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頬骨の役割ってなんなんだ?

巨大な恐竜骨格を見ずに育ったひとっています?

上野の国立科学博物館には多数の動物の骨格がゴロゴロ陳列されています。

私たち形成外科医が治療の対象とする頻度の高い頬骨(きょうこつ:ほほの骨)。

多岐にわたる種(しゅ)のほお骨のバリエーションを見て、頬骨の役割について考えさせられました。

比較解剖学です。異なる種の骨格から解剖の機能を類推(機能解剖学)します。

類人猿、特にアジア人は頬骨体部が張り出しています。


頬骨が張り出す

外からの攻撃に対して眼球を保護する役割があるのかな?との仮説をたててみました。が別のアイデアも浮かんできました。

捕食、咀嚼のための咬む力を補強するためではないかということ。

頬骨には咬筋が付着します。顎関節を支点とした「てこの原理」でものを噛みつぶします。力点を顎関節から遠くした方が作用点の圧力は大きくなります。


咬筋を顎関節から遠くしたほうが強い力を発揮できる

そのために前方へ頬骨がせり出す。

と思考したのでした。

そしたらね、その考えを支持する報告を見つけました。

以下はカナダの形成外科教室の論文.

J Surg Res. 2007 May 15;139(2):243-52.
The effects of masseter muscle paralysis on facial bone growth.
Matic DB, Yazdani A, Wells RG, Lee TY, Gan BS.

ウサギの咬筋をボツリヌス毒素で麻痺させると麻痺側の下顎骨と頬骨のボリュームが減るとのこと。つまり咬筋の機能が骨の体積に影響しているとのことです。

つまり噛むチカラと頬骨の発達に明確な関連性があるのです。

ウサギのデータですが、同じ哺乳類。人にも当てはまりそうです。

たしかにね〜頬骨が突出している人って顎のエラも発達していますよね。そう、咬筋そして下顎も発達していることが説明できます。

人間は何かを強く噛むことに特化して進化したようです。

あなたは噛むチカラを最大限発揮するときはどんなときですか?

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形成外科医 金沢雄一郎
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