特異性トレーニング

 特異性トレーニングとは、そのエクササイズと競技動作の2つの類似性の程度が高いものを言います。

 一方で、ストレングストレーニングは生理学的な負荷により筋肥大や筋力の向上、また基礎的な動作パターンを学ぶことで、出力発揮の効率化や障害予防にも役立ちます。今となっては、若い高校生などのジュニアアスリートにとっても必須のトレーニング方法ではないでしょうか。

 ストレングストレーニングを行うことで、野球でいえばスイングスピードが向上したり、球速が上がるというようなことがあるかもしれません。しかし、一律にそのような技術力の向上が見込める訳ではありません。これはなぜなのでしょうか。

 この一因として、競技の力発揮の感覚とトレーニング中の力発揮の感覚との差異が大きいことが考えられます。このことが原因で伸ばしてきた能力を競技に上手く「転移」出来ないのです。

冬場のトレーニングで一生懸命トレーニングしたのに、春先の実践で競技能力が上手く伸びなかったという経験は多くの人があるのではないでしょうか。

 そこで、ストレングストレーニングでやってきた筋力向上や出力発揮の効率化を上手く行う為に特異性のトレーニングが必要なってきます。ここで前置きしておきたいのが、ストレングストレーニングをすることは重要で、その能力を上手く競技に繋げるための特異性トレーニングと言えます。

  よくある競技特異性トレーニングにメディスンボールを使った回旋しながらボールを投げて出力発揮するものがあります。投手であればサイドランジの姿勢で壁や地面に叩きつけるものがあります。野手であれば、バッティングと同じような姿勢からボールを壁や遠くの相手に投げるものがあります。

ただ、競技スキルが高い選手に対しては、上記のようなものだけでは効果が薄いと感じています。より選手の状態に合わせながら、力発揮の練習をした方が良いというのが最近の感想です。

例えば、バッティングと同じスタンスで立ち、ステップ脚を上げて間合いを取りながらボールをキャッチします。ボールは身体の中心でキャッチ出来るくらいで目安にします。キャッチする前にステップ脚は地面についておいて間を作ります。ボールとの距離感、タイミングが重要ですのでこういうコーディネーション的要素も力を発揮する準備として大事になります。

身体が開くということを良く聞くかもしれません。でもどうしたらそれを防げるのでしょうか。今度はボールをキャッチしてからサイドランジのようにステップしながら股関節の大転子が投手方向に向いたままメディシンボールを投げます。この時投げ方は振り子のように使ってあげると身体の開きを抑えながら力を発揮する感覚を掴めるようになります。

ストレングストレーニングの効果を競技の中で感じてもらえるような、調味料的な最後の微調整として特異性トレーニングを導入してみてはいかがでしょうか。