ほぼほぼ

 今年の新語大賞に選ばれたらしい。
 3年くらいからちらほら耳にし、目についていた。
 いや、鼻についていた。
 新しい言葉にはなんとなく抵抗感を持つことが多い。
 おっさんが「最近の若い者は」と言うのと同じくらい、大した根拠はないけどいけすかない。
 わずかな根拠としては「それ必要?」ということぐらい。「ほぼ」でいいんじゃないかと。
 ここで昔読んだ中島らものエッセイを思い出す。
 最初から普及させようと故意に作った言葉は生命力が弱くすぐに淘汰されるが、自然にできてきた言葉は強いということが書かれていた。
 こんなビジネスと直結しない言葉は自然発生的に生まれた言葉に違いない。何か力を持っているはず。
 「ほぼ」と「ほぼほぼ」は何かが決定的に違うのだろう。確信の度合いが「ほぼほぼ」の方が高いと言うがそれだけか。いや、違う。最初はそれだけだったかも知れないが普及するうちに備わった効果があると思う。
 その効果とは「新しい感性についていってる感」。こういう言葉を使える自分は社会の変化に適応しているという自負。そして、この言葉はそんなにチャラくない。そこそこいい年の人でも使える。
 僕も使い始めたら気持ちよくなってくるのかも知れない。
 でも、多分使わない。
 何年後かに普通に使ってたらごめんなさい。(小川)
 

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