労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)口述試験対策~解説編~

序文


このnoteは合計35000字ほどです。本番での回答を想定し、ひとつひとつは簡潔に記載しています。このようなまとめノートを自分で作るのは大変ですので、利用していただくと大幅な時間短縮になります。

本文

志望動機は?
開業し、労働衛生コンサルタントとして業務を行いたい。

今までにどのような形で産業保健に関わってきたか?
(例)今年からホームセンターの嘱託産業医として選任されている。また、臨床医として労災によるケガに対応してきた。

産業医として扱った有害業務は?
(例)重量物を取り扱う業務

取り組んだ事例を具体的に。
(例)園芸売場にて、お客様が連れた犬が従業員の下肢に咬みついた。労災。医療機関を受診して治療を受け完治。動物咬傷は感染の恐れが強いため、同様の事案が発生した際は、必ず医療機関を受診するように指導した。抗菌薬予防投与、創部洗浄、(破傷風トキソイド接種歴や創部の状況から、)破傷風トキソイドを接種すべきか医療機関で判断される。第三者行為災害も該当するので、労災認定となった場合、飼い主が加害者となり、労災保険(国)から加害者に対し損害賠償請求の対象となるため、必ず飼い主の氏名・住所・連絡先を聞くように指導した。

労働衛生に関する主な法令は?
労働安全衛生法、作業環境測定法、じん肺法、労働基準法、過労死等防止対策推進法

憲法、法、施行令、規則の違いは?
憲法は国民が制定権者。国の最高法規。
法律は国会で議論され制定される。憲法の次に形式的効力を有す。例:労働安全衛生法
政令(施行令)は内閣が制定する。例:労働安全衛生法施行令
省令(施行規則)は各省大臣が制定する。例:労働安全衛生規則

労働衛生コンサルタントはどのような業務を行うものか?
安衛法第81条第2項に記載。
労働衛生コンサルタントは、労働衛生コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、労働者の衛生の水準の向上を図るため、事業場の衛生についての診断及びこれに基づく指導を行なうことを業とする。
コメント:丸暗記しておいたほうが無難です。

労働衛生コンサルタントは産業医とはどのように異なるか?
労コンは労コン試験に合格し、厚労省に備える労コン名簿に登録したもの。
産業医は健康管理等の専門的知識を有する医師。
勧告権:産業医には事業場に対する勧告権があるが、労コンにはない。
身分:産業医が企業組織の一員であり、労コンは企業外で独立した第三者。
依頼される業務:産業医が包括的・全般的・常時的であり、労コンは単発的・限定的・短期的。
専門性:産業医が健康管理、労コンが5管理の専門的事項。
★厚生労働大臣が重大な労働災害を発生させた事業者に「特別安全衛生改善計画」の作成・変更を指示
★労働局長が労働災害防止のため必要があると認めた事業者に「安全衛生改善計画」の作成を指示
厚生労働大臣や労働局長は労働安全コンサルタントや労働衛生コンサルタントの意見を聴くことを勧奨できる

法に規定されている労働衛生管理体制は?
安衛法10-18条。
総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、産業医、作業主任者の選任
安全衛生委員会の設置

労働衛生における3管理は?
作業環境管理:作業環境中の有害因子を除去・低減し、適正な作業環境を確保。
作業管理:作業の内容や方法を管理し、保護具を適切に用い、労働者の負担や暴露を低減。
健康管理:健康診断とその結果に基づく事後措置、健康測定とその結果に基づく健康指導、メンタルヘルス対応

労働衛生における5管理は?
3管理に加え、
労働衛生教育
統括管理(労働衛生管理体制の整備)

3管理の具体例は?
作業環境管理:製造・使用の中止、有害性の低い物質への転換、設備の密閉化・自動化・遠隔操作・有害工程の隔離、局所排気装置/プッシュプル換気装置での拡散防止、全体換気装置での希釈排出、作業環境測定
作業管理:作業方法改善、保護具の使用、作業手順書の作成と周知
健康管理:健康診断とその結果に基づく事後措置、健康測定とその結果に基づく健康指導、メンタルヘルス問題

作業環境測定の手順は?
デザイン  :単位作業場所、測定日、測定条件、測定点、測定手順
サンプリング:A測定、B測定、C測定、D測定
分析
管理区分決定

作業環境測定の方法は?
2種類ある。
1つは、作業場所の無作為に選定した定点で試料採取するA・B測定。
もう1つは、作業者に試料採取装置を装着するC・D測定。個人サンプリング法。
C・D測定の対象となるのは、低管理濃度の特定化学物質(ベリリウムやマンガンおよびその化合物など)、鉛およびその化合物、発散源が一定ではない有機溶剤。

測定点の決め方は?
A測定:6m以下の等間隔で引いた縦と横の線の交点。5か所以上。高さ50-150cm。10min。
B測定:濃度が最も高くなると思われる時間に、発散源に最も近接する場所で測定。高さ50-150cm。10min。
C測定:均等ばく露作業を行う労働者(原則として全員対象)に個人サンプラーを装着。
D測定:対象物質の濃度が最も高くなると思われる作業者に個人サンプラーを装着。


許容濃度と管理濃度、濃度基準値の違いは?
許容濃度:1日8時間、週40時間、普通程度の強度の作業に従事した労働者のうち、ほとんどが健康被害を生じない平均暴露濃度。日本産業衛生学会が勧告。
管理濃度:作業環境の管理区分を決めるための指標。厚労省の告示。
濃度基準値:事業者は、リスクアセスメント対象物のうち、厚生労働大臣が定めるものを製造し、又は取り扱う業務を行う屋内作業場においては、当該業務に従事する労働者がこれらの物にばく露される程度を、厚生労働大臣が定める濃度(濃度基準値)の基準以下としなければならない。

TLVについて教えてください
TLV(Threshold Limit Values:曝露限界)
米国産業衛生専門家会議ACGIHが勧告
TLV-TWA(Time weighted average:時間加重平均値):許容濃度と同義。
TLV-STEL(Short time Exposure Limit:短時間曝露限界値):15分間の時間荷重平均許容濃度。
TLV-C(Ceiling:天井値):瞬間的にでも超えてはならない濃度。

管理区分はどのように決まるか?
第1管理区分、第2管理区分、第3管理区分に分けられる。
A測定から、第1評価値と第2評価値が得られる。第1評価値は上位5%、第2評価値は算術的平均。
B測定から、B測定値(最大値)が得られる。
第1管理区分:「第1評価値が管理濃度未満」かつ「B測定値が管理濃度未満」
第3管理区分:「第2評価値が管理濃度より大」または「B測定値が管理濃度の1.5倍より大」
第2管理区分:それ以外

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