やっぱり18000円のチケットは高い

長いので先にオチ書いときます。「18000円はシンプルに物理で高い」。

やっほー、やくざだよ! 急に涼しくなったけどみんな身体の調子どう!? やくざはゲキシネのみすぎで背中がかたまってしまい、死にそうです。みなさんもどうぞご自愛ください。

さて、巷で話題の18000円のチケットについて、現住所ヨコハマディビジョン、刀ステ出の量産型2.5次元おたくであり、3か月の舞台をほぼ毎週末マチソワしていたジャニヲタであり、13000円のチケットを豊洲の海に溶かしまくっていた髑髏党員の私だからこそ、何か言えることがあるのではないかと思い、ひさびさにnoteの筆を執る次第です。お付き合いください。ちなみに現時点でヒプステには6回行きます。多分。

18000円のチケットは本当に高いのか

まずは商業演劇のおたくの人格で話をしますが、そもそも当エントリは以下のツイートの補足であります。

というわけでまず、18000円のチケット代は本当に高価なのか?という話をします。

たとえば。

人情としてはわかりますが、「18000円あったら何ができる?」みたいな話は愚問です。公演チケットは公演チケットでしかないので、よく牛丼に例えられる「○○がいくつ買える」的牛丼算は、単なる論点のすり替えです。そんなこと言ったらiPhone11 Proは13万円超です。あくまで公演チケットとしての相場の話をします。ちなみに関係ないですが、サンデーの全員サービスの安室さんボイスが100こ聞けるRX-7型のなにか(なにか?)は12500円らしいです。

ヒプステが行われる会場はかの悪名高き品川ステラボールですが(悪名についてはまた別の機会に)、今現在、ステラボールでの、主に2.5次元系演劇公演のチケット代の相場は、体感でだいたい一般8000~9000円、プレミアム席で10000~12000円程度。

なお、ここしばらくの公演実績をみると、刀ステ8800円(一般・サイドシート共に)/7800円(見切れ席)、刀ミュ双騎8800円(一般・サイドシート共に)、エーステ7800円(前売当日共全席)、あんステ8000円(一般・見切れ・立見共に)/11000円(プレミアム)、劇シャイ6800円(A席)/8800円(S席)/12000円(プレミアム)などのようです。

つまり、なんとなく「座席のみ8000円ぐらい」がステラボールでの採算ラインとみてよいはずです。

この採算ラインは、公演数やステージプランによる実座席数、席種の有無、他地方公演の有無(統一価格なのか、会場ごとに価格が違うのか)などにもよるので、これだけでは一概にどこが良心価格でどこがケチみたいなことは言えません。そして高額な席種や熱心なファンへのサービス精神から、高いチケットにはグッズをつけてくれたりするわけです。

ここからはちょっとどんぶり勘定になりますが、上記の通りプレミアム席はたいてい「グッズ付き」という注釈がある場合が多く、そしてその多くがパンフレットだったりします。パンフレットの定価は2000円前後。チケット代が12000円の場合は、実質10000円が席料ということになります。参考までに、あんステはプレミアム席11000円(パンフレットと限定グッズ付き)でパンフレット定価2100円。劇シャイはさらに席種が分かれており、プレミアムは「非売品ブロマイド2枚+パンフレット」で12000円、S席が「パンフレットのみ」8800円、A席がグッズなし6800円。パンフレットの定価は2700円となっていました。もちろん原価はもっと安いはずですが、単純にユーザーが購入する場合の定価として考えれば、ユーザーは決して損をしていません。

さて。本題の18000円のヒプステですが。

こちらは席種がありません。「前売・当日共/全席指定/税込」で18000円、そして「オーディエンスキット付」。

このオーディエンスキットとやらが、まあ、いうてグッズなんですけど、その内訳が以下です。

・Rule the Stage -track.1-オリジナルCD(舞台オリジナル楽曲3曲+各インスト3曲、計6曲収録)
・Audience Bag ver track.1(多分よくあるずた袋です)
・Audience pass付きチケットケース ver track.1 ※限定シリアルナンバー付き(多分よくあるチケットケースです)
・Big Audience Tシャツ ver track.1(多分でかいサイズのTシャツです)
・ヒプマイホーン ver track.1(何??????)

…いや、おちょくっているわけではありません。名前がけったいな上ビジュアルが出てないので「たぶんそう」としか言えないだけなんですけど。ちなみにこれ以外に公演グッズとしてなにかが販売されるかどうかはまだ告知されていないのでわかりません。

これらの一般的なグッズとしての定価を考えるため、本体(声優と音楽とキャラ絵のコンテンツとしてのヒプノシスマイクを便宜上本体と呼びます)の公式グッズの価格を参考に想定価格を出しました。

・CD(最初のD別のやつ、3曲+インスト+ドラパ)1800円
・バッグ(公式になかったのでラスカルコラボのやつ…)1800円
・チケットケース(似た商品がなかったので、刀ミュのグッズを参考にしました)1800円
・Tシャツ(いっぱいあるんだけどD別のやつじゃないやつの白いやつ)3000円
・ホーン(公式にあるわけなかった。参考)1800円

(完全に話が横道にそれるんですけど、ホーン、何…となり調べたらあのDJがたまに出すファーンみたいな音を実際出すやつで、スポーツの応援用とかに売っていました)

で。

1800+1800+1800+3000+1800=10200

となりました。ゆーてCDはドラパ入ってないのでもうちょっと安いとみて、まあざっくり10000円としましょうか。

10000円ぶんのグッズがついて、チケット代が18000円。席料8000円ということになります。

そう、みんなわかってたよね、この展開。

普通じゃね?

そう、席料で考えたら割と普通です。じゃあ高いと思う人はなんで高いと思うのでしょう。答えは明確です。

グッズ別にいらねーんだわ。

席種なし、全席18000円(約10000円ぶんのグッズつき)のチケットは高いのか

話は少し戻ります。ここ最近のステラボールでの公演実績にも出てきた、席種についてです。

「サイドシート」は前売でも販売される、注釈付きの座席です。先行抽選では選択できず、前売一般発売で買えることが多いでしょう。見やすいとされるセンターブロックではないことが確定している席ですが、見た感じ特に金額が安く設定されているわけでもないみたいですね。とはいえユーザーは、サイドシートしか残っていなかった場合「見づらいなら行かないわ」という選択ができます。

「見切れ席」は事実上の制作開放席で、設定がなければ当日券に回ることも多いはずです。ちょっと安くして、公演直前に前売してくれるパターンが多いかと思います。遠方からの参加で当券チャレンジのコスパが悪いなど、どうしても前売で買っておきたい人のラストチャンスになることもあります。

…と長々書きましたが、以上のふたつは本題ではありません。本題は「一般」と「プレミアム」です。

突然ですが、私はうたプリのことはミリも知りません(1回劇シャイ観たけど)。知らないながら、劇シャイの席種をみただけで、なんか手厚い制作だな~と感じます。

・プレミアム席「非売品ブロマイド2枚+パンフレット」12000円
・S席が「パンフレットのみ」8800円
・A席6800円

推し役者/推しキャラ(キャラじゃねえんだわ!といううたプリコードの話は今はちょっと横に置かせてください話がややこしいので)が出ているので非売品ブロマイドもほしい→12000円

推しは出ていないが作品が好き、パンフレットは買うつもり→8800円

観れればいい/何度も観る→6800円

という感じでユーザーに選択肢が用意されています。

採算ラインの話になりますが、全席数を合計チケット販売金額で割った場合、平均して8000円で採算がとれるのであれば、一部の席種の価格を高くすれば、一部の席種は安くすることができます。トータルが変わらなければいいので。(逆に高くしっぱなしという手段もありますが、まあそれはそれです)

つまりちょっと高くても絶対に観てくれる熱心なファンに高額出してもらって、そのぶんちょっと観てみたいという人にはお安くしたるという話です。そして、熱心なファンには積んでもらったぶんアリガトナーという気持ちでグッズをつけているわけです。ホスピタリティです。グッズの定価を考えれば客に損はなく、制作側にはグッズの利益分が確実に入ってくる上、特典グッズについては在庫の管理が楽(席数と在庫数がイコールになるため)。100%ホスピタリティというわけではなく、6800円で観れればいいという人が少なくて埋まらなかった場合でも、プレミアム席が売れてれば多少リカバリーができるという良さもあります。全部含めると、ちょっとだけ制作に利があるwin-winです。

これは完全に穿った見かたでうたプリのファンの方に怒られそうですが、うたプリは長いコンテンツなので、太客を大事にしつつ、新規や出戻りへのハードルを下げたいという気持ちがみえて、ちょっといじらしさ?けなげさ?すら感じます。

ここまできたらなんとなくわかってくる気がしますが、「グッズ5種付きプレミアム席18000円」は決して高くないのです。

つまり、我々は、

選択肢がないことにキレている

のです。

「特別なファンが購入する特別なサービス」として、グッズ付き18000円のチケットは決して高くありません。むしろお安いぐらいです。プレミアムなサービスとして、グッズや食事、座席位置確約(前方ないしバルコニーなどの座席位置)で18000円の値付けは商業演劇でもそう珍しくなく、法外でもありません。そして我々は、おそらく素の席料が8000円ぐらいであろうことを知っています。

つまり、全員にプレミアムサービスの利用を強要してくるのがなんかウザいのです。

これ、一般(ホーンのみ付)10000円でプレミアム(ホーンとCD付)20000円だったら、金額的にはよりあこぎだけど、ここまで腹立たなかった気がするんですよね。

「ホスピタリティ」とか「いじらしさ・けなげさ」とかもなく、堂々とそういうことしてくるところに、「お前らほんとそういうとこあるよな!!!!!!」というイラッとを感じるのです。

野次馬や一見さん、役者のおたくが怒るのはまあ当然なのですが、お前ら絶対グッズ全買いするやんというおたくも腹立ってるのは、この「そういうとこあるよな!!!!!!」は、ステに対しての気持ちではなく、本体に対しての気持ちだからだと思うわけです。

ちょっと特殊なジャンルとしての「本体」

ここからはTDDギャの人格でお話しますが、ヒプ(本体)には大きく2つの特徴があります。

(1)メインコンテンツが楽曲と声優
(2)2018年夏~秋ごろに、急に売れた

(1)はどういうことかというと、まあ座組的にキングレコード発なので当然ちゃ当然なんですけど、一番のコアコンテンツである「音楽/ライブ」以外はほとんどアウトソーシングであるということです。

おたくがコミカライズを気に入らず散々怒っていたことは外野の人でも記憶に新しいことと思うんですけど、あれがその、なんというか、言葉を選ばずざっくりいえば「さては本体くん、音楽以外に興味ないな……?」ということがわかってきた最初のイベントだったからなのではと思っています。

本体くんは自分の本分についてはめちゃくちゃいい仕事をします。招聘アーティストをはじめとする楽曲制作陣の熱意と、声優のサービス精神と、それをまとめるキングのディレクション能力から本体は成り立っているのです。

ただ、そこ以外に割くリソースはねえという空気もビンビン感じます。笑

要は音楽以外は全部、グッズと同じライツ(権利)ビジネスなんですよね。舞台もそのひとつにすぎず、おそらくゲームもそのひとつだと思います。コミカライズがああだったので、アウトソースしたものについての本体くんのセンスに期待できないと思っているおたくは多いはずです。

そして(2)はどういうことかというと、今動いているデカめのコラボ(ピューロ)や他媒体コンテンツ(スマホゲームや舞台、ラジオ、へたするとコミカライズも)は、おそらく2018夏以降に立ち上がった企画であろうということです。

ここは2.5のおたくという人格で話をしますが、今現在、「そこそこ売れてる2.5次元系俳優」を、稽古+本番で1〜2か月程度拘束される舞台に、確実にキャスティングしようと思ったら、おそらく2年から3年ぐらいは先をみておかないと厳しいのではないかと思います。もう来年の夏の予定出てる人いっぱいいるし、まだ出てないものも含めればもっと先まで決まっているはずでしょう。さらにこの会場不足の昨今ですから、出てほしいキャストと会場の空きが運よく重なるのを祈るしかない。

めちゃくちゃ憶測ですが、ヒプステはたぶん、2018夏以降に会場をおさえてキャストを決めてってしなければならなかったのではないでしょうか。メインキャスト6人の中でも目立つキャリアのある3人(高野くん、あらんちゃん、水江ちゃん)にしたって、2018夏の時点でちゃんと名が売れていたのはおそらく主演の高野くん(2017年から刀ミュやってる)だけ。水江ちゃんはいまや人気俳優さまですが顔を売ったのは2019年1月からのエーステだし、あらんちゃんがいる7ORDERが活動を始めたのは2019年5月、そもそもジャニーズをやめたのが2018年11月末です。

キャリアのない役者さんが悪いという話では決してなく、要は、このへんからも「準備期間短かったんかな…」という感じの事情が推しはかれる、という話なのです。

人格がTDDギャに戻りますけど、はやりすたりの早い業界でございますから、「今!鉄を!ホットなうちに殴打!」というテンションになりがちなのは仕方ない。しかし、急ごしらえ&アウトソーシングのセンスに不安がある本体くんゆえ、一番つっこんでくれるはずの本体のおたくが最も及び腰になるという事態を招いたことが、18000円のチケット当選しまくり事件の裏にあったことはいなめないと思ってます。

すべての人間に等しくふりかかる18000円

いろんな人格が入れかわりたちかわり出てきてしまいましたが、「演劇が好きなのでみにいく」「2.5次元舞台が好きなのでみにいく」「役者が好きなのでみにいく」「キャラが好きなのでみにいく」「原作が好きなのでみにいく」いろんな人格が私の中にいるわけです。というか、まあ、世の中には、いろんな動機でみにいきたいと思う人がいるわけです。今回で言えば、「ヒプが好きなやくざ」「サマが好きなやくざ(やくざだけに)」「なんかおもしろそうな2.5次元が好きなやくざ」「辞めジュの転生後を見守りたいやくざ」と4人くらいいるわけです。

でね、その、すべての人間に等しくふりかかるのが「定価18000円」なんです。

何度も言うけど、10000円と18000円がある中から選んで18000円のチケットを買うのと、全席指定18000円なのは、かなり違う。

しかも、18000円って、絶対的価値としてかなり高いでしょ。これが相場3000円のものを8000円だったとしたら、たけーな!?でもグッズついてんだな?って笑いながら行くかもしれないけど、シンプルに高いんですよ18000円。牛丼算したくなっちゃうぐらい高いんですよ。そしてその気持ちを2文字であらわしたら「貧困」になったんですけど。

「推しの俳優出るけどヒプのことは知らんなあ」とか「本体くんのこと信用できんけど推しディビジョンが出るのか……」とか「よく知らんけど面白そう」とか、買う理由も買わない理由も無数にあるわけで、しかしそれら全てに対して「でも買わない」という最後のひと押しになる程度にはシンプルに高いんだわ18000円。それが一番「買わない理由」になり得るんだわ!なんなら買ってるやつにとってもたけーんだわ!!!!!!(笑)引き落とし額ぞっとすんぞ!家賃か!?

みんながもっとお金持ってたらこんなに怒らないし、役者や原作のおたくで「いかねーわ!」って言ってる奴も「文句は観てから言う」とかおたくの常套句を吐きながら試しに買ったと思うんだよね……。そう思うと、やっぱり、シンプルに高いよ18000円。

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