見出し画像

2022 さあ始まる アトピー性皮膚炎 本気の治療!


 これまでアトピー性皮膚炎の治療は,ステロイド外用剤に頼るしかなく,医師も患者もアトピーという大きな敵の前に手も足も出ず,怒り悲しみ苦しみをぶつけ合うしかない,暗い暗いトンネルの中にいるような時代だったと思います.そのため,その矛先がステロイドバッシングや,痒くてかいてしまう幼き子や,そして最後には,自分自身に向いてしまっていたわけです.若き日の外見のコンプレックスは,たくさんの機会を奪い,人格形成に良くも悪くも,大きく大きく影響します.

 

デュピクセント(デュピルマブ)

2019年4月に始まったデュピクセントという注射は,その暗黒の時代に終わりを告げる希望を与えてくれました.よくなって初めて,アトピーがこんなにも生活に影響していることに気づかされたという人も多く,「今まで朝眠たくてしょうがなかったのに,ぐっすり眠ることができ,すっきり目が覚めるようになった」,ある大学生は「皮膚がきれいになって,彼女に告白する勇気がでた」,あるシングルファーザーは「落ち着いてじっくり,子供の話を聞いてあげられるようになった」など,うれしいお話を聞くことができました.目が赤くなる結膜炎や,軽い頭痛を感じる人がいますが,副作用も少なく,制度をうまく利用することで,1ヵ月1-2万円程度に抑えることもでき,あとは2週間に1回の注射の痛みを我慢するだけです.現在は15才以上に使用可で,今後は,6才以上に使える日がそう遠くないとのことです.


オルミエント(バリシチニブ)

  さらに,3つの飲み薬,オルミエント,リンヴォック,サイバインコ錠が使用できるようになっています.これらは全て,JAK阻害薬という種類に分類され,アトピー性皮膚炎の他にも関節リウマチなどに使われる,不思議な力をもったお薬です.オルミエントは15才以上リンヴォック,サイバインコは12才以上から使用可です.デュピクセントでも劇的な効果がありましたが,これら飲み薬はさらに早く効果が出て,とくに痒みにはよく効きます.

リンヴォック(ウパダシチニブ)
サイバインコ(アブロシチニブ)

 「アトピー性皮膚炎のかゆみ止め」が,今まで使われてきた抗アレルギー薬からこれらJAK阻害薬に,変わっていくかもしれません.飲んで翌日には効果を実感できるくらい早く効きます.ただし,副作用に注意が必要なことと,数か月過ぎた頃に効果の頭打ちがあったりと,今後,それぞれの特性や使い分けが分かってくると思います.

 今までのアトピー治療暗黒時代に比べれば,これだけの希望の光が存在すること自体がすばらしいことだと思います.もちろん,医学によって,アトピー性皮膚炎に苦しむ人すべてが救われるわけではありませんが,一人でも救われるのであればという気持ちで,今年もアトピー性皮膚炎治療に尽力していきたいと思います.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?