第7話 カリブを渡るリズムを刻む手段【下書き再生第二工場】
その夜、俺と藤田はお互いの職場の近くにある居酒屋にいた。ネクタイを締めた中年男たちで賑わう店内で、俺達も他の客たちと同じように、店に入ってすぐにネクタイを緩め袖を捲り上げてよく冷えたビールで乾杯した。
旧友同士、何の気兼ねも無く他愛のない会話を楽しみ、俺の三杯目のビールジョッキが空になるころ、藤田が俺をみて口を開いた。
「なあ吉岡。俺達が中学生の時に隠れ家を作っただろ。憶えているか」
「ああ。憶えてる」
藤田が目の前のホッケをつつきながら俺をみた。
「あ