何故コロナ危機で五輪は変わるか?
A. 営利主義という心臓(テーマ)によって回っていた五輪という身体。ポンプである心臓と全体としてのシステムを形作っている各臓器,この両方が問い直されるから。
1984年のロサンゼルスオリンピック以降の五輪の収支について,永田(2012)は次のように整理している(ⅰ)。コロナ禍によって,人々はそれぞれのセグメントについて問い直しを始めるだろう。
●収入: スポンサー(一業種一社) ,テレビ放映権料 ,チケット販売(相対的には少額) グッズ販売
●支出 :競技場の施設建設, 交通整備, 人件費,
おそらくここに挙げている収支の全てに問い直しが起こるのは間違いないが,日経新聞(i)で取り上げられていたのは特に以下の2つだ。
スポンサー収入:コロナ禍によって産業構造がかき回されることで,あり方が問い直される。
人件費:資金面,withコロナによる集積リスクによって,オリンピックという大きな臓器を表舞台に立って回してきたアスリートたちの参加のあり方が問い直される。
ただ,面白いのは,収支の各セグメントへの問い直しはコロナ禍以前から社会問題としてすでに行われている。例えば,SNSによってタダでオリンピックの映像をネットに流出されることについて,オリンピック運営側の対処は追いついていない。視聴者はyoutubeで観戦者がとった切り抜き映像に満足するようになったら,テレビ業界は今まで通り高い放映権料を払う気になるだろうか。
私が強調したいのは,常に問い直しは起こっているが,コロナを通じて今後収支の各セグメントへの問い直しが「より」徹底されるだろうということだ。
コロナのようなリスクが社会のあり方を問い直す燃焼促進剤になるならば,次のように整理できるのではないか。
巨大リスク→(技術革新)→問い直し→産業構造の変化
俺は実際大学のオンライン講義受けてると,「え,別にパワポのスライド見るだけなら,みんながおんなじ時間におんなじ講義室に打ち込まれる必要ないよね?」と思ったのだ。
注釈
ⅰ)永田靖(2012)「オリンピックにおけるビジネスモデルの検証 : 商業主義の功罪」『広島経済大学経済研究論集』35(3),31-40。
ⅱ) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58065900V10C20A4UU8000/
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