医師ではない人が自分自身を「Dr.」と呼称することについて

僕は別に誰が自分のことを「ドクター(Dr.)」と呼んでもいいとは思います。しかし、医師ではない人が、自分のことを医師と勘違いさせてしまうように自分に「ドクター」という呼称をつけることは法律的にも道義的にも問題があると考えています。

 医師法18条では「医師でなければ、医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」となっています。では、医師ではない人が自分のことを「ドクター(Doctor、Dr.)〇〇(名前)」と呼称することはどうでしょうか?英語のドクター(doctor)には「医師」という意味の他に「博士」という意味もあります。医学に限らず大学で博士号を取得している人が自分のことを英語圏で「doctor」と呼ぶことは間違ってはいません。博士号の有無に関わらず、例えば、風水の人や発明家の人で「ドクター〇〇」と自身を呼んでいる人も特に問題視はされていません。しかし、「ドクターX」や「ドクター・コトー」のように、日本で「ドクター」といえば一般的にはまず医師を連想する人が多いのではないでしょうか? 

医師法には「医師又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない」とあります。「医師」と名乗ることがダメなだけではなく、紛らわしい名称を用いることもダメなのです。「ドクター」を明らかな医療関係者以外が用いれば医師ではないことが類推できますが、医療関係の話をしている人が医師ではないのに日本で自分のことを「ドクター」と呼べば、普通の人は「ああこの人は何かの博士号を持っているのだな」とは考えず、「この人は医師なのかな?」と考えると思います。そうなると、日本で自分に「ドクター(Dr.)」という呼称を使う事は「医師に紛らわしい」呼称ということになり、医師法に違反している可能性が高くなります。 

ちなみに、本当の医師の場合、英語で自分が医師だと自己紹介するような場面があったら、「doctor」だけではなく、わざと「medical doctor」と言います。その方が間違いが少ないからです。