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医師の働き方改革って何なんでしょう?

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。
なんか哀しい記事を見つけてしまいました。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240301-OYT1T50005/

いまだにこんなことが横行していることに驚きです。
「医療業界では当たり前の昔ながらの慣習」と言ってしまえば、そうなんですが、「医師の働き方改革」を推進しておきながら、申請が急増し労基署も書類チェックのみで、宿直許可をした後は野放し状態なのが現状です。

宿直とか当直とか夜勤とかわかりにくい言葉がありますが、用語としては下記の記事の様に使い分けられています。

夜間に救急外来や救急車対応が常態化している場合には、夜間当直医師を雇用して勤務時間や時間外労働に応じた報酬を支払う必要があります。

特に救急対応をせず安定している入院患者対応のみである様な場合には、書類さえ用意して労基署に届け出て承認されれば、基本は休憩待機で軽微な対応業務のみである「宿直」として医師を雇用することができます。このこと自体は問題ではありません。

問題は夜間に救急外来や救急車対応が常態化している様な病院でも、労基署の認可を得て宿直扱いとしているところがあるんですよね。患者が歩いてくる様な救急外来を夜間に1-2件対応するのであれば「軽微な対応」と言えるでしょうが、救急対応が常態化していれば、宿直とは全く違う勤務内容になってしまいます。

これが問題なのは、如何に「夜間の勤務が通常業務と同じ」と主張したところで、「宿直認可」の方が強いので、実労働時間を提出したところで、労働時間として認められた判例は無いと言う事実です。

医師も「自分は宿直なので救急車対応はしませんよ」と対応して良い気もしますが、その病院の常勤医師が当てられるケースが多く、院長から「ウチの病院は二次救急病院だから絶対に救急車を断るな!」と言う様なことを言われれば、反抗することが出来なかったりするわけです。
そこまで言うなら当直や夜勤扱いをして給与出せよ、と思うんですけどね。そして文句を言ったところで「昔からどの病院もやってることだ」「労基署の認可も得ている」として悪びれないんですよね、そういう院長は。

書類上は、朝から夜まで日勤した後に病院の宿直室でグッスリ休んでいることになってますから、次の日も日勤として勤務しても問題は無い上に、宿直費だけで良いので、病院経営としては最高ですよね。
と言うわけで横行しているわけです。

救急車を受け入れる病院に宿直許可が出る、と言うのも普通に考えたらおかしいですので、労基署は病院の管理者と結託していると言えるでしょう。
「働き方改革」を推進するのであれば、少なくとも救急外来のある病院の宿直認可は取り消すべきですし、夜間に通常業務レベルの対応が必要なのであれば、日勤からの連続勤務では無い医師を当直や夜勤の要員として雇用し、翌日の日勤業務はさせない、と言う当たり前のことを業界の慣習にすべきです。
看護業界は昔からこの辺はしっかりしてるんですよね。基本的に看護師に宿直業務なんてあり得ないので、しっかりせざるを得なかったのでしょう。

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