想定外の事件を避ける方法
こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。
ゴールデンウィーク真っ只中に、知人が通り魔被害に遭われました。
以前にも書きましたが、危険回避に必要な知識を簡単にまとめてみましたので、ご興味ある方はぜひお読み下さい。
【都内の繁華街で起きた通り魔事件】
幸いなことに軽い怪我(とは言え何針も縫う様な怪我ですが)で済んだ様です。
可能な範囲で説明すると、開放環境にあるテーブルを囲んだ椅子に知人2名と座って、オンライン参加型のスマホゲームを楽しんでいたところ、隣のテーブルに座っていた全く知らない人が突然「Fu◯kin’ Jap!!!(クソ日本人)」と叫びながら、椅子で殴りかかって来たそうです。
目の上がパックリ裂けたという事で、当たりどころが悪ければ失明の可能性もあった訳ですから、不幸中の幸いでした。犯人はそのまま逃走を図った様ですが、同席していた知人2名により取り押さえられ、警察に引き渡されました。
不特定多数が行き交う場所でもあったからか、防犯カメラ画像で事実を確認した上で、犯人が主張する「突然侮辱された」と言う様なやりとりすら無く突然行われた凶行だったことも確認され、終始警察の協力的な雰囲気で調書も取られたとのことです。
3人がかりで取り押さえ、少々反撃もしてしまった事から、過剰防衛になることを心配して警察官に相談したところ、犯人は椅子を凶器として襲いかかったこと、取り押さえ反撃した3人は素手で対応したこと、が大きな判断材料となり、その点については不問だった様です。
逆に言えば、日頃から護身を目的に何かを持ち歩き、咄嗟にそれを使った場合には、問題視されるリスクがありますので、ご注意下さい。手元にあった全く護身と関係ない物を咄嗟に使った場合も、対応する警官の判断次第ですので、気をつけましょう。
取り押さえて反撃した際に、通りがかりの人達が止めに入って来たりもした様ですが、正当防衛かつ現行犯ですから、何の問題も無かった様です。
【防犯意識の重要性】
今回の知人が絡んだ事件はとても残念なことですが、犯人は自称米国籍の外国人男性だった様ですが、身分証も携帯しておらず、現在も勾留され警察による身元確認が行われている様です。
インバウンドの観光客や移住者を対象にしたビジネスがブームとなり、物価も異常に高騰していますが、今後この様な事件は増えこそすれ、減ることは無いでしょう。
その為には、イスラエル発のクラヴ・マガ、ロシア発のシステマなどの各国の新兵訓練にも採用されている様な、即実戦に使える格闘術を学ぶのが良いのでしょうか。
残念ながら、徴兵制のある国の人の場合、殺人を目的とした徒手格闘やナイフ格闘、銃器の扱いを無意識レベルまで叩き込まれた人も多いので、付け焼き刃で対処できるものではありません。
今回知人と同席されていた2人は、たまたま空手、合気道の経験者であり、相手が米軍人では無かったことから、取り押さえや反撃がスムーズに出来たのですが、実際に警察特殊部隊や陸上自衛隊などの元隊員の方のお話を聞いてみても、自分と無関係の人が襲われている場合は、例えプロでも基本的に助けに入らないと言うのが共通意見でした。相手の技量や武器が不明な状況に丸腰で介入するリスクが高い、という事です。プロは事前情報を得て必要な装備で対策をし、入念に想定訓練をしてリスクを最小限にした上で対処するのが当たり前ですからね。
今回知人が経験した通り魔被害もいきなり発生した様に思えますが、実は発生するかなり前から、その予兆はあったはずなんです。
コレは電車やバスで起こる大量殺人を企図した事件などでも言われている事です。
【周囲の脅威度を定期的に評価する】
今回の事例で言えば、隣のテーブルに座っていた外国人を事前に認識して、警戒して距離を置いたり、咄嗟にテーブルを相手に向けてひっくり返して距離を取る様なことが出来れば、被害はもう少し抑えられたかも知れません。
何もゴルゴ13の様に、背後に立った人間を瞬殺する様なことをしろと言うのでは無く、家を出る前に不自然に家の周囲に居る人影はいないか確認したり、道を歩きながら不自然な感じがする人がいたら、道を反対側に渡って距離を置くとか、バスや電車に乗る際には、車両内を確認し違和感のある人がいれば距離をおいたり便を変える、と言う様なことです。
今回の場合には、完全にお互いに向き合うのではなく、斜めや横向きに座りながら、3人で120度ずつくらいカバーし合い、それぞれの視野内の脅威を3-5分毎に確認して、違和感を感じる人がいれば他の2人に通知して距離を取る、と言う様なことが出来ていれば理想的でした。
安全を確保出来ない場所では、周囲の脅威に気がつけないほど集中してしまう様な、ゲームや動画視聴は程々にしておいた方が良いと言うことですね。
この様な場合に大事なのが、脅威度を定期的に評価する、と言う意識です。災害医療でも患者の重症度と緊急度を緑・黄・赤・黒のタグで分類する、トリアージと言う概念がありますが、それと同様に、脅威をホット(危険)、ウォーム(要警戒)、コールド(安全)と三段階に分ける概念があります。温度感が分かりにくければ、赤、黄、緑でイメージしても良いと思います。
自宅内や安全確認が済んだ場所はコールドゾーンとしてリラックスして寛いで良いのですが、鍵のかかる個室では無い場合、ホット、ウォーム、コールドの評価は人流に合わせて流動的に変化します。
危険人物の居ない学校や車内はコールドゾーンですが、危険人物がひとり入ればウォームゾーンになり、危険人物が周囲に危害を加え始めればレッドゾーンになる、と言う感じです。
もっと言えば、離散的(デジタル的)にそれぞれの評価を切り替えるよりも、連続的(アナログ的)に評価をする方が良いですね。同じウォームゾーンでもコールドゾーン寄りなのかレッドゾーン寄りなのか、を意識する感じです。
自宅以外は基本ウォームゾーンとして認識する、と言う人もいますので、判断は個人により違って良いと思います。ただ判断が間違っていた場合、今回の知人の様に被害を受ける可能性はありますので、要注意です。
【脅威度評価に大切なのは◯◯だ】
敢えて伏せ字にしちゃいましたが、その様な脅威度の評価にとても重要な要素があります。ハンニバル並みの犯罪知識でしょうか。ドラゴンボールのスカウターの様に他人の格闘能力を分析出来る様なスキルでしょうか。もちろんその様な知識や分析力があれば、活用しない手はありませんが、一般人全員に求めても無理な話です。
単純に周囲に少し意識を向ける習慣と、それに加えて「相手の気を感じる力を磨く」と言うことです。後者は知らない人にとっては、突然スピリチュアルな話になり困惑されることでしょうが、誰にでも備わっている能力を日頃から目覚めさせておこう、と言うだけのことです。
体軸をしっかり作り、余計な力みを抜いて、立ったり歩いたり出来る様になって来ると、対人関係であったり、樹木や自然環境に対して、なんとなくホワッと温かい感じがしてリラックス出来る親しみやすさを感じたり、逆にゾワッとやや冷たい感じがして近寄りがたい感じを、感じられる様になって来ます。
自分が習っていた古武術道場では、背後から振り下ろされる竹刀を視覚や聴覚に頼らず避けられれば、五段に承認され本格的な修行に入れる、と言う儀式がありますが、コレもまた力んでいると察知出来ずに背後から竹刀で頭をバシンと叩かれて終わるだけです。
ここまで感覚を極める必要は無いですが、日頃から意識しておくと、なんか嫌な感じがするから早くココから離れよう、などの感覚を感じられますし、そこまで行かなくても違和感を感じてサッと移動することで、突然の事故の被害から逃れることも出来る訳です。
自分の習っていた古武術道場には、海外の軍人や警察官など仕事に文字通り命をかけている人も多く来られており、実際にこの感覚によって間一髪で死を免れた、と言う経験談が少なくありません。
最も大切なのは「脱力(抜力と表現する方もいます)」と言うことです。日頃から意識しておき、咄嗟の時に力まず脱力し続けながら最小限の力で動ければ、頭も心も硬直することなく、最善の対応を取ることが出来ます。
最初のうちは練習中だけで良いですが、最終的には日常生活の中で常に意識出来るようになれば、危険を最大限に回避することが出来ます。
【気感を高める修練】
上記の様な察知能力のことを「気感」と呼ぶこともあり、コレを高める為に、気を練る「練功」と言う修練法が古くから伝わっています。
腕を振るスワイショウ(甩手)を始めとする動功、站椿功や樹木瞑想、坐禅、臥式瞑想を始めとする静功、に大きく分けられます。
現在ではYouTubeなどのオンライン動画や電子書籍などで調べればやり方はすぐに確認出来ますので、自宅ですぐに始めることが出来ます。
ただ、知識と経験のある指導者のもとで、複数人で修練を行うと、感覚がより高まりますし、軽く押し合ったりする様な修練をすることで、脱力しながらの正しい身体操作を体感することで、より早く上達することも出来ます。
気感を高めることは、健康とは無縁な様に思えますが、実は体内の血流を改善する効果も広く知られており、様々な内臓や精神的な不調を軽減させたり、自律神経バランスを整える効果が期待出来ますので、中長期的な健康効果もあり、中国では古くから内気功として健康習慣になっています。