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《Q&A》技術について

【ワンポイントアドバイス】

・よほど抜群のセンスでもない限り、教則本無しで上達するのは無理です。学校に無ければ先生に相談してみましょう。
・基本的に弓はたくさん使いましょう!!演奏会を見ていても、弓が少ししか動いていないと何だか頼りないですよね。
・演奏中は弓が常に弦の同じ場所を弾くように気をつけましょう。弓が滑っていると弦は正しく振動しません。
・左手の基本フォームは正しい音程、無駄のないポジション取りをするのに必須です。楽な形に逃げず、基本フォームをしっかり作りましょう。
・細かく速い音符のときは弓を使わず、手首を柔らかくして弾いてみましょう。
・弓順、運指にはきちんと意味があります。音符の意味を考えながら決めてみましょう。

《1》おすすめの教則本は何ですか?

 《回答》もちろん、私が執筆した「入門者のためのコントラバス教本」をお薦めします。これは弦楽器の知識がない顧問の先生でも、生徒さんの進度を確認出来る表がついています。近年ソロコンテストでの選曲の質問が多いので、初心者のコンテスト向きの1曲として「カプッツィ/コントラバス協奏曲第1楽章」の楽譜、伴奏譜が付録に、さらに演奏がDVDに収録されています。これも私の著書ですが「パワーアップ吹奏楽!コントラバス」も他の楽器とのシリーズものとして発売されています。また、東京佼成ウインドオーケストラの前田芳彰さんの著書「もっと音楽が好きになる 上達の基本~コントラバス」もお薦めです。
 これらの入門書で基礎的な事を学んだら、シマンドルの「NEW METHOD FOR DOUBLE BASS」や檜山薫「HIYAMAノート」などが良いと思います。これらはかなり難易度も高く根気が必要ですが、ちゃんと練習すれば確実な技術向上が得られます。

《2》毎日やっている練習はありますか?

 《回答》昨年までは、毎日遅めのテンポのロングトーンと全調のスケール、分散和音をやるようにしていましたが、ルーティーンを決めてしまうとそれを実行出来ない演奏条件(例えば音出しの時間なくいきなり本番に臨まねばならないなど)の際にメンタルに悪影響があったので、今は週に3~4日これらの練習をしています。後はいきなりソロ曲を弾いてみたり、いま自分に何が必要か考えて最初の音出しを決めています。

《3》大きな音を出したいのですが。

 《回答》基本的には弓をたくさん使い、弓は常に弦の同じ場所を弾くように心がけます。意外とこの2点が出来ていない人が多いです。適度な松脂の量と適度な右手の重さを弓に乗せて弓の毛がしっかり弦を噛んでくれれば、ある程度しっかりした音は出ます。この「適度な」が難しいのですが・・・・。要するに正しいフォームできちんと弾けば楽器が持っている力は引き出せるという事ですね。
 但し、中学・高校吹奏楽部にあるような楽器には、正直力の限界があります。管理状態も悪い場合が多いですし、そのような楽器ではプロでも苦戦する事を知っておきましょう。
 また、「大きな音」にはいろんな種類があります。音符や音型によっても弾き方を変える必要があるので、プロのレッスンを受ける事をお勧めします。
 最後に、吹奏楽で単純に「大きな低音」が欲しいならテューバを増やせばよいと思っています。コントラバスは「管楽器にない『響き』、倍音」を出すために吹奏楽に補充されている事を忘れないで下さい。  

《4》弱音(p、ppなど)では弓をあまり使わないように言われています

 《回答》間違いではありませんが、弓をいっぱい使って圧力を弱くしたほうが、遠くまで響く「生きているpp」が出たりもします。その曲の雰囲気などから【弓を置く場所・速度・圧力・量】を使い分けましょう。    

《5》指が弱いので、指立て伏せをしたら効果はありますか?

 《回答》ありません。指を傷めるばかりか、余計な筋肉で速い音符が弾けなくなる可能性すらあります。楽器に必要な筋肉は楽器の練習で身につけましょう。参考までに、ギタリスト用の「指を強くするトレーニング器具」などもありますし、100円ショップで握力を鍛えるゴムボールなどもあるので、指の弱い初心者の方はそれらを使ってみるのも良いかもしれません。  

《6》ピチカートが鳴りません

 《回答》楽器のポテンシャルと奏法のどちらに原因があるか分からないので、プロのレッスンを受けては如何でしょうか。私は一発ボーンと鳴らしたい時は指板の切れ目よりやや上、硬めの音が欲しい時は楽器の肩よりも上の方を弾くようにしています。右手の場所も大切ですが、左手がしっかり押さえられていないとやはり音がきちんと鳴らないので、どちらも気を使って練習してみて下さい。
 それから、「弦は横にはじく」という原点を忘れないようにしましょう。プロがピチカートの際に腕を前方向に振り上げているのを見て真似する人が多いのですが、細かく指先に注目すると、横にはじいています。弦をはじいたあと、音を遠くに飛ばすイメージで腕を前に振ると良い音がします。運動のフォロースルーのようなイメージですね。   

《7》「音程が悪い」と言われます

 《回答》これはコントラバスで最も多い悩みかもしれません。原因としては ①技術不足、②練習不足、③楽器のコンディションが悪い というところだと思います。
 ①まずは右手も左手も基本フォームがしっかり出来ているか見直してみましょう。特に左手の基本フォームは、最低限教則本に載っている形をキープ出来るようにしたいところです。それから、弓が綺麗に使えていないとピッチが安定しません。弓が弦に対して直角に弾けているか、同じ場所を弾いているか再確認しましょう。
 ②①がしっかり出来ているなら、後は練習が足りない可能性が高いです。スケール練習を毎日やるのがもっとも確実です。この時、指板のマークなどを見ながら練習すると耳が育たないので、左手を見ないで同じ音を何度でも正確に取れる練習をしてください。ピアノを弾いてもらって合わせるのが理想ですが、部活などではそうもいかないでしょうから、チューナーと睨めっこして練習しましょう。
 ③弦が古かったり、駒が曲がっていたり、指板が削れているなど楽器が弾きにくい場合もあります。たまに楽器屋さんに見て貰うと良いでしょう。何より、プロのレッスンを受ける事で改善策が見つかるかもしれません。

《8》「弓は真っ直ぐ」と言われますが、プロでもそうなっていない人を見かけます 

 《回答》一度は基礎をしっかり固めた状態から理想のフォームなどを求めて変化していったものだと思います。最初から真似をせず、まずはしっかり弓を真っ直ぐ使う練習をしましょう。   

《9》速いパッセージが弾けません 

 《回答》技術的には右手の脱力を意識し、細かい音符なら弓を使い過ぎないよう意識します。左手も、最も無駄の無い指遣いを考えましょう。あとは練習あるのみ。まずは左手がシフトする箇所だけを抜き出して練習します。
 次に、テンポを指定の半分くらいに落として1拍、1小節ずつから練習し、メトロノームで5ずつくらいテンポを上げていきましょう。考えながら練習するほうが、むやみに速いテンポで無意識に何度も練習するよりも早く良い結果が得られると思います。       

《10》「右手の力を抜け」と言われますが、どれくらいの力で弾けば良いのか分かりません。 

 《回答》プロのレッスンを受ける事が上達への一番の近道だと思います。感覚を言葉で説明するのは大変難しいのですが、卵を右手に包んで割れないようにする時の力の入れ具合に近い気がします。
 また、一番いったん弓の毛を緩めてから、少しだけ張った状態で弾いてみましょう。右手に力を入れず、毛がきちんと引っかかって弦を捉えていれば、それでも音が鳴るはずです。その時の右手の力加減がちょうど良いと思います。一番大切なのはガッチリ弓を握り締めないことです。私の教則本「入門者のためのコントラバス教本」でも触れていますので、読んでみてください。

《11》ソロコンテストに出場したいのですが、どのような曲を演奏すれば良いですか?

 《回答》ある程度本気で入賞を目指したいなら、最低限カプッツィのコントラバス協奏曲第1楽章などを演奏出来るレベルになってからにしましょう。この曲の楽譜・伴奏譜は私の著書「入門者のためのコントラバス教本」の付録についていますし、演奏もDVDに収録してあります。
 それ以外ではテレマンやマルチェロ、エクレスのソナタ、少し高いポジションも弾けるならピフルのコントラバス協奏曲などがあります。ハイポジションも問題なく弾けるならドラゴネッティ、クーセヴィツキー、ヴァンハルなど協奏曲がいくらでもあります。
 シマンドル「30の練習曲」も伴奏譜が発売されていますから、こちらの最初の方の練習曲でも良いと思います。
 とりあえず出場して雰囲気を感じたいのであれば「コントラバス名曲集」といった簡単な曲集も発売されていますので調べてみてください。

《12》テューバや低音木管と音程が合いません

 《回答》特に吹奏楽での管楽器はピッチが高くなる楽器ですから、少し高めに取ってあげると良いかもしれません。「どちらが悪い」という発想だと人間関係も悪くなりますから、お互いに歩み寄るよう努力すると良いですね。

《13》分奏の時は金管、木管どちらに参加すれば良いのですか?

 《回答》私は木管を推奨しています。金管に参加しても正直あまり聞こえないですし、木管のほうが自分の音を認識出来て練習になります。

《14》指揮者が「じゃあ金管だけ」「木管だけ」と指示した場合、どうすれば良いですか 

 《回答》私はどちらの場合も演奏するようにしています。そのほうが楽器に触る機会も多いですからね。

《15》コントラバスを弾く時は立奏、座奏のどちらが良いですか

 《回答》私は座奏を薦めています。「昔は立って弾いていたのだから立つべきだ」という意見もあるようですが、時代の進化と共に変わるべきものはあると思っています。事実、座奏と立奏では圧倒的に座奏が楽ですし、腰や左手への負担が少ないです。特に長時間の練習を強いられる吹奏楽部では、バス椅子を使用する事で身体を守る事が出来ます。

《16》バス椅子を使う事に慣れません

 《回答》コントラバスを最初に構えたときも慣れなかったはずです。自分の感覚に合った座り方をして練習していれば、いつの間にか楽になりますよ。

《17》インターネットではいろんな奏法の情報があって、どれが良いのか分かりません

 《回答》インターネットから正しい情報を得るのは非常に難しいです。そもそも感覚が大きな割合を占める音楽において、文字で楽器の技術を学ぶ事には限界があります。ネットの情報では、特に匿名のものについては信頼性を疑うべきだと思います。名前を出していない時点でその人は責任を負っていません。
 後は名前を出している人が普段どのような活動をしているかを見て、自分が信頼できる奏者・情報かどうかを見極めましょう。忘れてはならないのは「タダほど怖いものはない」という事です。

《18》スピッカートをすると弓が跳ねすぎてしまいます。太い音を出しつつ一定のテンポで跳ばすコツはありますか?  

 《回答》プロのレッスンを受ける事が上達への一番の近道だと思います。一応言葉で記すなら、跳ねすぎるという事は弓をコントロールしきれていないと思われます。右手の指先、手首が固まっていませんか?手先を柔らかくして指先で弓をコントロールする意識を持って練習してみて下さい。
 それから、弓を縦に跳ねるイメージで弾くと音が細くなるので、弦を横に振動させるイメージで弾いてみて下さい。小さい音は指先でコントロールし、大きな音は腕全体を振り子のように振ると良いです。いずれにしてもスピッカートでクリアな音を出すよう研究・練習していけば、大きな音や一定のテンポで弾く技術は後からついてきます。
 スピッカートは習得に時間がかかる技術なので、とにかく反復練習が良いですよ。ベルリン・フィルの奏者などはスピッカートをたくさん使っているので、ぜひ動画を参考にして下さいね。
     
《19》部活で弾いていますが、音量の幅がいまいち足りない気がして…おすすめの練習法や筋トレはありますか?

 《回答》音量については《3》を読んで下さい。それから筋トレについては《5》に書いてあるように、楽器に必要な筋肉は楽器の練習で身につけましょう。私もジムでトレーニングをしていますが、あまり筋肉がつくと音色が硬くなるので、体力維持のランニングと体幹トレーニング程度にしています。    

《20》ピツィカートの早弾きのコツが知りたいです… チャイコフスキー4番3楽章のテンポでffを要求されて困っています…

 《回答》僕も知りたいです 笑 これに関してはとにかく練習するしかないと思います。エチュードをピチカートで弾いてみるなど、いろんなバリエーションを練習しましょう。使う指の本数も、1本指、2本指と自分にあった弾き方を研究してみて下さい。チャイコフスキーの4番3楽章くらいなら、しっかり練習すれば1本指でも十分出来るようになりますよ。

《21》中1の女の子が正しいポジションで正しい音程で弾けるようにするために、何をやらせれば良いでしょうか、、 単純に握力が足りてないのも原因だと思うのですが、、、

 《回答》そもそも体格的にコントラバスに合っていないと言ってしまったらお終いなのですが・・・・ バス椅子に座って弾く事で左手への負担はかなり軽減されます。それから、ハーフポジションでスタートするのではなく、第3ポジションくらいからスタートすると指に負担をかけずに練習出来ると思います。コントラバスを担当する生徒さんを選ぶときは、①左手が大きい、指が長い ②背が高い の順番に選考されると良いです。

《22》楽器にシールを貼るポジションマークについてどう思いますか?

 《回答》別に構わないと思います。ガムテープを貼ったり、鉛筆で指板に書くよりも楽器には優しいです。僕も貼っていますし、プロでも最近は貼っている人が多いのですが、これはあくまでも目印で、実際の演奏中にはほとんど見ません。
 学生さんはシールを貼ったら楽譜を見ないでシールばかり見てしまう人が多いので、これは非常に問題だと思います。楽譜や指揮者、そして他の楽器とのコンタクトなど見なければいえない場所はたくさんあるので、シールはあくまでも目安にしましょう。それから、シールを貼っても調弦が狂えばピッチは合いません。最後は耳を使う、という事を忘れないようにすると良いですね。     

《23》吹奏楽の曲でハーモニクスを演奏すると周りとピッチが合いません。

 《回答》管楽器は基本的にどんどんピッチが上がりますから、合わなくなりやすいですね。ハーモニクスのとき、弦に触れながら少し外側(G線側)に引っ張ってあげると、ピッチを少しは高めにする事が出来ます。それでも合わないようなら、もともと高めにチューニングするか、周囲にピッチを下げて貰うしかないですね。

《24》シフティングや跳躍を速く行うための練習方法はどのようなものがありますか?  

 《回答》シフティングも跳躍も指が弦を滑るように移動するのが理想なので、肘を支点にしたオクターブのグリッサンドなどをやってみると良いと思います。

《25》ハイポジションの3の指でうまくビブラートがかけれらません。良い練習方法はありますか。

 《回答》3の指で普通に押さえられるという前提で、親指を振るようにしてビブラートの感覚に慣れます。それからメトロノームに合わせて四分、八分、十六分、三連符の波でビブラートをかける練習をしてみて下さい。きちんとやれば1ヶ月くらいで成果が出ると思います。

《26》ハーフポジションの重音のコツを教えて下さい。4.2で押さえた時がハモりにくいです。  

 《回答》演奏を見ていないので想像ですが、4の指の押さえが甘かったり、2と4の幅が狭くなっている可能性があります。それぞれの指の位置を確認し、次に4を鳴らしてから2を重ねる練習をしてみましょう。4の音を大きめにするとバランスが良くなると思います。

《27》中1です。コントラバスを始めて3ヶ月経ったのですが、演奏中に左手が痛くなる音があります。親指の付け根辺りが痛くなってしまうのですが、力の入れ方が下手なのでしょうか?慣れてくると無駄な力を入れずに弾けるようになるらしいんですが・・・こんな僕でもうまくなれるのでしょうか?

 《回答》フォームを見ないと何とも言えませんが、痛みが出るという事は構え方などが合っていない可能性は高いですね。最初は高めのポジションで弦を押さえる感覚に慣れると良いかもしれません。あと、バス椅子を使うと左手への負担はかなり軽減されます。

《28》音量の変化が無く平行の演奏だとよく言われてしまいます。音量の幅を広げるための練習はどのようにすれば良いでしょうか。また、スフォルツァンドはどのように弾けば良いですか。

 《回答》音量の幅を出すポイントは右手です。弓のスピードや量、弓を置く場所、右手の重さなどの変化で幅を広げましょう。スフォルツァンドは文字で表すのは難しいですが、これも右手の重さとスピードですね。瞬間的に弦をえぐるようなイメージで弾いてみて下さい。

《29》左手の形が決まりません。どのようにすれば良いでしょうか?それと、高い音を出そうとするとギーッと音が鳴ってしまいます。その改善策を教えて下さい。

 《回答》ごめんなさい、情報が少ないですし文字で回答しきれる内容ではないと思われますので、プロのレッスンを受ける事をお薦めします。
 

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