フルビット免許の歩み③ー1 普通自動二輪(小型AT)

フルビットの歩み第三話、ついに技能試験のある免種に入ります。
初の技能試験を伴う免種でありながら、いきなり試験場飛び込み受験に挑むという茨の道を歩むことになります。さて、結果はいかに…

試験場での免許取得(飛び込み受験)とは?

多くの人は運転免許を取得する際は公認教習所に通って取得するかと思われます。これがだいたい95%の人間です。
一方で運転免許試験場で試験を受け、試験官である警察官が合格を出せば教習所に通って何時間も教習を受けなくてもいきなり免許が取得できます。
なお、教習所の卒業検定と試験場の技能試験は本来は「まったく同じ採点基準」となっていますが、教習所は受からせるための試験(そもそも不合格にして補修を受けさせるよりサッサと合格させて教習生の回転を速めたほうが儲かる)のに対して試験場は落とすための試験(簡単に合格を出して事故を出されては困るので落とす余地のない人だけを合格にする)です。
教習所だとまず取られないような加速不良や軽微の安全確認不実施なども試験場だと厳格に採点され、待ってましたと言わんばかりに減点されます。
あとでわかったことなのですが、試験場によっても採点の厳しさはかなり差があり、中でも広島県は受験者が少ないためか、あるいは事故が多い県だからか日本で一二を争うほど難しい試験場と呼ばれています。
(一方で受験者が多すぎて捌けきらないためなのか東京は日本で一番簡単といわれています)

自動二輪(小型AT)を取ろうと思った理由

無事原付免許が取れ原付通学が始まり、通学は1時間ほど短縮でき、早すぎる最終便に怯える必要もなくなり格段に楽になりました。
しかし、原付の際にお話ししたように家と学校の標高差は100mもあります。
そんな道を原付で登ろうとすると速度は10km/hしか出ない道もあり、車からはガンガン煽られ、こちらと二輪ですから命が惜しいので少し幅のあるところに差し掛かっては止まっては何度も道を譲るという毎日でした。
・普通免許は18歳になるまで待たなくてはならない
・普通車(軽自動車含む)を家に置けるスペースがない
・そもそも普通車(軽自動車含む)を買えるほどの財力がない
・小型自動二輪(原付二種)なら本体価格も安く、何より普通車やバイクの一番のネックである任意保険料はファミリーバイクなので原付と変わらない。税金も誤差の範囲。
という理由より普通自動二輪免許を取得し、原付二種に乗り換えることにします。
なんとか安く普通自動二輪免許を取れないか思ったのですが、一番に思い浮かんだ合宿免許は親に「危ないから」と猛反対されてしまい没になりました。
以前(高校入学よりも前だったと思う)、国道2号線の福山を親と車で走った際に広島県東部免許センターのすぐ横を通ったことがあり、父に「ここで飛び込みで試験を受けて合格すれば教習所に通わなくても免許はもらえるよ」と聞いたことがあり、試験場で飛び込み取得という手段があること自体は知っていました。

調べていくうちに
・普通車の飛び込みは練習環境がなければ極めて難しいが、普通自動二輪小型AT限定であれば原付で練習し、比較的簡単に取ることができるという記事や動画があった。
・普通自動二輪免許(限定付きを含む)を取れば普通免許の学科は免除になるため安く早く取得できる。
・どうで限定なしの普通二輪免許を取っても維持費や保険料の高さから当面の間は125ccを超えるバイクに乗ることができる経済力はないので急ぐ意味がない。
ということででまずは普通免許の学科免除狙いも兼ねて一番簡単な小型ATを取ることにします。練習は原付スクーターで行います。

島試験場の特徴

広島試験場は飛び込み取得の場合は事前に予約が必要です。
予約は試験場窓口または最寄りの警察署でできます。前日までに日付変更の場合は電話でできた気がします。(完全未予約の状態からの電話は不可)
学科試験から受ける場合でも予約が必要です。思いつきで行って学科試験だけ終わらせることはできません。学科試験は受かる前提で予約を入れ、午前の学科試験が受かった日にはそのまま試験…だった気がします(うろ覚え)。
なお、東京は先に学科に受かって初めて技能試験の予約が取れるのでその日に技能試験の受験はできません。予約が常にパンクしている東京でやろうものなら学科試験不合格だと枠が無駄になるからでしょうね。

その他主な特徴は以下の通りです。
・二輪と四輪は完全に別コース。二輪の試験は必ず1台ずつ実施する。
・二輪の試験は毎週月水金の13時30分から実施。
・二輪も四輪もですが8時と12時に電光掲示板にコース番号が表示されます。12時から13時の間はコースを歩けます。(二輪を実施しない曜日や午前に関してもコース番号が表示されます)
・他所の試験場でありがちな持ち込み車両による練習が可能なのは普通車だけです。二輪は練習できません。(今は準中型も対応しているかも)
・採点は日本各地の他の試験場と比較しても非常に厳しいが、一方で一発終了要素をした場合(課題失敗、信号無視や一時不停止など)ですらも中止せず走らさせてくれることもある。
・二輪コースおよび二輪待合室は窓口に向かって左手奥の「関係者以外立ち入り禁止」の看板の奥にあります。受験者、見学者、二輪コースを事前に見たい方は関係者なので通っていいです。
・コース図は二輪待合室にあります。売店に売っているコース図は一本橋もスラロームも何も書かれていない白地図なので使いものになりません
写真撮影が禁止されていないので二輪待合室のコース図を撮影して印刷するのが良い。(東京は撮影禁止ですが、受験申請時にコース図のコピーがもらえます)
1~4コースの4種類でS字・クランク・踏切の場所と順番のみが異なり、後半の一本橋、スラローム、急制動、波状路、指示速度は全て共通です。小型普通大型問わずコースは基本共通で該当しない課題が省略されるといった感じ。なお、限定解除審査の場合は1,2コースが共通で1コースになり、3,4コースが共通で4コース(実質2種類)になる。なお、指示速度はゴール前最後の外周の直線で35km/h指定
・発進してから最初の交差点までは慣らし運転区間ですので採点されない。右折のためダイヤモンドがあるあたりまでに右寄せが必要ですが、理論上は遅くても減点されないことになる。
・試験車両はCB750、CB400、CB125T、スカイウェイブ650、スカイウェイブ400、アドレス125(当時)
・大型自動二輪は試験前に事前審査として車両の引き起こし、8の字押し歩きをするのが決められているはずだ、広島ではこれらの事前審査は実施しない
・複数種が同日に受験する際の順番は「大型、普通・小型・限定解除審査」と決められているはずだが、広島ではこれらの順は無視され試験官の気分によって決められる。多くの場合は「冷めやすいから先に小型」と言われる。
・プロテクターは試験官が待合室に持ってきてくれますが、強制ではなくつけるつけないは任意

となっております。なお、予約はスカスカなので週3回受験もできます
受験者が1人や2人なのがほとんどで4人以上だったことは1回しかありませんでした。1ヶ月待ちが当たり前の東京からすると羨ましいかもしれませんね。

学科試験 ~飛び込み勢にとっては一瞬の通過点~

さて、まずは学科試験が受からないと話になりません。
お金がなかった当時の私は学科試験の勉強のためのテキスト代すら惜しいので原付のテキストで勉強しました。(原付・小特・一種共通、と3度もお世話になりました)
原付のテキストだけでは網羅できないと思ったので教習所で配られる”学科教本”が姉のものが残っていたのでそれを使って法規全般を勉強しました。
なお、中型新設やその他法改正がありましたがそれらはネット等で調べて勉強することにします。

さて、小型特殊を取った数日後、試験場に行き予約を取ります。(思えば免許発行直後、同日中に予約すればよかったです)
二輪駐輪場から見える二輪コースの右手前側には曲線一本橋があります。二輪駐車場側から見るとこちらが先に目につくの焦りましたが、これは指導員や警察官の訓練用です。広島試験場の一本橋だけがめちゃくちゃ難しいわけではないです。
学科試験の予約は一番左の総合窓口で申し出て専用の仮申請の申請書をもらいます。
学科試験受験の場合も予約は後日で学科試験すら受けられないので後日再び来ることになります。

来たる後日、学科試験を受けます。
毎度おなじみ早起きして朝からの受験です。
仮申請の用紙を提出すると青色の試験場受験者専用の申請用紙がもらえます。色以外は机に置いてある教習所卒の申請書や原付の申請書とほぼ同じです。
もう手慣れたものなのでさっさと書いて提出し、学科試験の会場へ行きます。

試験監督「なお、問題文に特に指定がない場合はご自身の車種としてお考え下さい」
問XX「高速道路では…である」
問XX+1「高速道路では…である」
問XX+2「高速道路では…」
私「(あの…私小型ATだから高速道路乗れませんけど?全て×でいいですか?)」
なんて文句を言っても機械採点の結果は変わりません。
こちらと学科試験が普通車含む一種免許共通なのは知っているし、今後の免許取得時に学科免除になるのだから今乗れない車種のことを聞かれるのも当然のことです。無論、ちゃんと勉強しているし、何より常識の範疇で答えはわかります。

そして合格発表。
私「(そういえば「普通自動二輪小型AT限定」って私しかいないからこれまた落ちたら恥晒しだよね?まぁ大丈夫でしょう)」
結果は合格でした。ところで教習所卒の方々は20~30時間講義を受けてさらに教習所内で効果測定もしているはずなのに合格率が半分以下とはいったい何をやっているんでしょう?こちらと原付のテキストと陳腐化した学科教本で勉強しただけで一発合格ですが。

合格したのでなぜか二種の方と私が一緒に呼び出される。
普通二種の還暦前後(?)の方に話しかけられて「車種は何ですか?」「何回目ですか?」と聞かれました。
私「二輪の試験場取得で学科は1回です」
普通二種の方「すごいな、私は4回かかっちゃったよ、舐めてたね」
二種学科はそんなに難しいのだろうか…とこの時は感じた。
(なお、実際はのちの記事に書くが、二種学科は全く苦戦しなかった)

適性検査(視力試験など)を受け、さらに私だけ個別で呼び出され技能試験の軽い説明(待合室の場所やコース図など)があったような気がします(うろ覚え)
そして同日にそのまま技能試験へ。

技能試験 ~日本最難関の試験場という説~

まずは12時から13時の間のコース開放を利用してコースを歩きます。
「(このあたりでウィンカー、3秒経ったら右後方確認、右寄せ)」
イメトレを入念に行います。
なお、広島は1~4コースのどれかが偏っているということはないです。
12時なると電光掲示板に自動で表示されることから乱数かもしれません。
(東京の府中はのちの記事で後述予定ですが、かなり偏りがあります)

13時~13時30分までに窓口で申請し、13時30分に待合室で待機。
しばらくするとバイクがやってきて開始地点に並びます。
(試験官が順番に運転して持ってきます)
そして並び終えると試験官が待合室に入ってきます。
私の他には大型二輪の方が1名。先に大型の方が走ります。
受験時の注意点やコースの説明(全車種やります。基本的にほぼ共通ですが)があり、説明が終わると外に出て発着点のベンチに移動します。
発着点のスピーカーで呼ばれるとヘルメットを取ってカメラに向かって本人確認をし、試験開始。
私の他には大型二輪の方が1名。先に大型の方が走ります。
「(この方、上手い。減点が全然見当たらない…)」
無事完走し、続いて私の番になります。
なお、125ccに乗るのはこの時が初めてです。
「跨った限りは原付と変わらないな」
「うわっ、なんだこの加速は…」
「思ったよりふらつきやすいな…」
初めて乗った感想はこんな感じでした。

全員終わると待合室に試験官が来て、順番にワンポイントを受けます。
(他の方や見学者にワンポイントアドバイスが聞こえないようにと一人ずつ屋外に呼び出す方もいますし、受験者全員にまとめてアドバイスの方もいます)
この時のアドバイス内容ですが、もう覚えておりません。
なお、ワンポイントアドバイスで合否が直接分かることは伝えられないことになっています。
合否については全車種一斉に学科試験と同じ電光掲示板で発表されます。全員全車種(四輪や路上試験も含む)が終わるまで不合格確定でも待たされます
なお、「ワンポイントアドバイスで合否は伝えない」「合格は一斉発表」というのが本来の形なので東京や千葉の「その場で発表で不合格時は即次回予約を取って帰れる」方式のほうが特例です。と言っても大型二輪の事前審査もやらない広島県が基本に忠実だなんてまったくもって言えませんけど。

「チャンチャラーン♪(メロディが鳴る)ただいまより、午後の技能試験の合格発表を行います」の録音アナウンス放送の後、電光掲示板に合格番号が表記されます。
あわよくば合格してないかなと期待して待つも、結果は不合格。
もう1人の受験者、大型二輪の方は合格でした。
この合格者の方、他の方と話していて「いやぁ4回かかりましたよ」なんて言っていました。
そして私は合格するまで受け続けましたが、その間に受かった方は私と指定前教習の教習生を除くとこの方たった1人だけでした。なお、延べ受験人数(不合格者数)はざっと30人と言ったところです。合格率6.67%ほど。

とりあえず学科試験は突破したから朝早くから来なくていいし、技能試験も初めて乗るバイクで初めてやる課題ばかりだったのに完走できたし良しとしよう。
と、広島試験場がいかに厳しいかを知らなかった当時の私は「もう何回かか受ければ受かるだろう」と甘く見ていました。

8回ほど受けても落ち続け、春休みが終わってしまい、次の挑戦は夏休みにまでお預けになってしまう。
そして数ヶ月空いてしまったが引き下がれなくなった私は夏休みにも受けることにする。完全にコンコルド効果である。
春休みに受けていたときのメンバーはもういない。とっくに合格したのだろうか、それとも諦めたのだろうか。
広島試験場は昼のコース開放のおかげで受験者同士も気軽に話しやすく、情報共有が図れるのは救いである。
若い頃に無免許で乗っていたという方もいたし、原付免許すらなしで小型ATを受けていた方もした。明らかに60歳を超えていて普通二輪(小型限定解除)を受けてワンポイントアドバイスで教習所を強く勧められた方もいた。実に多種多用である。
「この前小型MTで受けていた人がいてさ、何度受けても受からないと諦めて教習所に行った人がいたよ。2週間後には限定なしの400ccでサクッと免許取ったよ。ここどんだけ厳しいんだっていうね」なんて話も耳にする。
「私は普通車と普通二輪を持っていたが免許更新忘れで失効してしまった。幸いどちらも1回で合格したからこのまま大型二輪を取ろうと思う」という方もいた。この方、話を聞いているとかなり情報を持っていて知識は確かだし、実際に試験を見ていても間違いなく上手い。ただし、それでも既に4回落ちている
また、H校の普通二輪、T校の大型二輪の指定前教習生が受けており、特にT校の大型二輪の教習生は非常に上手くて参考になった。H校は途中で一度不合格が出てしまいまた1からのやりなおしになったという噂を聞いた(真偽は不明)が、T校はストレートで10人連続合格を出して大型二輪の公認教習を開始した。

指定前教習:教習所が公認の指定教習を始めるには10人(免種によっても異なるが)連続で試験場一発合格者を出さなければならない。連続10人一発合格で出すと指導力を認められ、晴れて公認教習開始となる。選ばれた10人は指定前教習生となり、必ず一発で合格できるようにと100時間ほどの練習をし、スラローム4秒以下、片手でスラローム、一本橋30秒以上、波状路30秒以上など、もはやオーバースペックな訓練をする。一発で合格した場合は教習費用は返却し実質無料だったり、数万円キャッシュバックだったりする。(T校は3万円預かり3万円キャッシュバックで実質無料、H校は3万円預かり2万円キャッシュバックだった気がする)
なお、私がその教習生に立候補すればいいじゃないかと思う方もいるかもしれないがそうもいかなかった。普通二輪は普通免許所持者、大型二輪は普通二輪(限定なし)所持者しか対象となっていないからである。

また、試験官の模範走行も非常に参考になる。
試験開始前のバイクを車庫から出して並べる際の暖機運転と称して試験官がその日のコースを走ってくれることがある。(試験官によっては逆に片付けの際にやってくれる人もいる。全くしない人もいるが)
もちろん指定前教習生よりもさらに上手く、小型ATで一本橋10秒以上とか小型ATでスラロームとか、大型二輪だと一本橋の上で完全にピタッと数秒静止とか色々ぶっとんだ模範走行である。
「お前らの走りは全然なってない、いいか、こうやって走るんだ」とでも言わんばかりの模範走行である。
ちなみに多くの試験官はギアは3速までしか使わない。(そもそも白バイ隊員はコースを全て1速で運転する訓練をしているらしい)
メリハリを意識するなら4速は不要かもしれない。

二輪の各課題の解説

さて、話を私の受験体験を元に各課題の解説をしよう。
未来の受験者に共有したい反省点は以下の通りだ。
なお、かっこ書きの名称は広島試験場内での名称である。試験説明の際は掲示板の説明も口頭の説明も「一本橋」「スラローム」等の名称は一切用いられない
せっかくなので広島試験場のコース順に解説する。小型二輪にはないスラロームや波状路も合わせて解説する。

・乗車準備
車体の周囲を確認する。指で「前方ヨシ、後方ヨシ」とするのも良い。
サイドスタンドを払ってから乗車する(乗ってから外すのはNG)
必ず両方のミラーを触る(触らなければ合わせていないとみなされ減点)
エンジンをかけ、右後方を確認して発車。
MT車の場合、ギア操作のために右足を地面に着くときの後方確認はT校の生徒はやっていたが、H校の生徒はやっていなかった。のちの免許取得で指導員に聞いてみたが特に必要ないらしく、おそらく広島はやらなくても減点されないと思う。試験場によって異なるようなので分からなければやっておいたほうがいい。
発車後は最初の交差点までは慣らし運転期間なので採点されない。
この区間中に右折の為の右寄せを終えておく。

・S字、クランク
この課題自体は車体の小さい小型ならそこまで苦戦はしないと思われる。
ただし、一番の難所は課題中よりもむしろ出入口である。
特に左折進入や左折出のときは左折ふくらみをガンガン取られる。本来1m以内のはずだが体感的には50cm以内でなければ減点を取られている気がする。また、コースによってはS字、クランク前後の右左折が連続する場所があり、ショートカット寄りに走ると逆行扱いになる場所もあるので要注意(経験済み。4コースが危ないんだった気がする)

・見通しの悪い交差点
意外とこれも難所である。
まず、他の試験場では一部では許されている「停車して左右確認」は広島試験場では減点対象である(知らなくて減点された経験あり、ワンポイントアドバイスで指摘された)
ふらつきやすい小型二輪であっても徐行で乗り切らなくてはならない。

・障害物回避
一見なんてことはない課題だが、ありがちなミスで「後方確認をしながら車線変更」をやってしまう人がときどきいる。
この課題に限らないが「ウィンカーを出す」「3秒待つ」「後方を確認する(一瞬止まる)」「前を向く」「車線変更(左右寄せ)」と区切りをつけて順番は確実に守る。動作と動作が密になりすぎて同時にならないように注意する。

・一本橋(直線狭路コース)
小型二輪はふらつきやすいので5秒以上という緩いタイムだがそれすら難しい。(参考:普通二輪は7秒以上、大型二輪は10秒以上)
のちに普通二輪や大型二輪を経験したが、体感的にはタイムが短くても小型二輪のほうが難しいとさえ感じる。(もちろん下位の車種で慣れたせいもあるだろうが)
AT車の場合はMTと違って半クラッチも使えないし、アクセルを回してから加速するまでのラグがあるのでアクセルを全閉にせずに左手を強めたり緩めたりしてリアブレーキを引き摺りながら時間を稼ぐのがおすすめである。
時間不足も経験したし、脱輪も経験済みである。
広島試験場はふらつきにめっぽう厳しいのでふらつくくらいなら速くなってもいいので加速したほうがいい。普通二輪や大型二輪も「左右こじって時間稼ぎ」は厳禁
ふらつきは10点減点なので2秒早いのと減点は同じである。同様に脱輪するくらいなら加速して走り抜けたほうが良い。仮に減点超過でも検定中止にさえならなければ広島試験場はほぼ最後まで走らさせてはくれるので練習にはなる。
一本橋は手前と奥、2つ並んでいるがどちらを使っても良い。ただし、手前の一本橋向け停止線で止まっておいて奥の一本橋を使うのは「乗れなかった」と見なされ即不合格。停止線ギリギリで止まる必要はないので少し手前に止まって少しでも距離を稼ぎ、体制を整えやすいようにするのがおすすめである。力のない小型二輪は乗り上げ時にバランスを崩しやすいので粘るなら前半よりも後半で稼いだ方が良い。
MT車の場合は半クラにしたり切ったりを繰り返して粘るも良し、リアブレーキを引き摺って粘るも良し。ATもMTも技能大会や30秒以上粘るようなときでなければフロントブレーキは全く使わない

・スラローム(連続進路転換コース)
まず、スラローム付近のヘアピンカーブで逆行扱いになる方がいるので注意。これは小型二輪も共通。
センターラインに仮想のパイロンが立っていると思って走ると上手くいく。
また、小型二輪はスラロームの課題はないので代わりにスラロームの道の1本隣の直線道路を走り、一度回ってから急制動に入る。
課題の順番を頼りにコースを覚え、勘違いして一本橋終了後に直接急制動に行くと言うミスをやったことがある。急制動終了後に「コース間違いのため、出口を左、左で〇の交差点を左折、一本橋後のコースに合流してもう一度急制動をやってください」と言われやり直しでもないのに2回急制動をやった。終了後の試験官コメント曰く「急制動コースに既に入ろうとしている人に停止するよう指示するのは危険と思ったため一度課題をやらせた」とのこと。そりゃそうか。
話をスラロームに戻すが、ここでも広島試験場特有なのか「バンクさせすぎ」の減点をすぐに取る試験官がいる(取らない人もいるので個人差あり)
大型二輪7秒以内、普通二輪8秒以内という制限時間はかつてはなかったほどで決して難しいタイムではない。指定前教習のように大幅に上回るタイムを目指すわけでなければほあまりバンクさせずともに落ち着いてハンドルを傾けても十分に間に合う。アクセルをぶん回して加速するというよりは遅くて余裕のあると思ったときにアクセルくらいの気持ちでも良い。
しいて言うなら最後のパイロンを抜けた後はゴールに向けて全力で加速して少しでもタイムを稼ぐ。最後の直線ならリスクはない。

・急制動
小型二輪は30km/hで1本目の8m以内(雨天時は2本目の11m)だが、アクセル性能が悪いので30km/hの到達も言うほど余裕はないし、ブレーキ性能も良くないので体感的には普通二輪や大型二輪より難しいと感じた。
急制動コースに入ったら前半はビビらずにアクセル全開にしてとにかく加速し、少しでも早く30km/hに到達させる。後半で速度を微調整し、止まるときは決して焦らずにブレーキをかける。
速度不良によるやり直しも経験したし、雨天での転倒も経験したし、リアブレーキが滑り出した経験もした。アドレス125のリアブレーキはかなり貧弱ですぐ滑り出す気持ち前ブレーキ強めのほうが良い。
なお、速度不足でやり直す場合は左折左折で外周を走り、再度急制動コースに入る。

・波状路
小型二輪、普通二輪の人は大型二輪の波状路に合わせて外周をもう一周ということはないので大型二輪の人だけ課題以外の周回距離が長いことになる。
半クラやニーグリップが使える人ならあまり問題にはならないと思うので広島特有の点を挙げると左折、右折左折、と連続で課題コースに入るので忙しいことだろうか。一本橋同様に手前と奥とで2つあるので体制を整える時間が稼げる奥を使うことをおすすめする。

・坂道発進
さすがにATでこの課題に苦戦する人はいないとは思うが念のため。
しいていうなら坂道コースへ進入する側道は入るときは左ウィンカー、本線に戻るときも左ウィンカーである。これは試験官に聞いたので間違いない。
一応「こちらは左折と解釈しているが、合流と思って対応して頂くならその場合のやるべきことはわかってますよね」と言われはしたが、入も出も左ウィンカーにしておいたほうが無難だと思う。
なお、MTの場合はしいて言うなら「半クラッチで動き始めたからとすぐにクラッチを離すと力が足りなくてエンストする」ことだろうか。課題の坂は勾配がそれなりに急なのである程度の勢いがつくまで半クラをキープだ。

・指示速度
坂道を抜けた最後の直進は35km/hの指示速度である。
アドレス125には採点用ランプがあり、それぞれ「前ブレーキ」「30km/hランプ」「後ブレーキ」である。
普通二輪や大型二輪の場合は40km/hランプとなり、MTの場合はギア表示ランプが増える。
小型二輪の場合は「30km/hランプ」は点けなければならないし、普通二輪や大型二輪の場合は「40km/hランプ」が点いてはならない
四輪と違って試験官が直接速度計を見れるわけではないが、ランプ表示だけは守らなければ即バレてしまうので最低でもこれだけは意識する。
ちなみにこのランプを急制動で受験者が利用することも理論上はできなくもない…かもしれない。

・下車
発着点に戻る際、他の試験車両が止まっている場合は障害物回避と同様の手順で追い越しする。
(なお、多くの場合は前から普通二輪、大型二輪、小型二輪の順で停車することが多く、大型二輪が一番難しくなる)
左ウィンカーをつけて停車したらMTの場合はギアをNにし、エンジンを切ったら周囲を確認して下車し、サイドスタンドをかける。
なお、前の受験者が終了時にハンドルロックをかけてしまい次の受験者が慌てるという事例があった。「ハンドルロックではないですか?」と近寄って声をかけたが不正扱いと思われたのか試験官に怒られてしまったことがあった。

・その他周回路や法規走行
広島試験場に限った話ではないが、試験場は加速不良が非常に取られやすい。
中でも広島試験場は厳しく「バイクは加速の良い乗り物ですから」とワンポイントアドバイスで言われたり、のちにお世話になった教習指導員が「最初の直線で60km/h近く出さなかったものは技能検定員試験は全員不合格」と言われたりととにかくメリハリ(加速不良)に煩い。
広島試験場は試験官は元白バイ隊員の方が多いらしいので「短い直線区間も加速」を意識する。
加えて左折大回りがやけに厳しい
走行ラインについては「普通車が左タイヤを走りそうな位置」を基本とした。
一部試験場ではバイクは左折時以外も常に左端、自分が左端なのだから巻き込み確認は不要、という声も聞いたことがあるが広島試験場では特にそうではなさそうである。試験官に「走行ラインは良い」と言われたこともあるので恐らくこれで正しい。

納得のいかない合格直前回、そして感動の合格回

これらの幾度もの築き上げた屍の経験を元に受けた15回目の試験。
さすがにここまでの回数になれれば試験にも車両にも慣れてきて
「(見てろよ、試験官)」くらいの気になることができ、ガンガン加速もできるようになっていた。
自分の中ではほぼ完ぺきで自認しているミスは1ヶ所だけ、自己採点90点だし今日こそ合格だと思った回の試験官のワンポイントアドバイス。
KY試験官「せっかくなので感想を聞いてみましょうか」
私「かなり試験や車両にも慣れてきたと思います」
KY試験官「うーん、乗り慣れてきたのはわかるんだけど、運転が粗いんだよねぇ…」
たったこの一言で落とされました。
もはや何が悪かったかわからない。
後でわかったことだがこのKYさん、広島試験場の中で最も厳しい試験官と言われているらしい。N非公認教習所の指導者曰く「KYさんが最難関、Mさん、OGさん、KRさんが比較的易しく受験者が貯まってくると合格を出す、通称お掃除役だ」という話を聞いた。ちなみに2019年の情報ではMさんは既に引退している上に、広島東部(福山)からKYさんに匹敵する厳しい方が転勤で来たらしく、広島試験場の難易度は更に上がっていると言われている。
ちなみに私は受験回数の半分近くがこのKY試験官だったけど呪われていたのだろうか。

続く16回目の試験。
この日はなんと初回受験から半年、学科試験の有効期限最終日だった。
「(今日不合格なら学科試験からやり直しか…まぁ学科で苦労する気はないから別にいいと言えばいいんだけど)」
試験官はKR試験官だった。見た目はゴツくて怖い雰囲気があるが、採点は易しいN校曰くお掃除役の試験官だ。
「(今度こそ見てろよ)」状態。
自己採点95点といったところだ。今日こそKY試験官ではないし合格だろう。

試験後のワンポイントアドバイス。
KR試験官「1番(私)さん、前回言ったこと、だいぶ良くなったね。2番さん、○○がイマイチだね、もうちょっと〇〇しよう。3番さんは〇〇が〇〇だった。じゃあロビーで結果待ってて」
確かこんな感じだったと思う。3人合わせて30秒以下という短さである。
ちなみに前回というのは12回目か13回目あたりで一度KR試験官に当たったことがある。今回でおそらく2度目。
「これは合格か?」「ここまで何も指摘がなかったなら合格では?」
一緒に受けた仲間とそんな会話をしながら合格発表を待つ。

「チャンチャラーン♪(メロディが鳴る)ただいまより、午後の技能試験の合格発表を行います」
「(おぉ、今日は誰か合格者がいるぞ)」
「(誰だ?誰だ?一体誰が合格なんだ?)」

そう、厳しい上に受験者の少ない広島試験場では
「(機械音声ではなく男性職員がマイクで話す声で)はい、ただいまより午後の技能試験の合格発表を行います。合格者はいません、受験者の方は窓口へ受験票を取りに来てください」という通称”全滅”で電光掲示板の役目なく終わる日も多いのである。
ただ、今日は違う。ちゃんとメロディが鳴ったぞ。機械音声のアナウンスだ。
誰か合格者がいる。一同が騒めく。誰だ誰だと期待する。

電光掲示板に表示される。
「第一種普通自動車   :合格はありません
 第一種普通自動車AT限定:合格はありません
 第二種普通自動車   :合格はありません
 第一種大型自動車   :合格はありません
 普通仮免許      :合格はありません
 普通仮免許AT限定   :合格はありません
 大型仮免許      :合格はありません
 普通自動二輪     :合格はありません
 普通自動二輪小型AT限定:201
                   以上 」

車種や番号はうろ覚えなので適当に記載しているが、この日の午後試験は二輪・四輪、仮免・本免、場内・場外を問わず全て含めても合格者は私1人であった。
私「ぃやっっったぁああああああああああああああ」
二輪202番さん「おめでとう!!」
二輪203番さん「おめでとう!!」
四輪一同「(なんだ、今日の合格者は二輪だけか…)」
二輪の仲間達からは祝福された一方、四輪の方々からは若干白い目で見られたのが少しつらかった。
念のため言っておくが、四輪が合格の際は四輪の方々の中できちんとお祝いムードになる。二輪と四輪は受験時の待合室が離れているのであまり交流が盛んでないため若干の壁がある。

私は人生で一番喜んだ瞬間・感動した瞬間はいつかと聞かれるとこの瞬間を一番に上げるだろう。
人は「人生で一度は感動した場所や忘れられない瞬間というものがある」という。多くの人はきっと
「演奏会で演奏終了後に礼をして鳴りやまない拍手を浴びたとき」
「学生時代のスポーツや芸術等において優勝や入選、表彰されたとき」
「大学受験の合格発表のとき」
といった例を上げる方が多いと思うが、私の場合はこの広島試験場での合格発表である。なんせこれより低い合格率の資格試験合格は未だに経験していない。傍から見たらたかだか誰でも取れる運転免許だが、難攻不落の広島試験場で免許を取ったことは個人的にはちょっとした誇りである。

さて、ただ喜んでいても免許はもらえない。
特定教習を受けていないので即日交付はされないのだ。(そもそも二輪で特定教習があるのかは不明だが)
窓口で県内の取得時講習対応一覧の教習所リストを受け取る。
なお、その際の窓口担当職員がKR試験官だったため一応聞いてみる。
私「今日の試験って点数は教えてもらえないのでしょうか?」
KRさん「点数は教えられないことになってます。合格なので70点以上でしたとだけ。まぁ、あまり褒められた点数ではないよ」
とだけ言われました。うーむ、自分の中ではほぼ完ぺきなのにまだまだ減点があったというのか…

意外と厄介、取得時講習の予約

頂いた教習所リストを受け取り、県内かたっぱしから電話をかける。

私「すみません、取得時講習を受けたいのですが」
教習所A「え?そんなものうちはやってないですよ」
やっている箇所一覧リストに載っているんですがどういうことでしょう?
もしわからないこと聞かれたのならわかる人に変わしましょうね?

教習所B「いやー3ヶ月先ですね」
教習所C「いやー2ヶ月先ですね」
教習所D「来月の頭に何日にやるかが決まります、改めて電話ください」
どこもこんな感じなところばかりであった。
まさにリストにある県内の教習所全てに電話した。家から100km以上離れていたとしてもなんとか通ってでもいち早く免許を取りたかったからである。
(あまり認知されていないと思うが実は広島県はかなり大きい県である)

一番早かったところでも1ヶ月待ちであった。
しかし、二輪講習と応急講習が別日であり、応急救護はさらに先の日程なので応急救護だけでも別の場所で早く受けられないかとさらにかたっぱしから電話した。

教習所E「え?うちは二輪の取得時講習はやってないですよ」
私「二輪講習は別の教習所で確保したので応急救護だけお願いしたいんです」
教習所E「二輪の応急救護と普通車の応急救護は別なのでうちはやってないんですよ」
私「(共通と知っているが、担当職員がそれを知らないことに飽きれて)そうなんですか、失礼しました。」

もう話にならないです。リストに載っているからやっているはずなのにやっていない、共通なのに二輪と普通車は別だと主張、私でもわかるのに職員は何をやっているんでしょうか…
取得時講習の予約をすると県内教習所職員の受付のレベルがわかりますので今後の免許取得でどこの教習所に通うか検討ができます(笑)

結局先に述べた1ヶ月待ちの教習所で両方受けることにします。
決まった教習所と日付を試験場窓口に伝え、予約表をもらい、講習受講料をその場で払います
(当時は収入証紙を受講申請書に貼って教習所に持参でした。今は広島県は収入証紙は廃止されていますが、同様に収入証紙の廃止された東京都も試験場で支払いし、支払い証明を印字された受講申請書を教習所に持っていくので広島でも似たような制度かと思われます。基本的に教習所に現金での支払いはできませんので合格時を想定して毎回取得時講習予約分のお金を持ってくるのが良いです。特に広島試験場は近くにコンビニすらありませんので…)

予約が済んだらその日は解散です。
試験場窓口職員からは「まだ免許ないから乗っちゃダメだからね」と念入りに言われました。

取得時講習 ~二輪講習編~

合格から1ヶ月、待ちに待った取得時講習です。
先に二輪講習、後日に応急救護講習です。
家から30kmほど離れた教習所ですが、試験場よりは近かったです。
このHC校は二輪と四輪は別々のコースになっています。
四輪側の本館で受付を済ませると道路を出て二輪専用コース側の棟へ回ってくださいとのこと。
二輪側の棟へ行くと「今日、取得時講習の人??」と聞かれたので思わず反応してしまいましたが、どうやら職員間の担当指導員の確認だったようです。

講習の内容ですが、1~2時間目はシュミレータ教習は危険予測です。
「(なかなかよくできたゲーセンのマシンだな)」くらいの感覚です。
余談ですがシュミレータは400ccを想定で作られているらしいので思っているよりもすぐに速度が出てしまいます。ATとMTはアタッチメントのつけ外しと設定で変更します。
実際のバイクと異なり車体をあまり傾けられませんのでハンドルで曲がります。まるで自転車のようです。この辺りはシュミレータの限界なのでしょうね。
コースを一通り走ったら振り返り。
指導員「はい、この場面。歩行者が飛び出してきたここね」
こんな感じでぶつかったところを振り返ります。
なお、事故の経験を模擬的にさせるマシンですし、「それ絶対避けられないでしょ」っていう奇想天外な行動をする車や歩行者もいますし、ぶつかって当然です。
特に二輪は教習で公道に出られないので路上教習の代わりを兼ねているようです。

3時間目は実車講習。教習車はシグナスでした。
アドレスと比べると加減速が大人しい(アドレスは加減速がピーキー?)なので扱いやすいのですが、着座姿勢が高めなのとヤマハのウィンカーキャンセラーが初めてなのでちょっと慣れませんでした。
「指導員や職員が危険な人の役をやるので危険を予測して走ってください。コースはこの順番で何週か走ってください」という内容でした。

「(右ウィンカーをつけて3秒、右後方確認…っと)」
「プープープー(後ろからクラクション)」
クラクションを鳴らしながら加速して突っ込んでくる暴走バイク(指導員の乗っているCB400)
「うわぁ、そういうことか…右後方確認しないと「ミニバイクは引っ込んでろ、邪魔だ先に行かせろ」と突っ込んでくるバイクもありえるってことか…」
外周を走る。
あっこの草木、もしかして見通しの悪い扱いで飛び出しとか…?
(わざとらしく飛び出してくるさっきの職員)

こんな感じの内容でした。
こちらに跳ねられないように警戒しつつも気にしてなさそうな演技で飛び出してくる歩行者役の方はともかく、前方の右ウィンカーを出すバイクに対して加速して追い越しをかけるバイク役を引き受け、事故を起こさずに安全に指導できるのはさすがはプロと言えます。1対1どころか1対2(受講者ではなく指導役が2)の講習というのは大変有意義だったと思います。
これって試験場合格者が極めて珍しい広島県だからできることなのかもしれませんね。東京だと講習者3人同時も普通です。
(なんせ夏休みの3週間ほどの間、一切の欠席なく最短で毎回受け続けても二輪の合格者は私1人だったのだから)
終了後に「では次は〇〇日に応急救護を受けに来てくださいね、その際は四輪側の棟に集合です」と言われこの日は解散。

取得時講習 ~応急救護講習編~

数日後、応急救護講習を受ける。
窓口へ書類を出すと指定の学科教習部屋へ行くように指示される。
学科教習部屋へ行くと何人もの他の教習生が既に待機していた。
その中には同じ学校に通う同級生もいた(クラスも性別も違うので特に話はしなかったが)
ここから先は教習所での免許取得時と全く同じ内容なのだが、試験場取得者としての観点や思い出として記載することにする。
指導員「教習生のみなさん、ここは応急救護の教習です。まず、教習原簿を確認ください。第一段階の学科教習・技能教習および修了検定は全て終わっていますか?終わっていない方は受けられませんので速やかに退出してください」
私「(えっえっ何のこと?)(不安になりキョロキョロあたりを見回す)」
指導員「あ、あなたは別に大丈夫です。」
指導員「今日の教習は学科教習ですが、命に係わる大事なことですのでしっかりと取り組んでいただきたいです。受講態度が悪い方、出来が悪い方に関しましては教習原簿にハンコを押しません、再度同じ教習を受けていただきます。」
私「(私はどうなるんだ…?)」
指導員「なお、本日は試験場による免許取得の方がいらっしゃいますが、一緒に教習を行います。このように試験場で免許を取得する場合で運転技能がある方でも今日の教習は必須となりますので非常に大事な内容です」
こんな感じの挨拶から始まった気がする。
指導員「では実習に当たってまず二人組つくってください
私「(これ他の教習生を誰も知らない私無理じゃん、はぶられるやつだ)」
と思いましたが、教習生同士で一緒に仲良く受けている人というのはどうやら少なかったようで大量に一人組が出来上がった結果、指導員の指示で近くにいた人同士で組むことになりました。
内容はお馴染みの茶番(小声)の「人が倒れています」「周囲の確認」「あなた、救急車の手配を」「あなた、AEDを持ってきてください」のやつです。

指導員「「誰か、救急車を」「誰か、AEDを」ではダメです、みんな他人任せにするので。「あなたと指を差して指定してください。それでもその人が携帯電話を持っていなかったりAEDの場所をわからない場合もその人が周りの人を巻き込んでくれるはずです」
指導員「みなさんの家の近くにAEDはどこにありますか?」
教習生「近くのスーパー」「駅構内」「公民館」
指導員「最近だと集合住宅の入り口にあるケースもあります。ぜひ確認してみてください」
残念ながら田舎の一軒家なので近くには全然ないんですよね…最寄りでも3kmほどだろうか。
続いて気道確保、胸骨圧迫、人工呼吸など。
「(高校の保健の授業でやった内容と同じだしもう知ってるよ)」
と思いながらもハンコを押してもらえないわけにもいかないので復習も兼ねて真面目に取り組んでおく。
何ループかやったところで終了、全員無事合格でした。

ちなみに医者や看護師、救急救命士の資格があれば試験場取得でも教習所取得でもこの3時間の教習・講習は免除となります。(消防署や企業、赤十字が行っているような応急救護の講習を受講した人が免除になると勘違いされていますが、これらによる免除はないです。そもそも消防署の講習は無料なので免除ならみんな狙いますよね…)

ついに免許発行

そして翌平日。
再びやってきた広島試験場。講習終了証と技能試験合格証明書を窓口に提出。
試験手数料は技能試験のときに払っている。
視力検査や適性検査も技能試験の前に済んでいる。
学科試験免除期間は過ぎているが、技能試験合格時に揃っていれば問題はないようだ。
まさにあとは免許発行を待つだけである。
取得時講習終了者と学科免除かつ技能免除(つまり教習所卒で併記の方)は同じ部屋に集められる。
待ち時間でこんな会話があった。
ドライバーA「ねぇ、なんで私学科試験ないのに試験手数料が取られるの?」
私「学科も技能も免除であっても適性試験(視力検査)があるからですね…割高な気はしますけど」
気持ちはわかります。学科の有無にかかわらず値段一緒ですし、それどころか同じ学科試験問題・同じ適性試験内容なのに車種によって手数料違うし。よくわからない制度だとは私も思う。
1番と2番の人を除いて順番に視力・適性試験を受ける。1番は大型免許の方だったので広島試験場で大型免許を取得し講習を終えたということだろう。しかも中型免許を飛ばしているし、中型8t限定も持っていないということだ。すごい。
2番が私である。試験場取得組の視力・適性試験は既に済んでいるので待つだけだ。これらすら免除なのはちょっと優越感がある。

全員が戻ってきてしばらく待つと順番に免許が渡される。
お馴染み「バス運転手が確認せずに発車した事故で亡くなった幼児のお話」を聞くのはもう3回目。
そして新しい免許の交付の日付の後の5桁の数字は00002であった。どうやら通し番号なのだろう。

バイク購入へ

無事免許を取得できたのでバイクを購入することにする。
厳密には試験合格した際に既に納車の予約をしており、取得時講習が終わって数日後にちょうど納車という都合の良いタイミングにできた。

時系列が逆転するが、車両選択時の話に戻る。
候補としては興味のある車種が何台かあった。
CB125Tは好みのバイクであったが製造終了から何年も経過しており、中古を探すのが大変であったためボツとなった。
そもそも原付二種は下駄バイクとして乗り潰される傾向からあまり中古車が少なく、CB125T以外に製造終了車で興味の沸くモデルもなかったこと、さらに乗り換えの予定も当面ないので新車から決めることにする。
新車で買うなら原付を買った際にも世話になった最寄りのお店が良いだろうと考えた。ちなみにホンダのお店である。
エイプも車両価格が割高で趣味性が強いが実用性は低いことから選択肢から外れた。この時点でAT免許で良いと判断した(免許取得前からある程度候補は決まっていたと言える)
アドレスはコンパクトな車体と鋭い加速は良いのだがもはやトラウマであるので除外。(人気車種だからなのかなぜかホンダなのにカタログが置いてあった)
PCXは魅力的ではあるが車両価格が高すぎた。これも除外。
リードは父が乗っていたバイクだ。同じバイクを2台並べるのもナンセンスなのでこれも除外。
車両価格がお手頃で燃費が良く、MT気分も味わえそうなスーパーカブが良いと思い、ちょうど新色が出ていたのでスーパーカブ110プコブルーを選択した。
余談だがバイク屋店主には「えっ?AT免許でカブって乗れるの?」と言われてしまった。私はホンダのメーカーHPを見せてAT免許で乗れることを証明し、副店主も念のため電話で確認していた。
店主「あぁ、これ(左手を構えながらクラッチを表現)がダメなだけなのか」
まぁこの店主、実は遥か昔の限定解除時代に大苦戦しながら大型二輪を取った人なのだ。AT免許なんてなかった時代なのだし仕方がない。

そして免許も手に入った1ヶ月後、原付(Dio)のときと同じバイク屋の軽トラに乗ってスーパーカブ110が納車される。
私の乗っていた原付は母に譲り、母の乗っていた古い原付(2stであった)は下取りとして代わりにバイク屋の軽トラに乗せられる。
今後、最高の相棒として10年間活躍するのだが、あまりに語りきれない量なので別の機会に別記事として少しずつ記載しようと思う。
2021年現在、運転距離も運転時間も一番長いのは間違いなくこの普通自動二輪(小型AT)免許だ。私の人生で最も役に立った運転免許だと言える。

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