見出し画像

コーチングの仕方〜内的、外的フォーカス編〜

こんにちは。今日はコーチングの仕方が与えるパフォーマンスの影響についてです。指導者は、普段教えている方法がその選手に段階を把握しきれなかったり、注意する点を与えすぎる事でパフォーマンスが落ちることも理解していかなければ行けません。

2つの分類がある

さて、選手に対して指導するにあたって、今回のタイトルでも触れたようにコーチングの仕方で2つの分類があります。

内的フォーカスとは、身体の中に意識をおいて動作を行うことです。

例えば、「スクワット動作をする選手に姿勢はニュートラルで、股関節、膝、足関節の順番で曲げていき、しゃがんでいきましょう。」というようなキューイング(指導)をしたとします。このことは動作を間違って行っている人やその動作に対して運動経験が少ない人にとっては有効なものと言えます。しかし一方で、その動作をしっかりと出来る選手にとっては、余計な注意を与えることでパフォーマンスが落ちてしまうことがあります。それでは、熟練者にはどのようなキューイング(指導)をしていけば効果的なのでしょうか。

外的フォーカスとは、身体の外に意識をおいて動作を行うことです。

例えば、バッティングで打球がゴロばかりになる選手に対して「ボールを遠くに飛ばしてみよう」というようなキューイングをします。この時にどのようなスイング軌道でした方が良いという事は言いません。身体の外に意識をもたせて、結果に対してフォーカスする事で選手にも運動感覚の気づきを与え、混乱を避ける事が出来ます。また、外的フォーカスの良いところは選手が主体的に結果に対してトライ&エラーを繰り返し改善できる事にあるように普段の指導から感じています。

ここで大事なのは、どちらを使っているから優秀な指導者という訳ではありません。

その選手の段階に合わせて、どのようなキューイング(指導)が最適かをみつけられる事ではないでしょうか。熟練者でも勝手を理解(どのうような動作パターンで動いた方が良いか過程を大事にする)してからやりたい方もいるので、その時々に合わせて判断が必要となるでしょう。

選手に言われた形じゃない

さて、トレーニングコーチとして選手の不調が起こると、なんとかして良いコンディショニングに戻そうと思います。パフォーマンス要素(10mなどの瞬発力)、打球速、疲労感、バッティングフォーム(メカニクスの破綻)などスキルコーチとも協力して原因を探ります。状態が悪くなると良かった時に比べてメカニクスの破綻などもあり、どうしてもそれ(過程)が原因でないかと思ってしまいます。選手にそういう話を「フォームの崩れとかも関係してるの?」と聞いたことがあります。選手の答えは「形じゃないんですよね」ということでした。短いフレーズでしたが、僕の中で衝撃が走りました。良い選手の動作は見ていても美しく感じ、それは動作パターンが洗練されていて、良いメロディーを奏でることが出来る(過程が素晴らしい)から結果として残るものだと思っていました。しかし、そこが問題ではなくコンタクトの瞬間など、結果に対してよりフォーカスしているのだと思いました。なるほど、これが一流の感覚かと今でも鮮明に覚えています。そうなると、やはり熟練者には外的なフォーカスがより適しているのかもしれませんね。

ぜひ、コーチングの際にどちらかに偏っていないか振り返りながら選手の指導にあたってもらえればと思います。自戒の念も込めて。