小原綾斗47都道府県ガタリ旅 佐賀編の日記
2018年、第2回ミステリー作家トークショー&サイン会へ行った思い出の地、佐賀県。滞在時間は長くなかったけれど、今回も忘れられない出来事がたくさんできた。
内容があまりにも日記すぎて、タイトルに「日記」と書いているとはいえ、詐欺みたいな気分になってしまうな……。
今回行ったライブ
・2/23(木) 小原綾斗47都道府県ガタリ旅~冬の九州ぶらり温泉巡り編~@シアター・シエマ(佐賀)
ライブ前の話
長崎から佐賀へは2022年9月23日に開業したという、長崎~武雄温泉間を結ぶ西九州新幹線という列車に乗って行った。
佐賀と聞いて真っ先に思い出すのは、ミステリ作家の竹本健治先生。竹本先生は武雄市にお住いなので、一度行ってみたかったのだ。
綾斗さんが温泉巡りをされるようなので、私も一箇所くらいは行きたくて武雄温泉を選んだ。
下から二段目のコインロッカーに12kgくらいあるスーツケースを入れる際、私がもだもだしていたら誠実そうな学生が扉を押さえてくれた。温泉に入る前からほっこりした。
東京駅を設計したことで有名な辰野金吾の設計による楼門。「QuizKnockの動画で辰野金吾って聞いたことある!」と、予習の成果が出たような気分になった。
武雄温泉には大衆浴場や貸し切り湯など、いくつか種類があるらしい。私は、現在使用されている温泉施設の建物としては日本最古のものだという元湯に入った。
脱衣所のロッカーに荷物を入れる際、私がもだもだしていたら(二回目)おそらくご近所にお住まいのご老人が「それならこっちのロッカーの方がたくさん入るよ」と教えてくれた。温泉に入る前からほっこりした。
高い天井をぽかーんと眺めながら入る温泉は良かった。いい気分だったので、お風呂上りにコーヒー牛乳を飲んだ。温泉に入って更にほっこりした。
武雄温泉駅から佐賀駅までは在来線でのんびり向かう。道中は、竹本先生の『閉じ箱』を読んだ。佐賀だからね。
次なる目的地はレストラン&カフェ浪漫座。2019年に第3回ミステリー作家トークショー&サイン会が行われた場所で、抽選に外れた私は行くことができなかったのだ。竹本先生、綾辻先生、京極先生、麻耶先生がいた場所に来ることができて良かった。お昼ごはんをいただきました。
次に向かったのは、竹本先生がTwitterによく書かれている珈琲館ルパン。
ご主人が骨董品を集めるのが趣味だったらしく、いたるところに時計がある。どれも時が止まっていて、それぞれに異なる時刻を指している。お店に入り、なぜだか外とは違う時間が流れているように感じられたのは時計のせいかもしれない。
お会計の際に「竹本先生はよくお見えになる。残念だけど今日はいないね」とお話してくださった。同じ場所に来れただけでもうれしい。
そして、第4回ミステリー作家トークショー&サイン会やってくれないかなあ。
ライブの話
佐賀のライブ会場はシアター・シエマという映画館だった。映画館ではあるけれど、今回のライブもそうだし、様々なイベントを開催しているらしい。
HPを見たら「人が集まるコミュニティスペースとして「文化交流」の拠点となっています」と書かれていた。そういう場所が近くにあったら良いな。
この日、一番印象的だったのは『さらば』だった。ずっと弾き語りで『さらば』を聴きたいと思うも、リクエストする勇気など出ず「う~……」と思っていたら、誰かが綾斗さんにリクエストしてくださったのだ。綾斗さんも「歌詞を持ってきている」ということでまるっと1曲歌ってくださった。
YouTubeにある20代の頃の綾斗さんが歌った『さらば』と、今の綾斗さんが歌う『さらば』を比べると、「そっと」の歌い方の違いが大きいなと思う。今の綾斗さんは優しく歌う。
はじめて『from JAPAN 3』を聴いた時も全体的に歌い方が柔らかくなっている印象を受けた。同じ曲を歌っていても、心情の変化によって歌い方も変わってゆくのかもしれない。
そういえば、iiieの弾き語りライブから酒場をテーマにした曲の歌詞も変わっていた。
私が行くことのできたライブでは全て一番最後に『遺言』を歌ってくださった。『遺言』の曲紹介で、頭の後ろあたりを示して「この辺にゴッド綾斗がいて、その綾斗が書きました」みたいな説明をされていた気がする。
これは福岡公演(第一部)における曲紹介だったと記憶しているが、「人に対して真摯に向き合いなさい」という気持ちを歌ったとか……何と話していたかすぐに忘れてしまう……!もどかしい。
記憶の断片と歌詞から考えるに、自分自身を俯瞰して書かれた曲なのだと思う。綾斗さんが自分自身に向ける眼差しは、仲良しの大樹さん(saccharin)と似ているなと思う。お二人とも、「最後は自分一人」って意識が強い気がする。なぜだろう。福岡編の日記を書く時にもうちょっと考えてみたい。
Tempalayを知りたての頃、綾斗さんに対してひょうひょうとしていて、ふざけているんだか本気で言ってるんだかよく分からない、とらえどころのない印象を受けた。
今回参加したライブのMCでも「真面目に聞く曲じゃないですよ」とか「全部ふざけて言ってるので」とか発言されていた。
でも、『あびばのんのん』のインタビューで「作品が消費されていくのはイヤだし、自分が生んだものはやっぱり愛してるんで」とおっしゃっていたし、過去のインタビューを引用するまでもなく100%真意ではないと思うのだ。
私が最初に受けた印象は一側面ではあるかもしれないけれど、その中に真面目さというか、ひたむきさというか……ぴったり当てはまる言葉が思い付かないけれど、そういうお人柄が垣間見える。ファンからしたらステージ上の公の姿(?)しか知らないので、ひどく勝手な印象ではあるけれど……。
はじめて聴いた時から『遺言』がとても良くて、昨年のライブで題名を知って、今年のライブで歌詞の背景についてより深く知ることができて、聴く度に好きになってゆくなと思う。
そういえばYouTubeに『さらば』の動画が上がっているけれど、綾斗さんではなく今は音信不通になった人がアップロードしたらしく、IDとPWが分からないので消すこともできないそうだ。
黒歴史っておっしゃっていたような気がするけれど、どれも大好きだから消せるようになっても消さないでほしい。お願いします。
「過去は恥ずかしいもの。今の俺が一番かっこいい」みたいにおっしゃっていたのがかっこよかった。
ライブ後の話
終演後フォロワーさんとご飯を食べに行く予定だったので、会場外に出ると煙草を吸いにいく綾斗さんとスタッフさんに遭遇した。お姿を見掛けて石化していたら、別のファンの方が「ペンを持ってきたので一緒に綾斗さんのところへ行きませんか?」と声を掛けてくれて、CDにサインしていただくことができた。
自分で書いていても妄想を書いているのか?と思うけれど、その際は一緒にいたフォロワーさんが証言台に立ってくれるはずなので……。
去年12月の酒場族でも綾斗さんとお話できる機会があり本当に何も言えなくて後悔したのに、今回も精一杯の「ありがとうございました」だけで終わってしまった。ううう。でもうれしい。
『なんて素晴らしき世界』は、長編小説を読み終えた時のような読後感(聴後感?)と物語性を感じられる大好きな作品で……ジャケットも大好きで……大切にします。
その後、フォロワーさんと会場近くのお店でご飯をご一緒させていただきました。ありがとうございました……!
おそらく唯一この日記を読んでくださっている方で、私としては日記を読んでなお会ってくれるなんてどういうことって今でも思ってしまうのだけれど、綾斗さんにお会いできたことや、ライブの余韻を共有できてとても楽しく過ごすことができた。
前回の日記に、継続的な人間関係を築くのが怖いとか書いている私がこういうこと書くと嘘みたいだ……。
コミュ症あるあるで、店員さんや初対面の人とは流暢に話すことができるのは、その場限りの、点の付き合いだからだと思う。その後会うこともなければ、気楽に付き合える。継続的な関係性だとそうはいかないから、会う回数が増えるごとに苦手になってゆくのではないかと……。
オモコロチャンネルで永田さんが「人のリアクションを自分で決めるな」「コミュニケーションをクイズにするな」と言っており、「私の悪いところだ!」と、身につまされたのを思い出している。本当に良くない。
閉店間際までお話ししてくださり、ホテルの前まで送ってくださり、お菓子もいただき、お土産もいただき……!
フォロワーさん含めて今回の旅で会った方々がみんなあたたかくて、咥え煙草でサインしてくださった綾斗さんも……、あまり自分を貶めると関係してくれた人に申し訳ないような気持ちもあり、もっと自分が傷付くことを恐れるだけでなく、他人のことも考えられるようになろうと思うのであった。であった!本当にありがとうございました!
今後日本地図を見たら佐賀県は光り輝いて見えるのではないかってくらい、忘れられない出来事がたくさんあった。良かったな。佐賀編終わり。