医師以外は「治療」という言葉を使えるのか?(改訂版)

 医師法18条には「医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」と書かれています。
 また、医療法3条には「疾病の治療(助産を含む。)をなす場所であつて、病院又は診療所でないものは、これに病院、病院分院、産院、療養所、診療所、診察所、医院その他病院又は診療所に紛らわしい名称を附けてはならない。」となっています。

 「治療」という言葉は、「診療」という言葉と同様、医師だけが使える言葉のように僕は感じています。ただ、法律的に「医師だけが使える」と述べている条文は見つけられませんでした。逆に医師法や柔道整復師法で「治療」という言葉の使用法についての条文もありません

 一方で、医師法には「治療」という言葉の入った条文はありますが、柔道整復師法には「施術」という言葉が使われていて、「治療」という言葉の入った条文はありません。感覚的には「治療」は柔道整復師の使う言葉ではないように感じます

 wikipediaの「治療」に「日本の法律上は医師が患者の症状に対して行う行為のみを指して治療といい、」と書かれてますが、これは根拠としては怪しいです。「治療」という言葉の使用について規定している法律は僕の知る限りありません。

 現在厚労省で「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会」が開催されており、「広告ガイドライン」の作成がすすんでいます。そのなかで「治療」という言葉についても言及されています。

 その会議のなかで、令和5年2月の会議では厚労省の事務官が以下のように述べています
「広告不可というところで、診療、診察ですとか、診が含まれる表記は広告 不可だというようなことで、提案をさせていただいております。治療についても同じだと 認識をしております」

 つまり、厚労省の認識としては 「医業類似行為(医師以外)では「診療・診察・治療」は使えない(広告や看板として掲示できない」 という認識のようです。 

 また、その次の令和6年5月の会議では、ガイドライン案に
「広告不可な事項の例」として
「 診療(診療日、診療時間、診療中 等)」
「 診察(診察日、診察時間、診察中 等)」
「 診(休診日、初診、再診、往診等)」
「治療(治療日、治療時間 等)と表記すること」
が記載されました

 ただ、この内容は令和6年7月の資料では削除されています。
でも、厚労省の認識は前述のとおりのようです(「治療」は医師以外は使えない)

 法律は細かいことを書かないのはよくありますが、医師法や医業類似行為に関する各種法律、今回の「あはき柔整」に関する広告ガイドライン検討会をみると、 「法律の条文として明記されてはいないが、「治療」という言葉は医師のみが使える(広告できる)言葉」という認識でよいと思います