こんなにも感動的な景色を僕は未だかつて見たことはなかった
足が痺れている。
そう感じてはいるものの僕はどうにか実家のあの土堂町にあるオウチに帰りたい。
財布の中身をふと気になって確認してみた。
100円玉がいくつか、10円玉がいくつかあるからなんとかこの渡船の料金は支払えそうだなって気づいてホッとした。
僕はつい2週間前に東京から帰郷したばかりで、
僕は全てを失ってしまった。
仕事も、友人も、家族さえも崩れかけていると感じていた。
それでもいいんだ!自分自身が決めてここまできたのだから!!
それでもいいんだ!!
なのにこんなに