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黒磯日用夜市vol.7の日記

小原綾斗とフランチャイズオーナーのライブを観に、栃木県の黒磯駅へ行ってきた。
FCOのライブを観るのはいつ以来だっけと思って自分の日記を見返したら、去年の東名阪ツアーが最後のようだった。

今回行ったライブ

・8/25(日) 黒磯日用夜市vol.7@JR黒磯駅前広場(栃木)

ライブ前の日記

8月16日(金)に綾辻行人先生の『暗黒館の殺人』を読み終わってから、忙しかったり、それによって体調が悪化したりで全然本が読めなかった。
黒磯駅へ向かう電車の中、呉勝浩先生の『法廷占拠 爆弾2』を読み始めた。久し振りに読書に没頭できて、やっぱり私にはこの時間がないと駄目だと思った。

在来線を乗り継いで黒磯駅まで向かったのは大正解だ。交通費の節約が一番の理由であったけれど、本さえあればいくらでも電車に乗っていられる。ずっと座っていられたのも良かった。

黒磯駅に着いて、まずはお昼ごはんを食べた。

チキンカレー

暑いところにいると、ただでさえ少ない体力を消耗してしまうので、さっと食べて駅前にある「那須塩原市図書館 みるる」へ行った。

那須塩原市図書館 みるる

すぐ近くで黒磯日用夜市が開かれているので図書館内も混んでいるかと思っていたら、そんなことはなかった。本を読んだり、勉強をしたり、通常の目的で図書館を利用している人が多かったように思う。

モリコーネ

また、館内には「モリコーネ」というカフェがあり、飲み物やお菓子、軽食が売られていた。
図書館にあるカフェにしてはメニュー数が豊富で、開館から閉館までずっといられる。近所にみるるみたいな図書館があれば良いのに……。

とても居心地が良くて、黒磯駅に着いてから小原綾斗とフランチャイズオーナーのライブがはじまるまで、殆ど図書館の中で過ごさせてもらった。
もし館内の雰囲気が気になる方は、ぜひHPやInstagramを見てほしい。

家から持ってきた『法廷占拠』を読み終わってしまったので、伊藤亜紗先生の『体はゆく できるを科学する』を読んだ。本書は、暦本純一先生や牛場潤一先生といった、5名の科学者・エンジニアの研究を通して「体」の可能性について掘り下げてゆく本だ。
ヒトが肉体を持つ存在である以上、「体」は重要であるにも関わらず、「脳」や「意識」と比べると蔑ろにされている(してしまっている)ように感じる。脳と体を主従関係のように捉えているというか……。
だから体の可能性を考えてゆく本書は、テーマだけでも興味深かった。

ライブの日記

タイムテーブルでは、小原綾斗とフランチャイズオーナーのライブは19時45分開始だったが、開演時刻になってもFCOの前の前のRow Hooさんが歌っていたので、少しずつ時間がずれていったのかなと思った。
Row Hooさんの後は35分のDJタイムが入る予定だったが、既に19時45分を過ぎていたのでFCOの器材の準備が始まった。

開演を待っている間にどんどん雨脚が強くなり、まるで空からシャワーをかけられているかのようだった。
ライブが始まったのは何時頃だったのだろう?20時15分とか、それくらいだった気がする。なかなか始まらないなあと思っていたら、綾斗さんから「雨が強いので2曲だけ歌います」というお話があった。
残念な気持ちがなかったと言えば嘘になる。でも、即中止になってもおかしくないくらい雨が降っていたから、2曲だけでも演奏してくれたのがうれしかった。

演奏した曲は『BAD BOY』と『おかしな気持ち』で、新曲は聴くことができなかった。次の機会はいつだろう。

2曲とも、観客も一緒になって歌うような盛り上がりだった。
綾斗さんとKayaさんのマイクの音が小さいのか、観客の声が大きいのか、雨の音がうるさいのか、私が少し離れた場所から観たせいか、お二人の声(特にKayaさん)が聞こえにくいときがあった。
綾斗さんは前日にWILD BUNCH FEST.に出演されていてお疲れだったのか、そもそもいつもより声が出ていなかったような気がしなくもない。

サマソニの日記にも書いたが、最近、殆ど音楽を聴かなくなってしまった。だから、『BAD BOY』も『おかしな気持ち』も久し振りに聴いた。

さっき16日に綾辻先生の本を読んで、25日に呉先生の本を読んだのが「久し振り」と表現した。普段、本を読まない人にとっては、たった9日間読まなかっただけで久し振りなのかと思った人もいるかもしれない。
ちなみに9日間の間も、本は読んでいた。読んでいたが、1時間通しで読むような時間がなかったのだ。なおさら本を読まない人には理解されないかもしれない……。

『BAD BOY』と『おかしな気持ち』を最後に聴いた日を正確に覚えていないけれど、数ヶ月は聴いていなかった気がする。だから久し振りと表現しても間違いではないはずだ。

久し振りに聴いた2曲、特に『おかしな気持ち』は、とても良かった。
この1年間くらい、色んなライブに行く中で「できるだけライブに行きたいのは確かだけれど、義務感で行ってないか?」と、思うこともあった。
ライブで感じたことを忘れないように日記を書き始めたのに、これも「ライブを観たらいつも日記を書いているから書かなければ」という義務感で書いていないかと思うことがあった。

この日のライブは、純粋に、しみじみと、「良いなあ」と思う瞬間があって、久し振りに心のかたちを取り戻せたような気持ちになった。
その感触を捕らえようとしたらすぐに逃げて行ってしまったので、日記を書いている今もこの言い方で表現できているのだろうかと思ってしまう。
寝ぼけ眼で思い出そうとする夢の記憶のように、すぐさまどこかへ行ってしまった。

ライブを観ていても心や体で楽しんでいるのではなく、頭で楽しんでいるようなときも多くて、そんな自分に悲しくなることもあった。
年を取れば取るほど、感動する機会は減ってゆく。しょうがない。見知ったものが増えてゆくのだから。
だからこそ『おかしな気持ち』を聴いたときの一瞬の、でもしみじみとした実感は、まだ私は心や体で感動できるのだと思えてうれしかった。

8月の日記に病気が辛いことをぐだぐだ書いた。不健康な体で生きていると、私は楽しいことも全力で楽しめなくなってしまう。
「まだ、私は感動することができるんだ」という経験は、体で理解する、体で可能性を知る、体が希望を持つことを教えてくれる経験だった。
頭では「今までに何度もライブを観たから、はじめてのような感動が得られないのは当たり前だ」なんて分かった振りをしていたが、体が「私のポテンシャルを舐めないでくれ」と言っているようだった。
この一瞬があるならば、私の病気が治る可能性だってあると思える。いや、思いたい。

今まで行ったライブの中で一番短かったけれど、得難い経験ができた。
そんな経験をしたって今日も辛いのに変わりはなかったけれど、自分の可能性を信じて、少しずつ前を向いてゆきたい。