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新型コロナウイルス感染症       最新の重症化率、死亡率から対応を考える

こんにちは。感染症はリスクに合わせて対策します

たとえば、自宅で愛猫に噛まれてから急逝されたミシュランの星をもつラーメン店のシェフのニュースはご存知でしょうか?

この事例は解剖の結果から2011年に中国で初めて報告されたブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類されるSFTSウイルス感染症による重症熱性血小板減少症候群と考えられます

野良猫ではなく自分の飼ってる猫に噛まれて死ぬことがある。だからといって全猫をPCR検査はしません
さらに、SFTSウイルスに対するmRNAワクチンを開発して
全猫の飼い主にSFTSウイルス感染症に対するワクチン接種を勧める、とかは過剰な対策です

現在の新型コロナウイルス感染症の重症化率

12月21日2022年の第111回新型コロナウイルス感染症アドバイザリーボード資料4より リンク
2022年7〜8月期における新型コロナウイルス感染症による重症化率を見ます。年代別に60歳未満、60・70歳代、80歳以上に分けて重症化率がでていますが、全年齢層において季節性インフルエンザよりも重症化率が低くなっています

現在の新型コロナウイルス感染症の致死率

同様に、新型コロナウイルス感染症の致死率も全年齢層で季節性インフルエンザよりも低くなっています

実際の新型コロナウイルス感染症による重症者数と死亡者数


0〜9歳、10~20代

5歳から11歳の新型コロナウイルスワクチン接種は2022年3月から可能になっています。2022年3月から8月まで10歳未満では、この資料で死亡例はないが、感染した子ども1万人につき1人か2人が重症化したとの報告です

子どもの総数は、約1170万人 (2019年4月1日現在の総務省統計局による11歳以下の人数) です

5歳から11歳までの新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の開始は2022年3月で、接種率が低迷している現状から、感染するリスク、感染して重症化する確率は低い

ただし、この報告は石川県、茨城県、広島県のデータをもとにしています。全国規模では、もう少し重症化の症例が多くなります

例えば、小児の新型コロナウイルスによる脳炎の報告は下の図になります。脳炎は重症化症例です。2022年7〜8月に9歳以下では、11人の新型コロナウイルス感染症による脳炎患者が出ています。ソースは感染研と厚労省による感染症週報です リンク

20、30、40、50代

60、70、80、90代以上

60代から、年齢が上がっていくにつれて重症化する人数と、死亡される人数が近くなっていきます。私はもう少し、これらの年代における予防や治療の手段を増やす必要があると考えます

死亡者数が重症者数の何%になるか計算をしてみました。世代が上がるにしたがって、重症者数と死亡者数が近づいていき90代で96%になりました。有効な予防方法が、さらに60代、70代の治療と救命は必要と考えました

全体の表は下です

上記資料は↓こちらからダウンロードできます


最後まで読んでくださいましてありがとうございます

日本における新型コロナ感染の流行波の定義

期間定義:
第 1 波 2020 年 1 月 1 日 〜5 月 31 日
第 2 波 2020 年 6 月 1 日 〜10 月 31 日
第 3 波 2020 年 11 月 1 日〜 2021 年 3 月 31 日
第 4 波 2021 年 4 月 1 日 〜 6 月 30 日
第 5 波 2021 年 7 月 1 日 〜 12 月 31 日
第 6 波 2022 年 1 月 1 日 〜 6 月 30 日
第 7 波 2022 年 6 月 1 日

日本における新型コロナ感染の重症度定義

軽症 :中等症・重症以外
中等症:入院中に酸素が必要であった症例
重症 :入院中に挿管・ECMO(体外式膜型人工肺)が必要であった症例

日本における各波の死亡症例の特徴

リンク
令和4年9月7日報告 国立国際医療研究センター国際感染症センター
COVIREGI 解析チーム 大曲 貴夫

死亡者が軽症、中等症、重症のどれであったか?

令和4年9月7日報告 大曲 貴夫

はじめから全ての症例が、軽症→中等症→重症の過程をへて死亡されるわけではなかった
重症例の死亡が多かったのは第1波と第5波である
逆に第7波はいわゆる重症の基準を満たさない中等症からの死亡がほとんどであった

令和4年9月7日報告 大曲 貴夫

%表記はわかりにくいので、死亡者数の表を見ましょう。第3波における死亡者数が突出して多く、第7波になって死亡者数は激減しています

令和4年9月7日報告 大曲 貴夫

COVID-19 レジストリにおける死亡症例の記述的解析の結果


第 5 波と第 6-7 波の死亡例は90%の事例では酸素は必要としていたが、比較すると第 6-7 波の方が人工呼吸・ネーザルハイフローの使用率やステロイドの処方率が下がった
第 6 波と第 7 波の死亡例比較では、第 7 波の方が、更に人工呼吸・ネーザル
ハイフローの使用率やステロイドの処方率が下がった
重篤な COVID-19 肺炎による呼吸不全の方が占める比率が下がっていると推測された
またワクチン 3 回、4 回接種者の割合が増加してた
ここでは統計学的な検討はされてない

中等症への酸素補給方法

中等症は入院中に酸素が必要であったが、挿管・ECMO(体外式膜型人工肺)は必要とならなかった症例です。中等症の患者にどのような方法で酸素を補給したのか?第7波ではほとんどが単純な酸素投与で、少数がHFNCでした。第 4 波以降ネーザルハイフローの利用が進んでいます

令和4年9月7日報告 大曲 貴夫

中等症のリスク因子

中等症で死亡した人の年齢の中央値は第1波〜第6波までは約84〜85才です。第7波で年齢の中央値89才と上昇しました
基礎疾患ありの方が90%以上と、ほとんどになります

令和4年9月7日報告 大曲 貴夫

第 5 波と第 6・7 波の死亡例を比較する

第5派と比べて第6・7派の方が、
呼吸補助治療(HFNC、機械換気)の割合が少なかった
ステロイド薬の投与割合が少なかった
ワクチン接種をした人の割合が増えている

令和4年9月7日報告 大曲 貴夫
令和4年9月7日報告 大曲 貴夫

第 6 波と第 7 波の死亡例比較

第 6 派と比べて第7派の方が、
呼吸補助治療(HFNC、機械換気)の割合が更に少なかった
ステロイド薬の投与割合もさらに少なかった
ワクチンを3回以上接種した人の割合が増えた

令和4年9月7日報告 大曲 貴夫
令和4年9月7日報告 大曲 貴夫





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