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医師国家試験合格に必要な勉強時間とは?

迫りくる国試

3月に入り、現5年生(4月から6年生)の医学生は来年の国家試験に対して、徐々に現実感と緊張感を抱えてきていることだろう。ここ数年は国家試験対策を始める時期が異常に早くなってきているので、もしかしたら現4年生(4月から5年生)の医学生の中にも、同様の学生がいるかもしれない。

「ものすごく優秀だった先輩がギリギリのラインにいるらしい」
「全然勉強せずに合格点余裕だったって先輩が言ってた」

出典:毎年ささやかれるよくある噂

という噂に振り回され、

「勉強はいつから、どのぐらいすべきか?」

出典:よくあるみんなの心の声

という疑問・不安を抱いているかもしれない。そんな学生たちに向けて、メック講師さくらが、見解を述べていこうと思う。

※内容はあくまで個人の見解。各個人が情報の批判的吟味しながら見てください
  ※文章書くのは下手くそなので、文意はうまく読み取ってください


もっとも言いたいこと(結論)

①:ギリギリを狙うんじゃなくて、手を抜かず全力投球がいいよ
②:努力量が必ずしも点数に現れるわけではないよ
③:なので万が一結果が芳しくないことがあったとしても、自分を責めすぎちゃだめだよ。悲しくなる気持ちは痛いほどわかるけど、うまく切り替えていくしかないよ


Q:国家試験合格に必要な勉強時間の最低ラインは?

勉強量と合格率の関係性

勉強量と合格率の関係性を、国家試験合格率をpとするとき、pは勉強量xを用いて

$$
p(x) = \frac{1-c}{1+\exp(a(x-b))} + c
$$

と表現できると考えている(注1)。

講師さくらが考える国家試験合格率と勉強量の関係性
(図は例としてa=-5.0、b=0.7、c=0.1としている)
縦軸:合格率(%)、横軸:勉強量(抽象的な概念であるため、単位なし)

数式で記載するとわかりづらいかもしれないが、この数式の要点は3つ。
①:勉強量0でも0以上の確率(=p(0))で合格する
②:勉強量に応じて、合格率は単調増加する
③:勉強量を限りなく増やしても、合格率は1にはならない
  (勉強量を限りなく増やすと、合格率は限りなく1に近づく)

注1:数式自体は①②③を満たせればなんでもよかったので、特段こだわってるわけではない


(前式によれば)冒頭の答えは「(極論)0時間」

これは前項の①にある通り、「勉強量0でも0以上の確率(=p(0))で合格する」ことが可能である。ただしおそらく次に疑問に思うこととしては、
「このp(0)がほぼ0なのではないか?」
つまり、「現実的には勉強量0であれば合格率は0ではないか?」
ということだろう。

この点に関しては完全に主観的なことしか言えないが、主観的にはp(0)はそこまで低くない値であると考えている。
人によっては認めたくない事実かもしれないが、実際問題として「対して勉強してないけど受かった」という人は一定数存在する(「完全に0」ということはさすがにないかもしれないが)。

皆さんも実体験として、「なんで勉強していないあいつが受かったの!?」と感じた経験は少なからずあるでしょう。
もちろん「裏ではしっかりやっていた」というパターンもあるだろうけど、「本当に対して勉強していない」というパターンは少なからず存在する。


Q:国家試験に確実に合格する勉強時間は?

A:有限の範囲では「確実な合格(合格率100%)」は実現できない
これも前項③にある通り。
これも人によっては認めたくない事実かもしれないが、実際問題として「超真面目に、かつ大量に勉強したけど不合格だった」という人も一定数存在する。


Q:国家試験は勉強しなくても受かるし、勉強しても落ちる!?

A:極論言えばそういうことになる
こんなことを(アカデミックではないとしても)医学教育を行っている人がいっていいのかと感じるかもしれない。それに関しては逆で、個人的には積極的に啓蒙してくべきと考えている。なぜかといえば、まじめな人ほど心を病んでしまうことがあるから。

「マジメにやれば必ず合格できる」という考えが根底にあると、万が一に結果が伴わなかったときに、

「マジメにやったのにダメだった」「自分より勉強していない人が合格した」「自分は能力が低いんだ」「自分は医者になれないのではないか」「自分は医者になるべきではないのではないか…」

という風に思い詰めてしまい、再チャレンジという選択肢へ進めなくなる人がでてしまう。実にもったいない!!


残念ながら、国家試験はそれなりに運の要素が絡む。問題数はわずか400問、必修を除けば300問。たかだか300問では、実力が同じでも点数はそれなりの範囲でブレる。

正規分布における平均値μと標準偏差δと信頼区間
(引用:https://hatsudy.com/jp/interval-estimation.html)

つまり期待される平均得点に対して標準偏差が大きい。この標準偏差は残念ながら1~2点程度では済まないだろう。私個人は国家試験の点数分布を有していないため正確なことは言えない。が、某サービスが解答登録者向けに公開している点数分布のスクショを見るだけでも、5~10点程度の標準偏差であることが予測される。(注2)

注2:上記の推定は論拠が非常に弱い。マジメにやるなら「隠れ特性」を考慮するのだが、議論がややこしくなるためあえて無視


勉強量と実力の関係性

横軸:勉強量、縦軸:実力を示すイメージ図
勉強はすればするほど、必ず実力になることを示す(注3)

勉強に取り組んだ時間・熱量は必ず身についている。人によって効率の違いがあって、身につく量は異なるかもしれないが、無駄なことは絶対にない。
そして、それだけ必死に取り組める人が医者になるべきでないなんてことはありえない。当然つらい時期もあるかもしれないが、最後は是非とも気持ちを切り替えて前を向いてほしい。

注3:対数関数を用いたのは、学力は最初は上がりやすいが、徐々に上がりにくくなることを示したかったため


結論:噂に振り回されず、全力で取り組むべし

というありきたりの話に落ち着くが、上記の話をまとめるとこういう結論に落ち着くから仕方がない。上記にもあるように、国家試験はそれなりに運が絡む。これはもうしょうがない。そのため
・勉強してないから駄目だった
・勉強していたからよい点数だった

という妥当な結果の人以外に、
・勉強していないのに合格した(高得点だった)
・勉強したのにダメだった

という偶然に左右された人も多く出てくる。

「絶対合格する勉強時間」というのは残念ながら存在しないので、少しでも合格確率を上げられるように、6年生の1年間は全力で勉強に投資するのをオススメする


参考:さくらの現役時代の学習量

とは言っても、「周りはどんぐらいやるんだろう?」と疑問には思うので参考までに僕の現役時代を述べておく。

⓪~5年生
実習はそれなりに取り組んで、実習科の朝倉内科学読み漁っていたけど、試験対策勉強はしていない(動画講義取ってない&クエバン買ってない)
+柔道ジャンキーだったので、1日2~3時間稽古+3~4時間筋トレの毎日
①4月~卒業試験まで
正直なめていた(←クズ)ので、1日6~7時間程度の卒業試験過去問演習&周辺まとめ
調子にのって(←ゴミクズ)ワインエキスパートの資格取ろうとしていたので、そっちの勉強に3時間ぐらい(←カス)
②卒業試験1~卒業試験8(卒業試験が科目別に分かれていた)
卒業試験1で落ちかけ、勉強量が周りに比べて圧倒的に少ないことに気づく。12月の初週に引退試合があったため、最低限の練習は確保(週3日)していたが、それ以外は勉強(1日13~16時間程度)。娯楽は完全に封印
③卒業試験終了後~12月初週
大会までは柔道に振り切ると決め、毎日2~3時間稽古 or 3~4時間筋トレ。ただしそれ以外の時間は12月以降に向けて暗記ノートをひたすら作る(1日8~10時間程度
④12月~国家試験まで
予め作っておいた暗記ノートをひたすら暗記(最低1日16時間)。

変則的な勉強、かつ気合と根性派なので参考にならんかもだけど、1日8時間以下はさすがに少ないんじゃないかなぁと思っている。(やることと密度も考慮すべきだけど、抽象的になるので今回は割愛)
同じ勉強部屋だった真面目な友人たちは、もともと勉強していたので直前に慌てて時間増やすとかはしていなかったけど、それでも最低8時間ぐらいはやっていたと思う。

もともと真面目にやっていて、自分のペースができているという人は8時間
みんなの平均ぐらいはやっておきたいという人は10時間
現時点で全然勉強できていないという人は12時間

というのがひとつの目安なのかなぁと、さくらはさくらは個人的なイメージを述べてみたり。(根拠はないよ~)


最後に:大して勉強してないけど受かったという人へ

アドバイスを残しておこうと思います。多分こういうこと、あんまり言ってくれる人いないんだけど、
「努力してないアピールでもてはやしてもらえるのは学生時代まで」
です。謙遜なら良いですが、ガチなら社会人になるまでには考えを改めた方がいいですよ (/・ω・)/ガオー

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