きみが見た空

ぼくは羽田空港の航空保安検査員だった。

いつも飛行機が見える検査場で

これから旅行する人たちを笑顔でお送りするのが

あの頃のぼくのすべてだった。

笑った顔

涙の顔

キスした後の涙

手を振る影

その人たちの安全を守るぼくらの汗

ぼくはいつも空を見上げていた。

ぼくが見つめた空を同じように

同期入社していたその子も見上げていた。

空は,変わる。

人も,変わる。

でも,あの日みた

きみとぼくが見上げた空,飛行機だけは

あの日のまま,変わらないでいて。

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