★国語教師(1)

僕が勤務する学校の校長は50代の阿部繁治(しげはる)先生です。もともとは小学校の先生で国語の授業で有名になり杉並学院にスカウトされました。たいへん温厚で親しみやすい人で僕のことを「リュウ君」と下の名前で呼びます。

教頭は石上先生という40代の女性で生徒の躾にたいへん厳しい人です。朝、校門前に仁王立ちして生徒の服装検査などを熱心に行っています。

国語教師は夏目先生がリーダー役、森先生、女性の志賀先生が補佐役で、僕は一番下っ端です。国語部会というのは月一回、学校の国語教育全般について話し合う会ですが先生たちのお茶を準備するのは僕の役目です。他の先生の授業の見学をたいへん熱心に推進しているのは阿部校長のアイデアです。僕の授業も先輩たちが頻繁に見学しています。やはり、たいへん緊張しますね。

父はナオコさんと結婚して会社の近くに住んでいますがたまに我が家に二人で遊びに来ます。そのときは部長も呼んで四人で食事を楽しみます。近所の韓国焼肉店は相変わらず美味しくて僕たちはこの店での食事を非常に好みます。

部長は勤務二年目で相変わらず忙しく一日10時間以上働いています。土日出勤も当たり前。年収は900万になったようです。彼女の場合、司法試験に合格している人というのが社内で大きな評価になっているようです。法的問題についてはわざわざ会社の顧問弁護士に相談しなくてもだいたいは部長単独で問題解決できるからです。

部長は会社勤めを三年やってから退職し、僕の奥さんになると決めていたわけですがこの気持ちには全く変化がないようです。コンサルMの立場から考えるとこれはかなり惜しいですよね。おそらく在宅バイトでもいいから仕事を続けてくれと交渉してくるのではないか。

僕の給料はわずか300万円で部長の三分の一です。果たしてこんな安月給で奥さん、子供五人を養えるのだろうか。それほど不安がないのはやはり、部長の爆発的な経済力をちょっとあてにしている面があるのでしょう。しかし、それを強く大きく期待してはいけないと考えています。そのため学校の仕事を熱心にやり阿部校長始め経営陣に頼られ任される教師にならないといけないと感じています。

バーはやしでは週二回、バイトをやっています。いろんなお客様がいらっしゃるので会話が楽しいし、勉強になります。マスターは僕の時給を1500円に上げてくれました。もちろん全額貯金です。

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