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医療メディエーターってご存知ですか?

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。
あなたは「医療メディエーター」ってご存知ですか?

知らなくても仕方ないと思います。医療関係者の間でも知らない人は多いです。そもそも医療メディエーターとは、患者や患者家族と医療側の十分な意思疎通がされない中で不信感が募り訴訟に発展する事例が多かった、米国で考案された、医療者と患者関係者との間に入って意思疎通と理解を深める支援を行う為の職種で、法学者の方により日本での資格制度が立ち上げられたと言う経緯があります。

元々は英語のMediator、「調停する人」あるいは「仲介する人」と言う意味です。外来語をそのままカタカナ表記にするので無く、「医療患者間仲介者(通称メディエーター)」などとした方が理解しやすいですよね。

この様な制度が始まる前から、医療教育においては接遇教育などがされてきましたが、どちらかと言うと表面の態度や言葉遣いを航空会社関連の接遇教育者が学生や研修医などに対して指導する、と言う感じでした。

その様な接遇教育だけでは解決出来ないのが、医療側は説明責任を誠実に果たしたと思っていても、患者側からすれば気持ちに寄り添ってもらえず型通りの対応しかしてもらっていないので誠意を感じられない、と言う様な状況。その為に訴訟が多発し、医師が専攻を選ぶ際に、訴訟が起きやすい科が避けられる、と言うことが、1970年代以降の米国で起こっていたんですね。

日本では、上記記事にある医療メディエーター以外にも、「入院時重症患者メディエーター」と言う、救急搬送されたり急病で重症である患者関係者と医療者の間をつなぐ為の資格制度も別に開始されています。そして、noteにそのことを紹介されている方が居たので、気になる方はご覧になって下さい。

医療メディエータが介入することで、医療患者間の不十分な意思疎通や誤解による問題の悪化を未然に防ぎ、医療患者側の関係をより良好に保つ様にする、と言うのが理想的とされていますが、本来であれば、医療者側が患者側に寄り添う意識をしっかり持つことも忘れてはいけないと思います。メディエーターがいるから任せときゃ良いか、ってならない為にも。

そして「医療メディエーター」として仕事をする場合には、患者やご家族と医療者の間に入り「両者に中立的な第三者」として、面談に参加したり話し合いをすることが求められるので、たとえメディエーター資格を持っているのが医師や看護師であっても、関係する患者の診療や看護に関わってはいけない、とされます。

見識を深める為にメディエーター講習を受講すること医療関係者は多くても、実際に完全中立の立場からメディエーターとして働く医師や看護師は少ない気もしますし、たとえ働いたとしても、医療情報を全く知らない患者側の気持ちを本当に理解して寄り添えるか、と言う課題もあります。

とは言え医療メディエーターを配置していることが保険的に病院が評価される対象になっているので、高度医療を提供する病院の多くでは、今後様々な分野に特化して増えていくと予想される「医療メディエーター」関連資格の有資格者の配置が行われると思います。
個人的には「入院時重症患者」以外にも「終末期患者」や「難病指定疾患患者」などについても、より心理的ケアを重視した専門のメディエーター資格が出来るのかな、と感じています。

あなたやご家族、知人が大きめの病院に入院された際などに、医療者側の態度や説明に対して不信感や疑問を持たれた場合には、「医療メディエーターさんとお話し出来ますか?」と聞いてみても良いと思います。
とは言え、現時点では配置されている病院はまだ少ないですので、病院にメディエーターが居ない場合には、医療者に対して誠実に不明点や不安点を伝えてみることも大切です。本来はそれで解決するのが一番ですからね。

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