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借地権とは何か?どういった権利なのかしっかり把握

借地権とは、借地借家法に基づく定義で、建物所有を目的とする地上権及び土地の賃借権をいいます。
簡単に言えば、他人の土地を借りて、その土地上に建物を建てられる権利です。ここまでの説明は、ほとんどのサイトでも解説されています。
では、そもそも借地借家法って?建物所有目的ってなに?地上権とは?土地の賃借権とは?これらをすべて解説します。その解説をふまえて、借地権とは、他人の土地を借りて、その土地上に建物を建てられる権利ということがおわかりになるでしょう。

借地借家法第2条第1項(定義)
借地権とは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
引用元:e-gov

借地借家法とは?

借地借家法とは、平成4年8月1日に施行された法律で、建物所有を目的とする土地の貸し借りや、建物の貸し借りについて定めた法律です。
この法律の趣旨は、土地や建物の賃貸借契約における借主(借りている方、借地人・借家人)を保護するものです。
借地借家法が施行される以前は、借地法・借家法・建物保護法という3つの法律によって、借主の保護を定めていました。借地借家法はこの3つの法律が統合され、新しく施行された法律です。

借地借家法第1条(趣旨)
この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めたものである。
引用元:e-gov

そもそも、モノの貸し借りは民法(平成32年4月1日改正)に定めがあります。

民法601条(賃貸借)
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対して賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
引用元:e-gov

日常生活における物の貸し借りは民法の規定に基づきます。

例えば、レンタルショップでモノを借りたり、不動産に関する賃貸借でも貸し駐車場のような建物が関与しない賃貸借においては、民法の規定に基づきます。
建物の貸し借り、建物所有を目的とする土地の貸し借りの場合、民法の規定より優先して、借地借家法の適用を受けます。この様な法律を特別法といいます。なお、借地借家法に定めがない事項については、民法の規定を準用します。

民法と借地借家法の違い

モノの借り貸しについての法律2つ、民法と借地借家法の違いを見てみましょう。
民法(一般法)※平成32年4月1日に改正されました。
民法の規定は、前述したとおり、日常生活においてのモノの貸し借りや不動産に関連することとしては、貸し駐車場等、建物の所有を目的としない土地の賃貸です。

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借地借家法(特別法)

建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約(借地契約)または、建物の賃貸借契約(借家契約)などです。
日常生活で最も関係することといえば、アパートやマンションを借りる借家契約ではないでしょうか。借地と借家について特別に規定した法律です。
借地借家法の中で、土地の貸し借りについて定められており、借地借家法の適用を受ける借地契約を根拠とする権利を借地権といいます。

つまり、民法と借地借家法は、貸し借りをするモノ(対象物)の違いにより、適用となる法律が変わることがわかります。
建物所有を目的とする土地の貸し借り、建物の貸し借りは借地借家法の適用を受け、その他は民法の適用を受けるということです。土地の貸し借りでも、建物所有を目的としない場合、借地借家法の適用を受けず、民法の適用を受けます。

借地借家法の沿革

借地借家法は、平成4年8月1日に施行された法律で、借地借家法が施行される以前は、借地法・借家法・建物保護法の3つの法律によって、借地人の保護を行っておりました。
時代を遡ると、明治42年(1909年)に建物保護法が施行されるまで、借地人は保護されておらず、土地の所有者が変わった場合、新地主に土地を明け渡せと言われたら、建物を解体し、土地を明け渡さなければいけませんでした。
いわゆる第三者対抗要件がなかったということです。
このように、建物保護法が施行される以前まで、借地人は急に住まいがなくなってしまう恐れがあるという不安定な状況にありました。 

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地上権とは

地上権とは、民法に規定する権利で、他人の土地を、目的をもって利用する権利です。

民法265条(地上権の内容)
地上権者は、他人と土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
引用元:e-gov

民法に規定する工作物とは、建物、道路、橋梁、トンネル、鉄塔、地下鉄などすべての地上及び地下の施設をいいます。地上権設定の有無は、土地に登記されます。
地上権は土地を直接的に支配できる強い権利を有するものです。地上権者は、地主の承諾なくして地上権の譲渡や転貸することができます。

地上権と賃借権の違い

他人の土地を利用する(できる)権利として、地上権と賃借権があります。この違いについて解説します。

地上権(物権)

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賃借権(債権)

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地上権と賃借権の根本的な違いは、地上権は物権で、賃借権は債権であることです。
物権とは、直接的にモノを支配できる権利となり、債権とは一方がもう一方に対して特定の行為をなすことが請求できる権利です。

もう少しわかりやすく説明すると、地上権の場合、借地権者は地主の意向を介せず、直接借地権者の意思をもって建物を所有する目的で土地を利用する権利となります。もちろん、地上権にも地代の支払いや期間の定めなどはあります。
賃借権の場合、借地権者は債務履行(地代の支払いや地主の承諾取得等)を条件に、地主から建物を所有する目的で土地を借りて利用する権利です。
大きな違いは、承諾関係といえるでしょう。地上権は建物の売却や抵当権の設定などが借地権者の意思でできますが、賃借権は建物の売却や抵当権の設定など地主の承諾が必要となり借地権者の意思だけではできない権利となっています。

借地権とは【まとめ】
借地権とは、借地借家法に定義される権利で、建物所有を目的とした地上権及び土地の賃借権です。
建物所有を目的としていないと借地借家法の適用を受けず、借地権とは言いません。
また、土地の利用できる権利が地上権と賃借権の2つあることもお判りいただけたと思います。

実際には、地上権の借地権は稀で、ほとんどが賃借権の借地権です。これは、土地を貸す地主が地上権の設定することは珍しく、その多くは賃借権にて土地を貸しているものによります。

借地権の種類と特徴

借地権はいくつかの種類があります。
これは平成4年に借地借家法が施行され、借地権の種類が増えたといって過言ではありません。
いままで、借地人の保護のために建物保護法や借地法が施行されましたが、借地人を保護するあまり、地主にとっては一度借地権を設定すると、ほぼ土地を返還されることがありませんでした。このため、土地を新たに貸そうとする地主が減り、不動産流通・土地の有効活用が滞ってしまいました。

そこで、契約期間満了によって必ず地主に土地が返還される定期借地権等を定義した借地借家法が施行され、借地権の種類が増えることとなりました。
借地借家法施行以前より借地権が存在しているのは、借地借家法の経過措置により、旧借地法の適用をうけることとなります。

借地権の種類は、旧法借地権と新法借地権がある

■旧法賃借権(旧借地法)
借地借家法施行以前より存在する借地権で、借地法に基づいて設定された借地権です。
借地借家法施行により、借地法自体は廃止されましたが、借地借家法の経過措置により、借地法に基づいた法的定めの適用を受けます。借地法がされたため、旧借地法と呼ばれることが多く、旧借地法に基づく借地権を旧法借地権といいます。

■新法賃借権(借地借家法)
平成4年8月に施行され、新しく普通借地権、一般定期借地権、建物譲渡特約付き借地権、事業用定期借地権というものができました。
旧法と大きく違うのは、この定期借地権という更新の定めのない借地権ができ、借地期間満了と同時に借地人は地主に土地を明渡さなければなりません。背景には土地の有効利用を促進するため、貸したら返ってこないと言われていた旧法賃借権の改善が目的とされています。

新借地借家法は下記のように分類化されます。

■普通賃借権
旧法賃借権とほとんど変わりはありませんが、堅固建物と非堅固建物の所有目的区別が無くなり、当初の契約期間や更新の期間が旧借地法と違います。
(図1:旧法・新法の違い参照)

■一般定期借地権
契約期間満了をもって、地主に借地権上の建物を解体し、土地を明け渡さなければいけない借地権です。
更新及び建物の存続期間による契約延長が無い契約となり、契約期間は50年以上と定められています。特約などで、地主が建物の買取りをしない旨を定めた場合でも有効となり、契約書は公正証書による等、書面によって行わなければなりません。

■事業用定期借地権
専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、契約期間を30年以上50年未満として借地権の契約をします。
更新や期間の延長などは無く建物を相当の対価で借地権設定者に買取る請求をしない旨を定めた特約も有効となります。契約書は公正証書による等の書面によって行わなければなりません。
また、事業用定期借地権の場合は10年以上30年未満とする契約期間で借地権を契約することもでき、その場合も借地権者は更新や期間の延長、建物買取り等の請求はできません。10年以上30年未満とする事業用定期借地権の契約は公正証書によってしなければなりません。

■建物譲渡特約付き借地権
借地権設定後、30年以上を経過した日以降に借地権設定者(地主)に対し相当の対価で建物を譲渡する旨の特約を契約書に定めることができます。
上記特約により借地権が消滅し、それ以降に借地権者または建物の賃借人が使用を継続する旨を借地権設定者(地主)に請求した場合は、当事者間でその建物につき定期建物賃貸借契約を締結します。
また、借地権者または建物の賃借人が使用を継続する旨を借地権設定者に請求し、借地権設定者が賃貸を認めなかった場合には、その建物につき期間の定めのない賃貸借がされたものとみなされます。(借地契約に残存期間がある場合はその残存期間の賃貸借)
その場合の賃借は、当事者の請求により裁判所が定めることになります。

図1:旧法・新法の違い

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ご自身の契約が旧法借地権なのか、新法借地権なのか、よくわからない・・・といった場合は、契約期間で確認できることがあります。
地主との借地契約期間が20年間であれば旧法借地権、30年間であれば新法借地権と推測することができます。
しかし、これだけでは確定することはできません。新法借地権でも契約期間を間違えている可能性もありますし、旧法借地権でも30年間の契約期間もあり得ます。あくまで参考程度の推測ができるといったところでしょう。

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