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むかし話


昔々、おじいさんとおばあさんが犬を食って暮らしていました。二人は昔、可愛い娘を野犬に食べられて以来犬を見つけては殺してその肉をくらい、その皮を剥いでは太鼓をつくって売っていました。太鼓はたいそう良い音がすると評判で祭りがあるたびによく売れました。今夜もどこかの祭りで二人がつくった太鼓の音は山を越えて町まで聞こえてきます。都会の青白い窓に響くのは百年前の犬たちと一人の娘の歌う歌なのです。

ちなみにおじいさんとおばあさんは九十九年前にスイカを喉に詰まらせて死にました。


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