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#2 この人みたいになりたい

この企画はダブルダッチの歴史を人伝いに辿っていく企画です。
「ダブルダッチをはじめたきっかけになった人」をどんどんつないでいけば、最初にダブルダッチをはじめた人に辿り着くのではないか、という超アナログ企画。
KO-JIからバトンを託された5人目はREGSTYLEのKO-YA。乱縄に入り”カッコいい先輩たち”に出会ったKO-YAは次第にダブルダッチにのめり込んでいきます。しかし…。

カッコいい先輩たちがいて


イケポン
そんなこんなでダッチをはじめたと。最初は飽きなかったの?ダブルダッチを始める時って、基礎練が多かったんじゃない?

コーヤ
基礎練も新鮮だったからなんだかんだ楽しかったんだけど、さらにダッチを楽しくさせてくれたのが、CANさん、YU-KIさん、SEIJI兄だったよね。当時はまだ“SEIJIさん”って呼んでた。
新歓の時は酔っ払いすぎてどんな先輩がいるのかも分かんなかったんだけど、初めての全体練の時にSEIJIさんがダッて現れた瞬間「うわっ!なにこのカッコいい先輩!」って思ったの。

イケポン
覇気だ(笑)。

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コーヤ
「この人みたいになりたい」ってその瞬間に思って、基礎練が終わった後SEIJIさんのとこに行ってたんだよね、毎回。

イケポン
へー。

コーヤ
「お前、勢い良いね!」って言ってもらって、こっそりダンス教えてもらったり縄の応用練してもらったり、それがすごく楽しくて。
そこにはYU-KIさん、CANさんをはじめ、カッコいい先輩たちもいて。その全体練後のコソ練から、だんだんダブルダッチが好きになっていったね。

イケポン
好きになったきっかけが、そのコソ練だったんだ。

コーヤ
アイソレーションを教えてもらったのをすごい覚えてる。ダンスやりたかったから「やっとダンスできる!」って思ってたね。基礎練からの解放もあって(笑)。

イケポン
最初は縄ばっかりだもんね(笑)。

コーヤ
そうそう(笑)。それで好きになっていったなあ。だから1年生の時、新鮮ですごい楽しかった。

イケポン
じゃあその辺りからは、もうモチベーションもかなり上がってきてたんだ?

コーヤ
あ、でも「楽しい」っていうテンションだったものが「頑張ろう」に変わったきっかけは、また別にあって。

イケポン
ほお。

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SEIJI、YUKI、CANと。


「楽しい」から「頑張ろう」へ


コーヤ
乱縄って7月に飲み企画を河原でやるんだけど、すごく印象に残ってることがあって。
飲みの場だと、こっちはとにかく先輩に名前を覚えてもらいたいから勢い出すじゃん?でも最後まで生き残ると、先輩のアツい話が聞けるんだよな。

イケポン
生き残ると(笑)。

コーヤ
酔っ払うとSEIJI兄もそうだし、当時の先輩ってみんなすげーアツい話すんの。そのアツさがすごく好きで。
SEIJI兄はその時「ダブルダッチって…乱縄ってな…先輩たちのいろんな想いがあって、その”想い”が繋がってここまできてるんだよ。だからそういうところをKO-YAはよく見てくれ」って話をしてくれて。

イケポン
”想い”。

コーヤ
「純さん(原竹純さん/現JDDA会長)もJ-TRAP.* やRUN-D-CREW* を見て乱縄を作った。ダブルダッチをもっと大きくしようぜ、かっこいいものにしようぜって。乱縄はその軸になるものだから、楽しいとか格好良いだけじゃなく、ダブルダッチに対しての想いを背負った団体なんだよ。だからそこをみてくれよ」っていう話をされて。
「乱縄ってカッコ良い人達なんだな、そして想いを繋げる乱縄を作った純さんって人すげぇ」って思った、1年生の夏。

*J-TRAP.
日本で最初に誕生し、最も長い歴史を持つプロダブルダッチチーム。 1993年、ダンスの専門学校に通う仲間数名で、ダブルダッチを取り上げたテレビ番組へのレギュラー出演決定とともにチームを結成。2018年に25周年を迎えた。

*RUN-D-CREW
1995年結成のダブルダッチ界”伝説”のチーム。大会入賞やCM出演や振付など、プロダブルダッチチームの先駆けとして数々の偉業と功績を残した。2007年解散したが、現在もメンバーが各々DJやMCなどで活動している。

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イケポン
そこから大会に出て、どんどんアツくなっていくのかな?

コーヤ
うーん…負けず嫌いだから、大会で負けたくないって気持ちはあったね。でもこれとはまた別にダブルダッチに対して真剣になった出来事があって。

イケポン
というと?

コーヤ
おれが問題起こしたんだよね。1年生のコンテスト前に。これも…まあ大丈夫かな…。

イケポン
どうでしょう(笑)。

乱縄のために、ダブルダッチのために


コーヤ
えーっとね…まず日体の現役生は車通学しちゃダメだったんだけど、オレ車で日体に行っちゃったことがあって。日体の近くには駐車場が全然ないから、同じように車通学してた友達がどこなら駐車できるかチェックしてたんだよね。

イケポン
うん。

コーヤ
「このマンションのここは大丈夫だよ」って聞いてたとこに、オレ含めてみんな停めまくってたらしくて。ある日そこのマンションの管理人が日体大に苦情を入れたんだけど、その時に車を停めてたのがオレで。

イケポン
タイミング悪く…。

コーヤ
乱縄自体もその時、部員がちょっとした不祥事で、大学から「ちゃんとしろよ」って言われてた時期だったから、さらに追い討ちをかけちゃって。「うわー、やっちゃった…」って。

イケポン
なるほど。

コーヤ
その時に世界大会行きが決まってた、胡蝶華・PEEK-A-BOO・真珠星の3チームへの大学からのサポートがなくなってしまったの。

イケポン
そんなこともあったんだ。

コーヤ
そう、大迷惑をかけちゃったんだ…。

イケポン
その時にめちゃくちゃ怒ってくれたのが胡蝶華のクーチンさんをはじめ、3チームの先輩方。めちゃくちゃ叱ってくれた先輩方には、今でも頭が上がりません。
当時主将だったマコトさんは叱りながらオレのことを庇ってくれて、乱縄は廃部にならずに済んだんだけど、「この4年間で絶対に何か返さないと!」って思った。
こんなに大迷惑をかけたオレのことをきちんと叱ってくれて、庇ってくれる先輩達がいるんだから。

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イケポン
1年生の時?

コーヤ
そう、1年生のコンテスト前くらいの話かな。本当にオレはめちゃくちゃクソだったよ。

イケポン
なるほどー。その先輩たちのためにも…っていう思いがそこでは芽生えてきたんだ?

コーヤ
そうだね。先輩たちが繋いできた乱縄に対する想いに、オレは泥を塗ってしまったと思って。だから会えるOBの人達には、頭を下げに会いに行って。

イケポン
へー!頭を下げに!

コーヤ
「先輩たちがやってきたことに泥を塗ってしまいました。申し訳ありませんでした。」って。OBOGの人達は、その度に「お前は辞めずに、乱縄のためダブルダッチのために、これから頑張れよ。応援してるから」って言ってくれて。
だから問題を起こした件で、すごく反省したし、その時に色んな先輩方からの、ありがたくいろんな想いを伝えてもらったから「その想いに応えないと」っていう気持ちにはめちゃくちゃなったかなあ。それは大事なきっかけ。

イケポン
そんなことがあったんだね。

コーヤ
問題を起こしてからは「ダブルダッチまじで頑張ろう」ってより強く思ったし、まず自分ができることは、ちゃんと結果を出して日体大の先生たちに乱縄ってものを認めさせることだっていうふうに考えてた。

(#3につづく)

取材・編集:イケポン
バナーデザイン:アキノリ
撮影:ヤマダイ

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