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"酒場族" tour 2022の日記

saccharin(松浦大樹さん)のことは、2021年12月の歌謡激情にTempalayの小原綾斗さんが出演されるという告知を見て知った。ライブにて「何だこの人は!」と強い衝撃を喰らって以来、何度かライブに足を運んだ。運んでいる。
"酒場族" tour 2022が発表された時に沖縄公演があるなあと思っていたら、やはり(?)綾斗さんも出演されるということもあり沖縄へ行ってきた。ライブの感想日記。

今回行ったライブ

・12/16(金) "酒場族"tour 2022 那覇公演@摩天楼(沖縄)
・12/17(土) "酒場族"tour 2022 石垣公演@すけあくろ(沖縄)

まとめ

・長い
・私のライブ人生で一番幸せな時間だったということの言語化(の試み)

ライブの感想

私は朝型人間で、お酒が飲めないという時点でなんというかsaccharinとは真逆な気がする。だからこそ、自分では積極的に行かないようなお店でライブを聴けたことがとても新鮮で、本当に楽しかった。

saccharinを表す言葉として耳にする「人間臭い」という形容詞。辞書的な意味は知っていたものの、saccharinのライブを観てはじめて言葉の本当の意味を知ったような気がしている。
綾斗さんが16日のMCで大樹さんの周りには人が集まってくるといったことを仰っていた。それは、はじめての歌謡激情でも、この二日間でも強く感じさせられた。
saccharinのライブでは毎回楽器を担当する人(構成員!)が異なっている。人望がなかったら到底実現し得ないだろうし、本当にすごいことだと思う。
17日のライブでは構成員の半分が会場である石垣島の人だと紹介されていた気がする。今年の1月に2週間くらい石垣島に滞在していたそうで、そこで出会った人々から繋がって今回の沖縄公演が決まっていったというから驚く。
自分に持っていないものを持っている人は魅力的なもので、はじめてのsaccharinのライブで受けた衝撃や高揚感は約一年が経っても忘れられない。

二日間とも最後に歌ったのは『魅力と欠点』だった。Twitterの感想ツイートに何度か書いたが、2019年末に小野不由美先生の『月の影 影の海』を読んでようやく人間の醜い部分を許容できるようになってきた。人間というか自分の醜い部分か。
2021年末のライブでsaccharinを知ったことは、2019年末からほんの少しずつ変わり始めた私にとってちょうど良いタイミングで出会えたのだと思う。2019年よりも前に知っていたら、一年経っても回想できるくらいの衝撃を受けなかった気がするのだ。
2019年からは3年、2021年からは1年しか経っていない。欠点を許容するのが精一杯で、それを魅力と呼べるようになるには時間がかかりそうだけれど、saccharinが「魅力と欠点は同じだと言ってください」と言葉にしてくれたことが、自分にとって最適なタイミングで出逢えたことが、とても嬉しい。

酒場育ちの大樹さんが酒場に対して並々ならぬ想いを持っていることが伝わってくる二日間だった。
色んな土地に色んな酒場があって、そこには人と人との交流がある。この二日間はライブだったから通常営業の雰囲気とは異なるだろうけれど、あの空間が各地に存在している事実を体感として知ることができて良かった。

以前、作家の芦沢央先生が私がかねてより思っていた気持ちをツイートされていて、いつでも読み返せるようにブックマークしている。

一番最後の部分。自分が読まなくても、知らなくても、一生出会わなくても、ただそこに物語が存在するだけで私は心が少し軽くなる。
お話していないから分からないけれど、大樹さんにとっての酒場は私にとっての物語に近いのかなと思った。

今回のライブの感想と言うより、この一年間で蓄積された大樹さんへの想いの丈みたいな内容になってしまった。

綾斗さんのライブのことを書いていなかったので書く。
Tempalayと綾斗さんのライブに行く前は、いつも緊張する。私が出演するわけでもないのになぜ!ライブが始まれば心拍数が下がるのだけれど……。
綾斗さんは「そんな真面目に聞かなくて良いんですよ」と仰るけれど、真剣に聴かせていただいた!

この二日間では飛行機の中で作ったという曲を披露してくれた。大樹さんから「禁酒」というお題をもらうも、酒場族とは真逆の概念すぎて「酒場」をテーマに作ったとか仰っていたような……。
16日の那覇公演の方が出演者も多い分、全体的に長く、綾斗さんの持ち時間も長かったような気がする。那覇では、大樹さんと二人で小原綾斗とフランチャイズオーナーの『おっぺえ』を演奏してくれた。
「人様(saccharin)の持ち場で、僕の本業のTempalayの曲なんか歌わない」と言っていたのに、(確か)『かいじゅうたちの島』を歌い出したから会場の人みんな笑っていたと思う!
「たいちゃんのことが大好きで、酒場族ツアーに呼んでくれて本当に嬉しい」って、本当に嬉しそうに話されるので心が温かくなった。
綾斗さんが最後に歌ったのは『遺言』だった。これも『引っ越し』みたいに音源を売ってくれたら良いのにな……何回(と言っても4回?)聴いても良い。綾斗さんの弾き語りの曲はTempalayの曲よりも具体的な表現が多いような気がする。だからといって聴者の想像力が狭まるわけではないので、その多彩な表現力に弾き語りライブへ行く度「良いな」という気持ちが強まってゆく。

『引っ越し』と言えば、今回の物販でも音源を販売されていた(!!ご本人が!!)(!!大樹さんもご自身で!!)。
6月のドミコのひかるさんとのライブでは500円で売られており価格設定がおかしいって当時の日記に書いた気がするけれど、少し正常な価格になってて安心(?)した。
でも、4月の大阪公演で「帰りの新幹線代が出れば良い」くらいのことをおっしゃっていたし、お金への執着はなさそうだ。でもでも、一ファンとしてはおいしいものたくさん食べて、心地よい場所に住んで、楽しく、健康に長生きしていただいたいので、適度にたくさん(?)稼いでくれ!と思ってしまうのだ。
価格と言えば、そもそもチケット代も安すぎたから……(那覇:2500円、石垣:2000円)(どういうこと?)。
ということでお二人の物販を購入させていただいたが、ライブ前から緊張している私がすらすら喋れるわけもなく、ホテルに帰っても足がぶるぶるしてた。

お話したこととか日記に残そうかと思ったけれど、これは私が残さなかったら私と大樹さん、私と綾斗さんの記憶にしか残らない会話だと思ったので、(私しか読まないだろうことはさておき)インターネットの海に放流しないことにした。
私が死んだら消える記憶だ。発想が気持ち悪かったらどうしよう。

物販でほんの少しずつお二人と話しさせていただいて思ったのは、とっても優しいということ……めそめそ。対ファンへの受け答えということを差し引いても、根が優しい人の言葉だったと思うのだ。綾斗さんの「ありがとね」の言い方がおばあちゃんが孫に言うみたいなあたたかさでぎゅってなったよ。めそめそ。
それなのに緊張しすぎて目も合わせられなかった気がするし、あわあわと逃げるように帰ってしまった気がするし、いや私のことなんてすぐに忘れると思いつつ、ホテルで脳内反省会を開いた。めそめそ。でも幸せだ。

大樹さんがsaccharinの活動を「現象」と呼び表すのは何故だろうと思っていたけれど、その場に行って思ったのはsaccharinという人が観客に対して一方的に何か決まったものを提供するのでなく、土地の空気や、場所の雰囲気、観る人によって毎回色んな感情が生まれる場所だから、決まってないから「現象」なのかなあと考えた。
行く度に「最高!」ってなることだけは決定事項なのだけれど、また違う場所でsaccharinという現象を観に?体験しにゆきたいなと思う。

2021年12月の歌謡激情から、2022年2月のTempalayのワンマン公演「寿司」までTempalay関係のライブがないのと、1月に試験があったのとで少ししんどかった記憶がある。自分で受験を決めたとはいえ、年末年始の休みが勉強に消えるのは辛い。
そんな期間をやり過ごせたのは歌謡激情の記憶があったからだと思う。食物から得る栄養素ではなく、記憶の残滓を栄養として生きていた数ヶ月……。
2022年末から2023年にかけても大切にしたい記憶と一緒に生きられるなんて幸せだ。好きなことに優劣を付けたくないけれど、私のライブ人生で一番幸せな、最高な二日間だった。ありがとうございました。本当に大好きだ。

「ライブ良かったです」とか「ありがとうございました」とか「好きです」って、こういうことを伝えられたら良かったのに、ご本人を目の前にしたら悲しいくらい無理すぎた。お手紙とか書いて良いのかな。

綾斗さんが飛行機で曲を作ったというのを真似して、私も飛行機の中で日記を書いた。こういう発想も気持ち悪かったらどうしよう。まあ、でも、そういうことした方が記憶に残るしね。