昼寝して。朝から晩までスマホで遊んで。父親の激しい労働に比較したら、お前は何もしていないのと同じ。父に文句を言う資格はないぞ。  

せめて深夜父が帰ってきたらちゃんと起きて「お疲れ様、ビールにする?それとも、わ・た・し?」とか言え。

僕は我が家で最も偉そうにしている醜い豚が大嫌いです。相手が善意で10のことをすれば1と考え、自分がやった1を大袈裟に10と吹聴する卑怯な、下等な人間です。僕は母を愛することができません。家では母との衝突を避けるためなるべく会話を避けて仮面をかぶって生活しています。

僕は部長と結婚して子供たちを育て、笑い声が絶えない、温かい家庭を作りたいです。子供たちには親の問題で悩んで欲しくない。夫婦、互いを尊重し、心を合わせ、支え合って生きている姿を子供に見せるのは一番の教育だと考えています。

いま僕は部長に恋をしていますが、父母も知り合った当初は僕みたいな気持ちだったんですよね。それがどうして今のような、氷みたいに冷えた関係になってしまったのか。その経緯というか歴史は謎ですが、試験には出ないので深く考えないことにします。

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