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新型コロナウイルス感染症にフルボキサミンは有効か?

こんにちは。フルボキサミンは、選択的セロトニン再取り込み阻害剤で精神科領域でうつ病などの治療に用います。1994年に米国食品医薬品局FDAから承認された古い薬です。フルボキサミンはうつ症状に有効である他に、炎症を減少させる可能性があると考えられています。フルボキサミンがσ-1受容体を活性化して、その結果、小胞体ストレスを軽減しさらに、炎症性遺伝子の発現をダウンレギュレートするからです
フルボキサミンの炎症抑制効果を期待して、新型コロナウイルス感染症に有効であるかどうかが、複数の臨床研究で調べられました

JAMA. 2023; doi: 10.1001/jama.2022.24100

1月12日2023年にJAMAに掲載された論文をご紹介します
米国、8月6日2021年から5月27日2022年まで、検査でSARS-CoV-2感染が確認され、7日以内に急性COVID-19の症状を2つ以上経験した30歳以上の被験者計1288名を対象として、低用量フルボキサミン(50mg 1 日 2 回投与)の 10 日間投与を実施しました。コントロール群はプラセボを使用する無作為化臨床試験です

主要評価項目の症状持続が改善するまでの時間


調査の結果、症状の改善するまでの期間はフルボキサミン服用によって有意に改善しませんでした

Fig 3. 主要評価項目 回復に至る時間

フルボキサミンの入院や死亡に対する効果

さらに、入院したのはフルボキサミン使用群670人中26人、プラセボ群607人中223人と差がなかった (下表の赤丸)
さらに、どちらのグループの人も死亡しなかったので差がなかった(下表の青丸)
短く表現すると、フルボキサミンには入院から保護する作用はなかった。測定期間中の新型コロナウイルス感染症がおそらく軽症中等症であったため、死亡に関する有意差は測定できなかった

Table 2. 主要評価項目と副次的評価項目

フルボキサミン服用に対する注意

フルボキサミンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害剤は、旧世代の抗うつ薬や抗精神病薬の毒性を克服するために開発されました。旧世代の薬の持つ毒性は無くなりました。しかしなお、選択的セロトニン再取り込み阻害剤には心および血管のNa+、Ca2+およびK+チャネルを阻害することにより、心血管抑制作用があります

結論 軽症中等症の新型コロナウイルス感染症にフルボキサミン50mgを1日2回服用する治療法は有効性がない、さらに副作用がある、ので推奨できません




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