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器用さの使い道

長年、ゴルフクラブに携わってきましたが、「長さ」が重要であることを日増しに感じてます。

以前、違う所でも書きましたが、その人が体も含めたリスクを最小限に抑えてコントロールできる長さには限界があることがわかっています。
だいたいの方は、立った時の肘の下の長さだと考えてください。

ただし、これ、皆さんが想像しているより結構短いです。

僕は身長が163センチですが、僕の場合、長く見積もっても 42インチに行くか行かないかです。
これだと飛ばないのでは?って思われる方がたくさんいらっしゃるのは至極当然。

市販されているドライバーは通常 45や 45.5インチですから、上記しました 42インチのドライバーとでは、計算上、ヘッドスピードで3mくらい変わってきます。
ボールスピードは 5m近く変わり、計算上は、20ヤードくらい、距離が変わってきそうです。

そして、これが厄介な(と私は考えている)のが、人間にはこの長尺(45~45.5)のクラブを打ちこなす技術(能力)が兼ね備わっているということです。もしくは努力すると打てるようになります。
そうなんです。45だろうが46だろうが、それぞれの方の能力にもよりますが、人は使いこなす「器用さ」を持っています。

さらに、ドライバーが飛ぶことによる、ゴルフゲームの上での優位性は高いです。
20ヤードも変わってしまったら、持つ番手は大きく違いますし、届くホールも増えてくることでしょう。
また、人より前に行くという優越感も味わえますよね~
みなさんがこぞって長尺を試したくなる気持ちもよーくわかりますし、飛距離を求めることへの否定ではないので、お許しください。

では、この長いクラブを使いこなすことで、どんなリスクが潜んでいるのか?少し考えてみましょう~

単純に、長いクラブのリスクというと、当たらなくなる(ミート率が下がる)、振り遅れる、などが挙げられますが、ここではそれだけではないというのをご説明してきたいと思います。

まずは、繰り返しになりますが、人がコントロールできる長さというのは人それぞれに限界があるということは、その限界の長さを超えた時に人の体にどんなことが起こるかという視点から想像してみましょう。

長ーいクラブ、たとえば、想像でいいのですが 2mくらいあるドライバーを持たされて、打ってください!と言われたら皆さんどうしますか?
手元をゆーーくり動かして、ヘッドが戻ってくるようにタイミングを合わせますよね?
そして、そのコントロールにはかなり力がいることも想像していただけますでしょうか?
長いほど、体から離れた遠くに重さがありますから、それをコントロールするには、普通よりも力が要ります。

つまりは、他のクラブとは全く体の使い方(タイミングの取り方)+ 全く違う力の入れ方をしていることがわかります。
他のクラブに比べたらかなり違うことをしていることがわかると思います。

例えば、上述した 2mのドライバーでなくても、現在市販されているクラブなドライバーと 3Wでも 2インチ以上の差があることをご存じでしょうか?
他のクラブは、大体番手間 0.5インチなのに、ドライバーだけ 2インチも長くなっています。

さらに言いますと、3Wとドライバーではどちらのシャフトが硬いかご存じですか?
一般的に市販されているものは、ほぼすべて、ドライバーのシャフトの方が 3Wのシャフトよりしなります。
ヘッドスピードはドライバーの方が出ますが、シャフトは柔らかいので、しなり戻りのタイミングを取るために 3Wよりさらにコツが必要と考えてください。
シャフトを軽くすれば、力が要らないのでは?と思われる方もいると思いますが、よりヘッドヘビーになりやすく、振り重くなり、実は振るためにはより力がいることもわかっています。

もちろん、通常のセッティングでも、全部のクラブが長さも違いますし、そのしなり方も一本一本違うのでそれなりに違うタイミングになることは間違いないのですが、45インチ以上のドライバーは、ドライバーだけ突出して長く、かつ柔らかいので、他のクラブとは大きく違うことをする必要があると考えてください。2m級のクラブを打つことに近くなっている可能性があります。

まず第一に、それらが上述しました、ミート率が下がりやすい、振り遅れるというリスクに直結しています。

さらに、他のクラブも使いこなして、進んでいくのがゴルフゲームですから、その14本の中に、使い方の大きく違うクラブが 1本だけ入っていたとしたら皆さんどうしますか?

これを僕の中では「つながり」と呼んでいます。

以前は、自分自身もドライバーだけ長い状況で使用していましたが、よくある話で、ドライバーが良い時は、他のクラブが調子悪く、特にパターが入らないとか、ショートゲームが悪いとかがあり、逆に他のクラブが良い時は、ドライバーがいまいち、みたいな日がけっこうありました。
いわゆる「つながり」が悪かったんですよね~

そうならないために、たくさん練習をした記憶があります。
それでも、本番、ここ一番では対応しきれずにミスするという場面を痛いほど体験してきました。

こういったことは、それぞれの方々の能力によって対応できるできないの分かれ目があると考えています。「つながり」の許容範囲があると考えています。
もちろん、この打ち分けが一瞬にして可能な方もたくさんいらっしゃいます。例えば、プロゴルファーの方々は、身体能力もあり、かつこういったことに慣れているので、持った瞬間に違うことができて、結果をそろえてくることができたりします。

これが僕は人の持つ「器用さ」と考えています!

ですが、この「器用さ」を多用しすぎるとどうなるか?考えたことはありますか?
いわゆる、人間の能力ですから、回復もするでしょうが、その時間や蓄積によっては回復しきれないこともあると考えています。

例えば、ティーショットで45インチのドライバーをこの「器用さ」を活用してフェアウエイのど真ん中に打っていったとしましょう~
セカンドショットは、ドライバーと大きく違う感覚で打たなくてはならない、ウェッジだったとします。
また、ここで「器用さ」を使わなくてはいけませんね!
そして、たとえば、それが少しピン上目に乗ったと仮定して、バーディーパットは微妙な下りのパットが残りました。
それをなんとかしのいで、パーだったとします!

この状況、だいぶ、神経すり減らして次のホールに行くことは想像できますでしょうか?
パッティングに関しては、クラブどうこうでなくても神経すり減らす場面ですので、これはゴルフをやるうえで必要不可欠な能力ですね!
ですが、ティーショット、セカンドショットで余計な能力を使うことによって、より神経をすり減らさなくてはならないことを考えていただけると嬉しいです。
もしかしたら、パッティングする前にすでに消耗してしまっている場合、パッティングをミスする要因がここにあるかもしれません。

そして、この消耗戦を、アマチュアでも1日中、プロの場合4日間これをやり続けることになり、ことの大変さというのは、おそらく想像以上の労力だと気付いていただけますでしょうか?

実は人間には、人それぞれに、この「器用さ」の「容量」あるのでは?と考えています。
集中力が切れるのは、この「容量」がいっぱいになった時に起こることが多いとも考えています。

まだ、少し話は飛びますが、昨今、この長尺ドライバーをうまく使用し続けている人ほど、アプローチイップスやパターイップスになっている傾向があるのでは?と疑っています。

つまりは、その人のコントロールできる長さ以上のものを使い続けることのリスクは、それ単体のクラブの当たる当たらないの話だけではなく、その人のゴルフの調子そのものを崩す要因ではないか?という考えに至っています。

逆に言えば、この「器用さ」を無駄遣いしないようにすれば、ストレスなくゴルフができるのでは?
微妙なパッティングや、アプローチショットなどで「器用さ」を発揮するためには、他のショットで「器用さ」をなるべく使わないことがストレスフリーなゴルフだと、考えています!

そして、このようなストレスフリーなゴルフが続けば、ゴルフライフが豊かで余裕のあるものになると思っています。

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