★国語教師(7)

土曜日は父とナオコさんが我が家に来たので部長を呼び四人で食事しました。いつもの韓国料理屋で焼肉です。部長と父はいつものようにマッコリを飲んでいました。ナオコさんは飲酒禁止です。

部長の顔には明らかに疲れが見えます。毎日朝八時から夜十一時まで働き土日も出勤しているわけですからね。疲れるのは当たり前です。でも部長は努めて明るく振る舞い父やナオコさんと楽しそうに会話してました。そんな部長を見ていると彼女を助けたい気持ちがますます強まります。

しかし部長の仕事内容は高度過ぎて意味不明ですし、家事は彼女のお母さんが全部やるため僕の出る幕はないのです。それを思うと心のモヤモヤが鬱陶しいですが、今は我慢我慢と自分に言い聞かせます。僕も決して暇ではないですが、部長の仕事量を10とすれば、僕は、3ぐらいだと思いますね。土日はちゃんと休めるし、だいたい定時に帰宅できますし。

学校では読書愛好会の顧問をやってますけど仕事はほとんどないです。三年生女子のリーダーがいて彼女はかなりしっかりした生徒のため僕の出番はありません。たまにみんなの前で五分ぐらい話をする程度です。

僕の高校生の頃の部活をときおり思い出します。部長との出会い、他の部員の発表。楽しかったなあ。たくさん本を読んだし、たくさん書評を発表した。当時の経験がどれほど今の仕事に役立っているのか良く分かりませんが、たぶん、働く上での多少の血肉になっているのでしょう。

バーはやしは相変わらず盛況で僕も忙しいです。現在は週二回、夜七時から十一時まで働いています。十一時になり、お客さんがたくさんいるときは僕の判断でマスターに小声で「十二時までやりますね」と伝えます。マスターは「あー、助かる」と言うような顔で頷きます。

氷を作る、完成したカクテルを提供する、カウンターを拭く、会計処理をする。僕の仕事はたくさんあります。話好きのお客さんへの対応もあります。

滑舌が悪いお客様の場合、何を言っているのか分かりませんのでたいへんですよ。曖昧に頷くしかありません。滑舌の悪い人ってけっこう自分の滑舌の悪さに気付いていない例が多いんですよね。

Instagramに営業情報を投稿するのも僕の役目です。マスターの新作カクテルの写真などを投稿します。簡単な文章も添えます。その投稿を見て来店なさるお客様もいるため、僕も少しは役に立っているのかなあ、とうれしくなりますよ。

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