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人って与えられた環境で進化するんだよね、「映画を早送りで観る人たち」を読んで

本日は、こちらの本、「映画を早送りで観る人たち」の紹介です。

環境が人を作る

この本は、第一章で、映画や映像作品を早送りで見る人が増えてきて、そんな見方をする人にインタビューする構成となっています。

その中では何かしら、作者の、「映画や映像作品は等倍速で観るもの」といった考え方、価値観をを押し付けられているようで、いやらしさを感じました。

映画や映像作品を早送りで見るかどうかは、時代や環境が決めるのであって、観る側のモラルやマナーの問題ではないんだよなぁと。

つまり、昔のように映像を見るには、テレビ番組を録画するか、レンタルビデオ屋に借りに行くしかなかった10年以上前には倍速で見ようなんて思いもしなかったですよね。

しかし、いまやサブスクリプションのサービスが全盛になって、低額の月額料金で見放題というネットフリックスやアマゾンプライムといったものがどんどん出てきています。さらに、無料で見放題のYouTubeといったサービスもある状態です。

一生かかっても見切れない量の映像作品が見放題で、しかもボタンをポチッと押すだけで早送りで可能ということになれば、誰しも早送りしてしまうんじゃないでしょうか。早送りするのは、モラルというより環境の問題だと思ってますね。

面白くなるのは2章から

第一章では、ちょっと違和感を感じたんですが、面白くなるのは2章からですね。早送りをする人が増えたことから、セリフで全部説明する作品が増えたそうなんですね。

例えば、あの有名なアニメ「鬼滅の刃」の第一話のシーン!

主人公の竈門炭治郎は、雪の中を走りながら「息が苦しい、凍てついた空気で肺が痛い」と言い、雪深い中で崖から落下すると「助かった、雪で」と言う。

今まで気づかなかったけど、めちゃくちゃ説明ゼリフを言ってるんですね。これは確かに不自然。でも、今や早回しで見ても面白くなるよう、制作サイドが求められる状況になっているという話ですね。作品自体も時代や環境によって徐々にですけど、変わっきているんですね。

評論の世界も変わってきている

第4章は映像などの評論の話ですが、興味深いものがありました。特に、書評に関して、けんごさんというTikTok で本を紹介する方が、筒井康隆の「残像に口紅を」という小説を紹介したらバズって、10万部以上の増刷がかかった話が紹介されています。

思わず探してみましたが、確かに買いたくなりますね。こちらの動画です。

@kengo_book

一年前に投稿して、960万回再生された動画をもう一度! 7月27日は『残像に口紅を』紹介記念日です📚 #本の紹介 #おすすめの本 #小説 #小説紹介

♬ オリジナル楽曲 - けんご📚小説紹介 - けんご📚小説紹介

確かに買いたくなりますね。それにしても、TikTok で書評をする人がいるとは、そんな時代なんですね。

まとめ

というわけで、「映画を早送りで観る人たち」という本の紹介でした。なかなか面白い視点での考察が多くてためになりました。

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