道行きの相棒 ~ 2022年劇団☆新感線 42周年興行 春公演 いのうえ歌舞伎『神州無頼街』

草臥「だったら、相棒が要るんじゃないのかい?」

そうなのだ!!!世界には相棒が必要なのだ!!!!!

今から4年と少し前、俺たちを散々狂わせた髑髏城の七人season月で、背中合わせでありながら決して交わらない上弦の月と下弦の月だったふたりを相棒に仕立てた公演が、まあいろいろあって、発表から二年ほど遅れてようやく上演された。その事実だけでまずおしっこちびりそうだし、おたくは元気にドッグラン駆け抜けてしまうというものよ。桜舞う中大阪で初デストロイし、富士の裾野でもデストロイし、大阪2ブロック+静岡1ブロック終わったところで久々にゲキシネで上弦を浴びて今です。やっほーみんな、やくざだよ!この公演に関して何か書くときに「やくざだよ!」って名乗ると含みがありすぎるけど実際やくざだから仕方ないよね。以下かなりネタバレなので東京公演観る予定で絶対何も知りたくない人は避けて通ってね!

月で天に背いた二人が新たに背負わされた運命が「運命に逆らうという運命」だったのは、いやいやさすがに、さすがに!笑 さすがにだよかずき!!!笑

最後まで友人の命を救えると傲慢にも信じていた子に「狼蘭族」という運命を、最後まで地の男であることを捨てられなかった人に「御庭番」という運命を。それぞれに与えられた運命に背いて、「医者(不殺の殺し屋)」と「口出し屋(抜け忍)」として自分の望む道を歩き出す。「宿業に打ち勝つ」というのはかずきの常套ではあるものの、だいたい命と引き換えだったり大事な人と引き換えだったりしていたものですが。もちろん今作でも、父や昔の仲間と引き換えではあるのですが。

冒頭の「相棒が要るんじゃないのかい」は、自分の昔の因縁と向き合うための旅の相棒のことだけれども、やはり己の運命に逆らう道行きには、相棒が要るんだよな。戯曲のあとがきは「なんで敵じゃなく相棒になったのかは覚えてない」みたいな書き方だったけど、私は月髑髏のことを「捨之介が霧丸という新しいバディを手に入れる話」だと思ってたので、なんとなくそのイメージに引きずられているんだけどかずきはどう?(どう?とは)

いやそれにしたって!!!それにしたってだけどね、あのラストはさ!!!!!!笑

というわけで、まあ、初日の感想です。

派手で下品でけばけばしくてうるさくて。どこも正気じゃないしケレン味しかない。最高。俺たちの新感線、さいこう。ヤクザの国を作るとか言い出して、えっわたし、国民…ってコト!?てなっちゃった。帰省っつーか帰国。

あと、オリックスだとふーまもがいるだけでちょっと舞台が狭く感じた笑 尺が長いし幅とりすぎるんよあの二人。

一番好きなシーンはここ。

「無頼の宿のろくでなしどもー!!!!」
\オーッ!!!!!/

ってやりたい。私もやりたい。\オイ!/\オイ!/って拳上げたい。賭場の揚羽ちゃんマジ最高かわいい、賭場で踊ってる時も一人だけ全然エッチじゃなくて最高。主演バディとりあこ次郎長親分を除いたら、好きキャラは圧倒的に揚羽ちゃん。ピンクの髪と、お袖についてる立体ちょうちょが可愛いよ~!

あと好きなのは犬吠三兄弟。三人じゃ足りない。十人ぐらいいてほしい。

以下バディ二人の感想。あとの子たちはいずれ…いずれ書く…かも…。

永流

不殺の狼蘭族が父殺し、役満あるだろオラッ!て感じなのに、ふーちゃんが健やかすぎていまのところ全然闇を背負ってる感がないんだけどwwwww とはいえ今日上弦を見ていて「そうだった、この子、絶対に闇堕ちできない属性なんだった…」と思い出してちいかわみたいな顔になった。どんな暗くて深い穴の底に突き落としても悲嘆に暮れても運命が闇堕ちを許さない男、それがふーちゃん…。

いやさ~もう夫婦が怪物すぎて完全にみにくいアヒルの子になっちゃったんだよな永流くん。笑 そこが揚羽と響き合ったのだろうけど。殺すことと生かすこと、運命から逃げたつもりで囚われていること。草臥の対として凶介が置かれていたから永流の対は父だと思ったのに、結局夫婦は完全に二人の世界で笑 永流の対は揚羽だったっていう。初日に思わず「うせやん!」て言った。

以下おまけ。

・なぜか新感線に黒髪サラツヤストレートロングヘアのDNAを植え付けられるふーちゃん、オモロがある。触覚にてぐすついてる。なお夫婦の回想シーンで後ろに下がっていくところ、ロングヘアかきわけポイントです。

・新感線の中で西野七瀬さんと同じ箱に入ってんのおもしろすぎる。箒衆に指ハートするながるくん、好き。

・身持ちが硬い。チラリズムがない。白衣装がプリキュア。裏地がなんかかわいい。ピンクのお花柄。お化粧はざっくりいうと青シャドウなんだけど、2幕冒頭のすごい綺麗な状態の顔じっと見てたらリップがきれいに塗ってあってニコニコしちゃった。ふふ。

・立ち回り、長ものの回し方と裾捌きに生産者の顔が見える(上弦天の中の人さんの「私が育てました」)。

・初日は全員「段取りです!」って感じの殺陣だったけど、ふーちゃんは六天斬りに続いてまた異常に段取りが多いんだよな~。アタッチメント部を変えるのが結構大変そう。気にならないようになるだろうか…いやならんな…あれは技術の問題じゃないわ…倫也の急急如律令と同じだわ…。

・大阪2週目に見たら、特に誰とも息あってないんだけど棒ぶん回す速度だけいきなり爆速になってて元気かよwwwwwwwってなった。おもしろかった。

・静岡では速度はゆっくりめに戻ってたけど芝居で結構遊び始めていて、無頼の街でそうがくんが歌ってるときに後ろでつられて踊ってるとこ、壁に頭ゴンゴンしててわりかし奇行。笑(これは大阪でもやってた) あと聴診器出してきたりとか。あそこはかなり好き勝手遊びポイント。

・お芝居の変遷、父を倒すくだりで感じるものの表現が微妙に変わってるけど、私が見たなかの最新版は笑っちゃってるやつでした。そこからハッとして絶望してウワアアアアンてなるとこは屈んじゃうから見えないことも多そう。

・衝撃のラスト(笑)ですが、音楽鳴ってセンターに二人で立ったところで赤子をギュ~ッとして頬擦り破顔一笑、ありえんくらい可愛くてそれまでの感想忘れるからやめてほしい。うそやめないでくれ。本当にかわいかった。

・ところであの赤子、最初の無頼街で賭けられそうになってる子?

草臥

明るく派手で軽妙洒脱、口八丁手八丁。あとふーちゃんと正反対の巻き毛DNA笑

今回まもはめちゃくちゃ歌が多いけど、基本的に草臥くんの「口出し屋」アビリティの発露としての歌なところがいいよね。口出し屋と鳴り物になんの関係が?と思ったが、口がうまいことの表現として歌になるの、良い。琵琶法師ってより吟遊詩人だけど。笑 だけどそしたら、だからこそ残してほしかったな~~~削られちゃったファーストシーンにあった草臥の口上。

だけど凶介と決着をつけるときは、口出し屋として鳴り物を持つのでなく、御庭番として刀を握らないといけなくて。六天斬りしてた男に向かって「お前は自分の小ささを認められないほど小さい男だ」って突きつけるの、ほんと…そういうとこだぞ!!!笑

ちなみに草臥が御庭番を抜けたの別にヒマだからやめたわけじゃないよね?笑 いやまあ、一生このまま…って思ったのは本当だと思うけど、むしろ本当にお役目が来たらどうしようって怖かったところ、絶対あるよね。それで「のんきに鳴り物担いでブラブラ」しながら人の役に立ったほうが性に合ってたって、本当にただのいい奴なんだよな…笑

常にながるくんを定点してるから実は草臥が何やってるかあんまり知らないんだよな…だからおまけなし。まも疲れてくると芝居が派手になることない?笑

余談:好きな曲は次郎長口説き(笑)のときの棺桶のやつ。あとまも関係ないけど「しーごとーはイジメかも♪」のやつ圧倒的に好き。

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