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110 - インターミッション

画家は残酷な真実を求める(『美しき諍い女』)

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Johnny Cash(ジョニー・キャッシュ/以下”JC”): 実は現実的だった、という面白さがあると思う。「地球は平らだ」とか。はははは。

Chantrapas(シャントラパ/以下”C”): そうだね。

JC: その……自分はたぶん死に対する弱さ、みんなあると思うけどね? 弱さみたいなものが当然あって、でも魂の永続性はどうしようもない。

C: うん。

JC: 仕方ないんだよね。たとえ死ねたとしても、魂は残っちゃうから。だから今の身体とリンクして魂があって……というくらいはなんとなく分かる。それでいいや、と。それでいいじゃん? くらい。

C: ふん。

JC: 魂みたいなものは、ある程度裏付けがある……その裏付けを作ってあげる必要があるのね、自分はね。それは脳でやる、身体でやる。魂に根本は欲しいわけですよ。深い根っこみたいなね。そのためだったらなんでもやります、死んでもいいや、というくらいの覚悟でやる。

C: ほん。

JC: そこが自分を自分たらしめているところなのかな、と思う。大袈裟に言うとそういう事。

C: カッコ良いね。風邪引いてファシスト化してるわたしとは……。

JC: はははは! 今のは書いてね。冒頭でいいよ。引用文くらいのレベル。ははははは。

C: やっぱり「こだわり」ですよ。世界の全部を肯定したいなと思うけど、やっぱり無理だもん。谷崎もそんな読まれ方されたくないだろうけど。ははは。


アニメ雑談

JC: 「この人面白いじゃん」っていう反射でいいんだけどね。自分にとったらプーチンの演説でさえ反射的に面白いだけだから。かははっって、面白ってなる。絶妙のニヒリズムの上に成立してるな、と……そこくらいまで汲み取って、もっと楽しんだ方がいいよね。

C: それありきで楽しまないと確かにしんどいよね。この間アニメをね……わたしアニメ苦手だから。

JC: そうなの? 漫画は好きでしょう?

C: 漫画はまあまあ。

JC: そうなの? 自分よりずっと知ってる。

C: それなりに嗜むくらい。育つ過程で横にあったから習慣化してるだけ。アニメは……絵が動くとか? くらいのもの。

JC: あぁ。

C: 全然好きじゃない。すごい雑に言うけど、絵が動くって何、と思ってる。

JC: だね。自分もそう思う。なんで絵が動くのか、動く必要ある? って思う。

C: で、もはや絵を動かすこと自体が目的化してるでしょう?

JC: あぁん。

C: とんでもない技術で一体何やってるのよ。

JC: 思うね。

C: 当然その中で好きなのもあるんだけどね。アニメってすごい思想的……思想的じゃないフリしてるだけで。

JC: フリしてる。

C: 危ないよね。もう設定だけでね。

JC: 情報がもうバン! と来るもんね。満載だからね、飲み込まれるよ。そこはわかんないようになってる。出来が良すぎるし、しばらくその世界を生きてしまうくらい。

C: 漫画、アニメ……というかこれはテレビゲームの言葉だと思うけど、

JC: うん。

NPC/オーガニック

C: イーロン・マスクの年末のツイートで<自分がNPCかもって疑ったことのない人はNPCかもよ>って。

JC: うんうん。

C: NPCって”Non-Player Character”のことだけど、例えばドラクエの村人とか、コマンド通りの事しか答えられない。あっても2、3パターンとかね。

JC: 「なにがひつようですか?」とか。

C: そうそう。プレイされてないキャラクター。ざくっとね。

JC: それを経験してないと、それになってるかもってこと?

C: いや、自分自身に対して「NPCかも?」って疑ったことない人はNPCかもねって、プレイヤーだったらそっちの可能性も考えてみるよね、って意味なんじゃないの。

JC: 今ざくっと聞いた感じでは、イーロンは「コマンド対応がある程度必要だぜ?」という側面ももって言ってるのかと思うよ。

C: うぅん……「世界はシミュレーションだよ?」と言ってるんだと思うけど。はははは。

JC: その程度かな。くくく。そうかもね。なんで自分がイーロンに肩入れしないといけないのよ。ははは。でもそれくらい危ないよね、今現状が。

C: うん。

JC: ミンナ「それでいいや」と思っちゃうんでしょう?

C: 思わない思わない。

JC: 思わないのか。自分はそれ……いいよね。NPCなりたい。

C: なりたいでしょう? そうそう、そうなのよ。わたしもそう思う。

JC: NPCだと思ってる、もう。

C: 結局自分がNPCだと思ったら、こんなに楽なことないじゃん!

JC: くくく。NPCなんです。

C: このオーガニックに思える反応もさ?

JC: くくく。

C: 全部ゼロイチのゼロイチのゼロイチの……先のゼロイチの反応で、コマンドの一つだったとしたらこんなに楽なことないじゃん。

JC: ないね。

C: という事まで受け入れてから、そこから人生始められるのか? という問いと解釈すると……。

JC: 始めた方がいい。そこから始めた方が。

C: そうそう。そっから。その先の希望を見てやんなきゃ。

JC: そういうこと。めっちゃ大事。

C: あくまで「シミュレーション」という言葉に拘るけど、

JC: ははは。

C: この世界がゲームだよ、という意味じゃ全然ない。

JC: そうね。

C: 「この世界はシミュレーションだよ」「この世界はデジタルだよ」「ゼロイチだよ」と言った先の、そのオーガニックね。

JC: 前提ね。

C: そこに辿り着きたい。

JC: 「無」ってそこだってことだよ。

C: うん。これもたぶん同じ話をしている。

JC: そういうことです。

C: 単純に「シミュレーションだから意味ないよ」とか、そういう話じゃない。

JC: そこで色んな事を……

C: ちょっと待って。

JC: はい。

C: だけど病気したから、意味ないのかな、ってちょっと思ってた。

JC: はははは。治ったんだ。「寝込むな!」って結論?

C: ははは。

JC: 意味ないなって、そこである程度諦めみたいなのがね……いわゆる有識者なり知識人の間で蔓延ってるんだと思うわ。色んな事分かりました、知りました、気付きました……で、そろそろ真実に人々が向かうんじゃないか、と思ってたけど。

C: うん。

JC: 2年経ってもなんにも変わんないから。何が原因なんだろう、自分なのかな? と思っちゃう。自分が原因ではないと思ってるんだけど、それでも思っちゃうくらい。

C: みんなが無力感にやられちゃってるんだ。

JC: そこが……もう一歩行ってみると限りなく無に近いから、あと一息だよ。

つづく


2023年1月22日 doubles studioにて録音

ダブルス・ストゥディオ
Johnny Cash (thinker/artist) & Chantrapas (designer/curator)
#doubles_studio_talk でトーク部分を一覧表示できます。

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