形成外科:専門医試験体験記〜これから受験する人へ〜
私は、2024年1月に形成外科専門医試験を受験し、無事合格しました。
形成外科の入局者が各学年に2~3人しかいない病院に勤めている人は、
専門医試験の情報が先輩から十分に得られないかもしれません。
今年、専門医をとった私から、専門医受験のTipsをご紹介したいと思います。
人それぞれ、臨床の忙しさや、暗記や試験などへの能力も違うと思いますが、1つの先輩の経験として参考になれば幸いです。
※あくまで昨年度の情報ですので、学会誌や学会のホームページで、今年度の試験要項の詳細をお確かめください。
試験提出資料作り
まず、専門医試験の要項を確認しましょう。
専門医受験資格を満たしているか確認。
新専門医制度の場合、形成外科学会入会後4年が経過しており、専門医プログラムの認定施設での4年間の研修が必要です。
私の先輩で、形成外科学会への入局が遅かったために、専門医試験を受けられず、次の年度に受験することになった人がいます。
受験料を払う前にご確認を!
また、きちんと自分いった病院が専門医プログラム上で認定施設になっているか確認してください。留学や育休などを取得した場合は、研修期間の計算方法がありますので、合計の研修期間が足りているか必ず確認を。
2.論文は書いていますか?
論文がない場合、いますぐ書きましょう。
これが1番の律速段階となります。
査読つきで形成外科関連の雑誌への投稿が必要です(日本語可)
タイムリミットギリギリの場合は、採択通知のハガキが届けば、専門医試験受験できるようです。(一応学会にもご確認を)
受験応募、ギリギリの方も諦めずに頑張ってください。
3.10症例あつめ
10症例、提出する際に注意すべきことは何か?を中心に、経時的に準備できることをお伝えします。
3月までにできること
歴代の先輩の10症例のパワポをもらいましょう。ない場合は、細かく専門医試験要項を読み込みましょう。
→必要な写真や所見、検査項目を確認します。※
NCDの登録が忘れてないか確認しましょう。術者として自分の名前が登録してあるか、また指導者は指導医の資格があるひとか確認しましょう。
施設を移動した後に症例写真を集めるのは大変です。
ローテーションが変わるごとに、移動前に一度専門医症例の候補ピックアップをしましょう。(候補は10個ぴったりではなく、15~20個程度が理想。各区分2個程度)
分野で足りないものがあれば、上司にお願いし、積極的にその症例の手術の担当にしてもらいましょう。
→写真と経過を大まかに取り出しすと良いです。
術後半年のフォローが必要のため、専門医受験に使えるのは受験する前年度の3月までに手術した症例が目安です。
このピックアップの際に、※を参考にし必要な写真の画角や検査があるか確認しましょう。
写真の落とし穴
・顔面骨骨折
正面・斜め・あおりの写真
顎の骨折は、開口・咬合の写真
眼窩底骨折は、眼球運動9方向の写真(もしくはHess検査)
・眼瞼下垂などの瞼の手術
開瞼・閉瞼(上方視・下方視)
・手の手術・瘢痕拘縮解除の手術
手の手術は、手の運動がわかるような写真、瘢痕拘縮の手術は可動域がわかる写真を撮影しましょう。ROMの計測が必要な場合もあります。診察時に測定しましょう。
・手術写真全般
術中写真は忘れがちですので、きちんと撮影されているか確認を。
写真がない場合は、その症例を10症例として使うことは諦めましょう。
(術中写真はデザインの写真、閉創後の写真は不可です。必ず傷が開いている手術途中の写真を撮りましょう)
・腫瘍切除・再建
皮膚悪性腫瘍などで切除と再建2回の手術を行ったばあい、一連の手術として全ての手術の、術前・術中・術後の写真が必要です。
写真の細かい規定は、形成外科の専門医試験の要項で必ず確認してください。わからない場合、施設の経験豊富な先生に聞いたり、それでもわからない場合は学会に問い合わせましょう。
6月ごろから
昨年の専門医試験の10症例のフォーマットをとりあえず使用し、ある程度経過を整理しましょう。
半年のフォローの人がいれば、写真を撮りましょう。
移動してしまった施設の症例を使いたい場合は、各施設の先生に連絡をとって写真・骨折や骨切りなどは画像検査をとってもらいましょう。
また植皮や粘膜移植などは組織の採取部位の写真も必要です。忘れがちなので注意!
1日でも術後180日に足りなければ、10症例として使えません。
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