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足りないくらい

 好きな曲の歌詞に「足りないくらいでいいんです 楽しみは少しずつ」という言葉が出てくる。
 友人との遊び然り、恋人とのデート然り、制限時間付きの娯楽はなぜあんなにも魅力的なのだろう。(もう時間か……もう少しここにいたいのに)終わりの時間が近づくにつれ、価値がどんどん上がっていく。
 足りてしまったら、どうなるのだろうか。美味しいご飯に、新しい場所に、恋人の笑顔に、心を揺さぶられなくなる日が来たら……。
 好奇心の権化といってもいい自分のことだから、「足りる」可能性について考えるのは杞憂かもしれない。それでもたまに、怖くなってしまう。
 足りないからこそ、私は私でいられる……?

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