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こっそり教える アトピー皮膚科医おすすめ 保湿剤


保湿剤についてのお話.今回は,主に病院から処方される保湿剤のお話です.


ぬりかた

 まずは「ぬりかた」.合言葉は「テキトー」です.風呂上がり1回で十分.習慣にして頂くことが大切ですので,うで,すね,おなか,せなかは最低限塗っていただき,まずは負担を減らしていただくこと,習慣をつけることが大切です.
 うで,すね,おなか,せなかは,乾燥性湿疹の好発部位ですね.

テキトーに塗る

 力をいれてすりこむとどうなるかというと,図のように,せっかく塗ったものをわざわざぬぐい取っているのと同じことになっているんです.薬や保湿剤などは,物理的に押し込むことで皮膚から吸収しているわけではなく,やさしく置いておくことで,ゆっくりと吸収され効果を発揮します.
 例えば,ステロイド外用剤を「テキトー」と「すりこみ」で翌日効果を比較してみると,それだけで,効果の違いを感じることができますが,保湿剤も同じことが言えます.クリームやローションなどでは,少し白のこりするぐらいでいいと思ってください.youtube動画でもインスタでも,実際のぬりかたを紹介していますので,よければご参照ください.
 よくある質問としては,ステロイド外用剤と保湿剤の塗る順序ですが,医療機関ではほとんど,保湿剤を先に塗って,その後薬をぬってくださいと言われます.しかしながら,この方法には,確認した限りエビデンス(根拠となる研究)はありません.
 実際に自分の皮膚でやってみると,先に薬を塗って,その後保湿剤をまんべんなく塗った方が,皮膚炎はよく治まると感じています.保湿剤を先に塗らせる目的は,習慣をつけさせることだと思います.これに興味をお持ちの方は,是非自分の皮膚で試してみてください.

ぬるもの

 次に「ぬるもの」です.これらにはクリニックで処方されるものと,ドラッグストアで買ったり,ネットでポチるものがあります.ここでは,処方されるものを紹介します.
 ・ヒルドイド,そしてそのジェネリックであるヘパリン類似用物質
 ・
踵・肘の角質増生に人気のケラチナミン・ウレパールなどの尿素軟膏
 ・高齢者やステロイド長期使用による疲れた皮膚にザーネ軟膏
 ・
保護にもなる万能薬の白色ワセリン
などがあり,
 ・精製ワセリンで塗りやすくなっているプロペトは保湿としても使いやすく非常に汎用性が高くおすすめです.ただし,プロペトを保湿剤として使用する時は,ニキビができやすくなること,服についてとれにくいことが欠点です.服についたときは,お湯にしばらくつけたあと洗濯するか,ウタマロ洗剤で洗うとよいと患者さんから教えてもらいました.

保湿のメカニズム

 保湿剤には,油性のエモリエントと,水分を引き寄せ保持するモイスチャライザーがあります.ワセリンはエモリエント100%で,ヒルドイドローション・泡フォームはほぼモイスチャライザーです.
 それぞれ,油と水分の割合によって効果や塗り心地に差がでてきます.一般的には,エモリエントが多ければ保湿効果が高く,べたつき,塗り心地が悪くなります.それに対しモイスチャライザーが多いと塗りやすくさらっと伸びますが,保湿効果が低くなります.
 人によって好きな食べ物,感じ方が違うように,人によって肌の状態によって感じ方が違うので,実際に塗ってみてぬりやすいな,心地いいなと思うものを選びましょう.そして,季節,塗る場所によって感じ方が違うことも大切なことです.

ヘパリン類似物質 油性クリーム クリーム


油性クリーム/クリーム

 ヘパリン類似物質では,ヒルドイドシリーズを軸に分類するとわかりやすく,エモリエントつまり油の多く含まれる順に,ヒルドイドソフト軟膏,ヒルドイドクリーム,ヒルドイドローション,ヒルドイドフォームがあり,その順にさらさらになります.
 ソフト軟膏は油性クリームに分類され,日医工ニプロなどからジェネリックが販売されています.値段と効果などから選ぶとよいですが,同等の使い心地である場合,安いものを選択し,ケチらずにしっかり使うことが大切かもしれません.
 ジェネリック薬品でいえば,各社いいものを作ってくれていますが,その中でもニプロ製のものは,先発品と遜色がないくらいいいものだと感じました.
 ヒルドイドクリームは,チモールのにおいがなくなり,保湿剤として選択肢の一つとなりました.すこしクリームが固く,のびが悪いですが,保湿力はしっかりしています.
 以前から広く使われていた日医工のビーソフテンクリーム(ヘパリン類似物質クリーム)は,今でも人気が高く,迷ったらこれを使ってもらうことが多いです.コスパも非常にいいです.ジェネリックがあまりありません.

ヘパリン類似物質 ローション 泡フォーム 泡スプレー

ローションは50gあたり,泡・スプレーは1本あたりの値段


 ローションでは,ヒルドイドローションが唯一,乳化剤で白色,それ以外はさらさらの化粧水のような使い心地です.ローション基剤が最もメーカーで差が大きく,好みが分かれるところで,それぞれの希望に合わせて処方しています.ニプロはほぼ水分でさらさら日医工ローションはとろみ化粧水のような使い心地で,女子の顔に化粧水がわりとしてピッタリ合う場合があります.
 最近流行の「泡」ですが,ヒルドイドフォームが最もさっぱりしているのに対して,日本臓器,ポーラ(PP)のものはヒアルロン酸などを含有し,比較的しっとりとした印象で,どちらが好きかはっきりするところですので,使ってみて決めていただければいいと思います.日医工のスプレーと泡スプレーは,容器がそれぞれ違うだけで,中身はとろみ化粧水のローションと同じものが入っていますので,肌にのせた後は一緒です.

市販 保湿剤 ランキング

 市販のものについては,Dr.アトピーのInstagrumで紹介していますので,是非そちらをご参照いただけますとうれしいです.最近,ヴァセリンというメーカーのアドバンスドリペア ボディローションはコスパもよく,おすすめです.

まとめ 毎日,テキトー,習慣づけ!

保湿剤は,
感覚的,経済的に気持ちいいものであれば,どれでもいいので,
毎日,テキトー,習慣づけ!
が大切です.



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