★読書愛好会(18)

最近の部長は部会のとき必ずマスクをしています。風邪をひいたんですか?と聞いたら「いや、ちがう。リュウ君の顔を見ると思わずニヤケてしまうからだ」と言ってニヤリと笑いました。

部活が終わり僕は会議室に残って部長の話を聞きました。

部長は語ります。
 
早稲田、慶應は立派な学校だが私立だから学費が高い。君はもう少しがんばれば国立に行ける。千葉大の卒業生は企業からの評価が非常に高いので就職先もたくさんあるだろう。

「千葉大学に合格したら学費が格安になったご褒美に都内、あるいは千葉大の近くで一人暮らし」という条件で親と交渉すれば良い。部長はこのように言いました。苦手科目(現代国語以外)は部長が勉強方法を指導してくれることになりました。

君が一人暮らしをすればわたしたちは今よりずっと自由に会えると言って部長は微笑します。部長はしばらくの間、親元から東大に通うようです。

部長による受験指導は週一回、二時間、料金は五千円。

僕の親は

・千葉大学に行く

・もし千葉大に合格したら一人暮らしをしても良い。アパート代、生活費は親が支払う(足りない分はバイトする)

・週一回、家庭教師代5000円を東大合格間違いなしの先輩に支払う

以上すべてを了承しました。

千葉大学という選択肢は全く頭にありませんでした。担任に相談したら、「現在の君の成績ではかなり難しいが、まだ一年以上あるのでがんばりなさい」と言われました。さらには、高三前半で君の成績が劇的にアップすれば学校からの推薦により無試験で入学できる可能性もある、とのこと。僕は張りきって受験勉強を開始しました。父は相変わらず夜遅く帰宅してチーンをやってます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?