フルビット免許の歩み② 小型特殊

フルビットの歩み第二話、フルビット泣かせの最強のザコ「小型特殊」です。フルビットを目指す方は取り忘れにご注意ください。

小型特殊って何?

小型特殊(以下、小特)は主に農耕車やフォークリフトが属します。
ただし、縦横高さ排気量のいずれかが一定以上であれば大型特殊に属します。
制限速度は15km/hです。
原付以外の免許(普通車、自動二輪など)の下位免許の為、多くの方は小特免許を持っていなくても小特を運転できます。
故に取り逃すと後から埋めることはできなくなってしまうわけですが。
なお、多くの場合は小型特殊の枠を超えてしまい大型特殊が必要、あるいは私有地内なのでそもそも免許が不要のどちらかのパターン多く、小特は事実上のゾンビ資格になりかけています。
(そんな意味のない資格にフルビットを防止された方々は少々可哀そうではありますが)

余談ですが、電動キックボードが小特扱いになると言われていますので今後需要が出るかもしれません。

小型特殊を取ろうと思った理由

・小特を取れば「「二・小・原」に記載の日付は小特を取得した日付だ」と言い張ることができ、原付の取得日を偽ることができる
(大学課程に進級した際、本来なら原付通学の申請をすれば許可が得られるのだが原付を学校に黙って取得しているため原付の取得日がバレると認可が下りない。小特は原付を運転ができない、実家が農家であることを理由にあくまで実家の手伝いとして小特を先に取得していたことにする。
直近の免許取得日は発行日でバレてしまうが、これは3年修了時に普通免許を取得すれば隠すことができ、原付・小特のうち後から取ったほうの日付はどこにも記載されない免許が出来上がる。つまり小特を高等課程で取得し、原付と普通車は3年修了後に取ったようにも解釈可能な免許表記ができる)
青色免許になる(緑色の免許を早期に卒業できる)
・免許の更新期限が伸びる(原付免許取得以降に誕生日を迎えている場合)
・もし将来フルビットをしたくなった場合、希望の道が閉ざされなくて済む
・ほとんど使うことは無いだろうが、一応乗れる車種は増える
・ネタになる
・自動二輪を試験場で取得しようと考えていたので予約やコース下見で一度試験場に行く予定がある。(なお、広島県は平日に最寄りの警察署でも技能試験の予約は可能です)

なお、私の場合は該当しませんが、即日交付で安く身分証明書を発行することができるというメリットがあります。(広島県だと原付は講習予約の都合で取りたいと思ってからでは日数が余分にかかりますし、そうでなくても原付講習費用が数千円します)
写真付きの身分証がすぐに必要となった方
・原付すら乗る予定も当面ないけどゴールド免許の期間稼ぎはしたい方
に小特の取得はおすすめです。
ぶっちゃけ身分証のためか踏み台用途かの資格だと思っています。

小型特殊免許の取り方、勉強の仕方

基本的に原付とほぼ同じですが、原付講習はありません。
広島県の場合は原付講習は教習所移管で要事前予約と敷居が高いのでそれがなく取得できる「唯一簡単に取得できる免許」と言えるでしょう。
ただし、原付と異なり各警察署で月1回実施にの試験はやっていません。
よって事前の準備は身分証(原付の免許証or保険証+住民票)だけで済みます。

東京の江東試験場は試験コースを持っておらず講習を実施できないので原付免許取得は鮫洲か府中ですが、小特であれば江東でも取得できます。

学科試験の範囲はほぼ原付と同じです。
原付と比べて異なるのは以下の点です。
・制限速度は15km/h(原付は30km/h)
・二段階右折は不要(原付は必要)
・最大積載量は500kg(原付は30kg) ←問われません
・自動車専用道路は通行できる(原付は通行できない) 
なお、3つ目の最大積載量は恐らく問われません(私も知らなくてこの記事を書いている最中に調べたほど)し、4つ目の自動車専用道に関しても道交法ではなく車両法の範囲なのでこれも問われることはないでしょう。
これら以外は原付と共通ですので原付のテキストで勉強すればよいです。小特専用のテキストなんて需要の少なさから存在しませんので。

二段階右折や積載量に関する問題がなくなる分、むしろ原付よりも簡単と言えます。
さらに、原付は需要の多さから問題は8セット用意されているのに対して小特は2セットしかありません。(厳密な問題セット数はわかりませんし県によっても異なるでしょうが、小特のほうが少ないです)
複数回受験の人は小特なら問題がすぐにダブり始めると思います。

試験場へ行くまでが最難関 ~with最強の起床試験~

原付免許取得から半年経過した春休みのことでした。
前回は父に最寄り駅まで送ってもらいましたが今回は相棒の原付で自力で行きます。距離にしておよそ40km。
なお、原付取得の際に前述した通り、公共交通機関では間に合いません
2時間ほどあれば行けるだろうと朝6時過ぎに出発。
ナビもなくスマホもなく、紙の地図を頼りに止まって確認しながら
「次は直行する国道〇号線を右折…国道〇号線…あった」
と進んでいきます。とここで…
自動車専用道!?!?原付は進入できない!?
そう、広島県はマツダのお膝元、自動車大国なのです。
国道2号線沿いは無料のバイパスがたくさんあり、旧道への案内なんてろくにありません。(西広島バイパス、三原バイパス、尾道バイパスなど)
そう、自動車大国ですから原付なんて肩身が狭いのです。
県や自治体から「無料だからみんな通れるよね」「原付でそんな遠出する人なんておらんやろ~」
と間接的に言わんばかりなのです。
余談ですが、静岡県も同じ状況で国道一号線を走ると湖西市で同じことが起こります。
静岡も自動車大国でしたね…

止まっては地図を見てを繰り返し、バイパス回避に苦しめられながら何度も彷徨うこと数十分。
「県道〇号線、県道〇号線…見当たらない…ない、ない。」
あと10kmほどのところまで来て、時刻は既に8時30分。
もう間に合いません。
そして…そう、原付の際に述べたように広島試験場は学科試験初回受験者は午前だけです。
私は小型特殊としては初回受験者なので午後では学科試験を受けられないのです。
「免許を取るのに免許がいる」と言われる広島県、免許があっても原付では免許試験場にたどり着くのは困難でした。もう難易度高すぎでしょ…
この日は諦めて一度帰らざるを得なくなってしまいました。

気を取り直して翌日2日目
昨日は2時間半かけてもたどり着かなかった。ならば…と気合を入れて朝5時に出発。
このように広島での免許取得の「起床試験」はめちゃくちゃ難易度高いですが、これはもう立派に合格ですね。
結果、多少迷いながらも朝7時に到着。さすがにちょっと早すぎました。

学科試験 ~たくさんのネタを添えて~

なんと、早すぎて試験場の入り口の門は閉まっていました。
まだ門が開いていないので大人しく勉強しながら待つことにします。
駐輪場も門の内側ですので原付を入れることもできません。
「(しかたない、門の近くの歩道に止めて原付を椅子替わりにするか…)」
5分ほど経って来た最初の警察官「すみませ~ん、今門を空けますね」
原付に座って原付のテキストを読む私の姿は警察官にどう映ったのだろうか。
無免許運転と思われて声かけられなくて良かったです。と言っても声かけられたら免許見せて事情話せばいいだけですが。何ら違法性はないので…

学科試験の受験申請。
3色ある受験申請書のうち、オレンジ色の「原付・小特用」を取り、「小特」に〇をする。収入証紙を購入し、貼り付け。
しまった、本籍の記載欄が…本籍分からない。仕方ない…母に電話しよう。
(原付のときは住民票があったので記載できた)

よし、一通り書類も揃ったのであとは提出だ。
身分証(原付の免許書)と書類一式を持って列へ…
巡回・案内をしている職員「ちょっとそこの君!!なんで免許持っているのにさらに原付を受けようとしてるの?受けられないよ?
私「えっ…!?!?小型特殊ですが」
職員「あっ、あぁ…ほぉ、小型特殊…」
どうやら小特受験はあまりいないようだ。

窓口に一式を提出。
職員「ん?免許証???」
私「小型特殊です」
職員「あ、あぁ…小特(ショウトク)なのね」
どうやら小特受験は少ないようだ。
そして業界では小型特殊のことは「ショウトク」と呼ぶのが基本のようだ。
(なお、大型特殊は「ダイトク」と呼ぶようです)

いざ、学科試験会場へ。
「では順番にお呼びしますので着席願います。
受験申請書の下部に記載の番号が本日のみなさんの受験番号です。」
原付・小特は合算で端一列、小特が先頭のようだ。
もちろん小特は私1人しかいない。
ん??ん??
さっき出した申請書に「小特」ってデカデカと青鉛筆で書いて青枠で囲ってめっちゃ強調してある…そんなに誤認するというのか?
どうやら小特受験は珍しいようだ。

いざ学科試験開始。
しかし、電光掲示板での発表は車種毎にまとめられて表示されるから
「小型特殊 合格者はいません」と表示されると誰が落ちたかバレバレで恥ずかしい…
これは落ちられないな。
なんて思いながら問題を解く。
一度原付で勉強したことだし、原付で一度合格している。
さらに範囲も原付より狭く、落ちる要素なんてまずない。
実際、迷った問題は「ラジエーターはエンジンを冷やすためのものである」の1問だけであった。これ試験範囲ではないような…
(今は当然〇と分かるが、当時は車の知識や機械の知識は特になかったため分からなかったので勘で〇と書いた気がする。そもそも今思えば原付はほとんど空冷だし、小特も空冷?それとも水冷?ラジエーターなんてあるのか?)
イラスト問題の文面は15km/hにしっかりなっているが、ドライバーの一人称視点のコックピットの絵はどうみても原付スクーターに見える。受験者も少ないからどうせほとんど見らることはないわけだし、専用の絵を書く参考資料や予算がなかったのかな?
さらに「急いで加速して通過する」って最高速度15km/hなのだからそれ以上の加速はできないのでは…色々と突っ込みどころがありすぎる。加速できるとしてもできないとしても答えは×なので迷うことはないですが。

そして交付 ~さらにネタを添えて~

試験も終了し、合格発表。
結果は無事合格。小特全滅による公開処刑にならなくて済みました。
原付の時と同様に適性試験(身体・三色判断など)、そしてお偉いさんの
2回目の「バス運転手が確認せずに発車した事故で亡くなった幼児のお話」を聞く。
さらに免許手渡しの際のお偉いさんの挨拶
「みなさんはこれで晴れて今日から原付に乗れるようになりましたが、くれぐれも事故にはお気を付けください」
というありがたい(?)言葉を聞き、心の中では
「(いや、もう乗ってるし、何なら今日原付に乗ってここまで来たけど)」と思いながら聞いてました。
どうやら小特受験はとても珍しいようだ。
ただ、自分がそんな極めて少数なのはしっかりと認識したのでお互いの為にも一々否定もしませんが。
そして若い女性の方から一人ずつ完成した免許の交付。
職員「道祖人さん」
私「はい」(渡されて受け取る)
職員「2番目さん」
職員「あっ、道祖人さん、待ってください、忘れてました古い免許証をお返しください
私「(やっぱり返却だよね。このまま忘れられて警察側の過失のまま記念品として持ち帰りたかったけど)」
どうやら小特受験は非常に珍しいようだ。
担当職員が若かったのでなおさらそんな珍しい経験がない初めてのことだったのかもしれない。
周りの原付交付の方々にはどう映っただろうか。
「(なんでこいつ原付免許持ってるのに原付免許取ったんだ?意味わからん)」とでも思われた可能性は高そうである。なんせ呼ばれる時は受験番号だけで車種は伝えられていないのだから。

無事帰宅した際の家族の一言
母「今日電話で急に本籍聞かれたけど何かあったの?」
私「あぁ、小型特殊免許取りに行ってた」
母「??(理解できなくてポカンとした顔)」

父「え?青色免許になるの?いいじゃんそれ。保険料も安くならないかな」
(原付はファミリーバイク特約なので全く変わらない。普通車に乗るときは普通免許取るから緑は終わるのでどちらにせよ同じ。緑が青になるメリットは実は気持ちの問題だけだったり)

そんなこんなで小型特殊免許が無事完成し、2ビット目が立った。
当時は小型特殊は右上、原付は左下であったため、対角線で端と端に斜めに存在する免許がちょっとカッコイイと感じてしまった(中二ならぬ高二かもしれない)
準中型新設以降は左下が小特、左下から2番目が原付となっている。位置的には原付より端っこである小特が埋まっているほうがカッコイイような気がしなくもない。
なお、取得時に講習もなければ実技試験もなく、もちろん免許取得後にも乗る機会なんてないので唯一「一度も乗ったことのない車種」となっている。

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