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94DAY ‐日本一の国語おじさんの国語スキルを最大限に活かす神授業3(無門関編)‐

 今日のリベラルアーツでやったテキストは、中国南宋時代の僧無門慧開によって編纂されたと伝わる仏教の公安集である「無門関」である。この書物は、四十八の仏教の説話によって構成され、その説話によって提示された問題と、その後に付け加えられる無門慧開の評唱によって成り立っている。つまりこのテキストは、当時の寺における僧たちの授業などの際に用いられた仏教問題集なのである。当時の中国ではあまり重要視されない書物だったため、すでに伝本は絶たれたとされているが、当時の宋にいた覚心という日本人が無門慧開に直接参じ、帰国する際に日本へと伝えられた。

 しかしながらここに記述されている仏教の説話は、当時ないし昔の仏教世界の生々しさや人間味、暮らしや考えなどを現代に余すことなく伝えている。そして今日この数百年前に提示されたと考えられる仏教説話の問題を解読していくことは、単純な知識、そして現代社会でもあいまいになりつつある「悟り」の概念、問題を読み解く力を身に着けるに十分その役目を担ってると言って差し支えはないのである。

 一つの説話を紹介しよう。「無門関第1則 狗子仏性」の話だ。

「説話」

 ある時弟子のひとりの僧が趙州和尚という和尚さんに、「犬には仏       性があるか、それとも無いか。」と尋ねた。すると趙州和尚は、「無い。」と答えられた。

 この話の後に無門慧開は、この「無い」という概念こそ、仏教における一番重要なキーワード、通るべき門に他ならないとしている。それ故に、この書物を「無門関」と名付けたのである。なぜ犬に仏性は無いと趙州和尚は言い切るのか。この様に仏教についての問題が、全四十八にわたってこの「無門関」に記されている。

 もし興味があれば、是非とも調べてほしい。


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