見出し画像

#5 本物の世界チャンピオンになりたい

この企画はダブルダッチの歴史を人伝いに辿っていく企画です。
「ダブルダッチをはじめたきっかけになった人」をどんどんつないでいけば、最初にダブルダッチをはじめた人に辿り着くのではないか、という超アナログ企画。
KO-JIからバトンを託された5人目はKO-YA。メンバーの脱退で打ちひしがれるなか、新たに加入したメンバーがKO-YAを支えていました。そしてREGSTYLEは「ある目標」に向かって発進していきます。

”目指せる”練習
そして本気で”目指すこと”



イケポン
その次のコンテストが2017年で、優勝の1回目だ。

コーヤ
そう。SEIJI兄から引き継いで、オレがリーダーとなり、KEITAを誘うじゃん。で、まずチームの方向性をどうしようかって考えた時に「本物の世界チャンピオンになりたい」っていう思いがやっぱり強くあった。自分のスキルに対しては自信が無かったけど、今のREGならもしかしたらいけるかもしれないって。
それで6月、みんなに「コンテスト出ようぜ」って言ったの。そしたら全員渋るという(笑)。

イケポン
あれ…(笑)?なんで?

コーヤ
そもそもオレにスキルが無かったから、その言葉に説得力が無かったよね。YUIさんは「コンテスト目指すより、プロとしてもっと幅広いことをやったほうがいいんじゃない」って考えだったし。TakumAも超反対っていうよりは「まあいーけど…んー…」って。
KEITAは「REGで目指せる?」って感じで「やるんだったらゲストショー的なノリじゃない?」みたいな。KAIくんも「うーん…」って。まあみんな反対っていうより、渋り…。

イケポン
REGでコンテストに出てるイメージが湧かないって感じだ。

コーヤ
そうそう。プロでコンテストに出るって、負けた時のリスクも半端ないし。

イケポン
そうだね。

コーヤ
でもそこから7〜8月の間に、一人一人にこまめに連絡を取ったんだよね。コンテストに出ようぜっていうより、チームを何か1つ、同じ方向に向かわせたかったんだよね。挑戦したり本気で何かを目指すことで、成長できると思った。
2ヶ月間、「このメンバーにはどんな言葉がけをしたらいいだろ?」ってガムシャラだったから、なんて声をかけてたか細かくは覚えてないんだけど。

イケポン
一人一人に対して。過去の反省を活かしたんだ。

画像1


コーヤ
そう。個々にいろんな話をして、9月の頭くらいに「じゃあコンテストは出ようか」っていう話になったのは覚えてる。「とりあえず整った!」って。

イケポン
やっとだ。

コーヤ
うん、でもオレは整ったらもういけると思ってた。他の4人にはもう必要な力は十分あったから、あとはオレが練習するだけだって。

イケポン
今までのことがあったからかもね。

コーヤ
メンバーみんながスキルもあるしクリエイティブな考え方もできる。パーツは全て揃ってるから、あとはチームの方向性を整えることとオレが練習することだけだと思ってた。一番集中したのは、コンテストに出るまでの方向性を合わせるところだったかな。

イケポン
それまでのREGには無かったことだもんね。方向性が合うってことが。

コーヤ
そうだね!だからめっちゃくちゃ楽しかった。久々に練習に行く道中がルンルンした(笑)。

画像2


イケポン
あー、それめっちゃいいなあ(笑)。

コーヤ
うん。すげー楽しかった。すげー幸せだった、“目指せる”練習。
でもね、“目指すこと”の大切さを思い出させてくれたのは、2015年の超DANCE@HEROで優勝した時でもあったんだよね。当時は“目指すこと”を忘れてた状態だったけど、そんな中でTOKYO FOOTWORKZと一緒に出場するって企画が上がって。あの時の練習の過程でTakumA、YUIさん、SEIJI兄と一緒に“目指す”経験をしてすっげえ楽しかったんだよね。
やっぱ本気で“何かを目指すこと”をしないと楽しくないって。

イケポン
本気で“目指すこと”か。

一番の仲間であり一番のライバル

コーヤ
オレ自身がすごく変われたきっかけはFROG(Fab Rope On Games vol.1)なんだよね。

イケポン
あ!3人で出てた?

コーヤ
そうそう。KAIとKEITAと3人で。

イケポン
あーよかったね、あれもすごく。あのデモ、エンディングが渋いんだよなー(笑)。


【Fab Rope On Games Vol.1】 Regale from REGSTYLE


コーヤ
あれはオレがすごく変わった瞬間だったね。まじでダブルダッチ下手だったから。プロなのに。

イケポン
プロなのに。

コーヤ
「FROGに出よう!」ってKAIとKEITAが言ってくれたんだけど、すげービビってたの。あの2人はうまいし、オレのことナメてるからさ。ボロクソ言うわけよ。(笑)

イケポン
へー。

コーヤ
「KO-YAさん縄はえーよ」とか。オレ、一応先輩じゃん(笑)。プライドも少しはあったわけよ。でも本当に変わりたかったから、家に帰ってから考え方を切り替えたんだよね。「今やあのダブルダッチ界のトップランカー2人が仲間なんだぞ。あいつらはむしろオレのダブルダッチの先輩だ」って、その時は心の中で思う努力をした。

イケポン
(笑)

コーヤ
先輩から「縄早い」とか「もっとこうしろ」って言われるの、むしろありがてえっていうテンションで(笑)。まあペコペコはしないけど、マインドはそう思うことにして。「とにかくこの2人についていこう」って思ったFROGだった。
でももう大会で勝つ感覚も分からなくなってたから、デモが完成したんだけどオレは「このデモで勝てるの?」みたいな感じ。2人が「これなら余裕でいけるね!」って言ってるのを聞いて、オレだけ「まじっすか?」って感覚だったね。(笑)

実際出てみたら優勝できて「すげー!さすがっす!すごいっすね!本当に勝てたっすね!」みたいな感覚だったよ(笑)。

イケポン
いい話なのに面白すぎる(笑)。

画像3


コーヤ
もちろんそっからオレの心の奥底ではふつふつと「あの二人を負かしたい」って思いは半端なく湧き上がってた。チームメイトが、一番の仲間であり一番のライバルだったわけ。だからそこから毎日練習したんだよね。
FROGがあったから、オレのシカゴフットワークも完成したし。

イケポン
あそこからだったっけ?

コーヤ
そう、あそこが初出し。シカゴはSHUHOさん(TOKYO FOOTWORKZ)仕込みなんだよね。SHUHOさん仕込みのシカゴフットワークを初めてFROGで見せて、オレにも1つ自分の道が見えて。

イケポン
なるほど。

コーヤ
そっからの3年間はクソ練習したね。チームメイトが相当燃えさせてくれた。あいつらの…KEITA、KAIのナメ具合を見て「絶対見返してやる」って。でもそれはすっげえ幸せなことなんだよね。チームメイトが超仲間で、超ライバル。しかも練習も超楽しいのよ。すっげえ幸せを感じれたね。

イケポン
そうだよね。

コーヤ
KEITAなんか本当に練習するよ。何をするべきかも超考えてるし。そりゃNO.1になるよね。いつも刺激もらってる。

イケポン
チームメイトながらに、だね。

「世界一にやっぱなりたい!」って書いた


コーヤ
そういえば、オレ1年生の時からずっとダブルダッチノートつけてて。あー、ノート持って来ればよかったなあー。

イケポン
ダブルダッチノート!

画像4


実際のダブルダッチノート。2008年からつけているという/本人提供

コーヤ
オレのノート、他の人が見ても分からないかもしれないけど、面白いよ。1冊目には、「FUKUさんからの教え」って書いてあって。1年の頃にDUT(Dig Up Treasure)の学祭で会えたオルト(alttype)のFUKUさんからの話だね。その時からFUKUさんにもお世話になってる。

イケポン
「FUKUさんからの教え」(笑)。

コーヤ
他にも1年生のサマキャンで学んだKey-Aさんの 「田島塾」の内容とかも書いてあるよ。Key-Aさんは今や乱縄のコーチをしてくれてるけど、オレが学生の頃から色んな相談にのってくれて、パフォーマンスづくりについてもいっぱいアドバイスをくれた。

イケポン
へー!そういうのを全部ノートに残してるんだ。

画像5


実際の「フクさんからの教え」/本人提供

画像6

「田島塾」の内容もメモしている/本人提供


コーヤ
んで、4年間のくすぶってる時期のノートは、字もすげえ適当なの。でも2015年の超DANCE@HEROが終わった時点でノートに「世界一にやっぱなりたい!」って書いてあるんだよね。そこの世界一のメンバーには

「SEIJI、TakumA、YuI、KO-YA、______、______、」

って書いてあるの。KAIが入る前だね。
「あと2人、誰かいれば世界チャンピオンになれるかも!」って思ったんだろうね。書いたことなんて覚えてなかったんだけど、それをこの前の3連覇前に見返して「うわーっ!」て一人で鳥肌たったんだけど…それがKAIとKEITAだったんだよね。

画像7


世界一になりたい!/本人提供


イケポン
おおおお!そのノート見てみたいなあ…(笑)。

画像8


ノート内のDDCJ2017の構成メモ/本人提供


(最終回につづく)

取材・編集:イケポン
バナーデザイン:アキノリ
撮影:ヤマダイ

ダブルダッチマンの運営のために、もし良ければサポートしていただけると嬉しいです◎