いま考えていること

現場のおたくのみなさま、健康ですか? 私は幸いすこぶる健康です。いやー。ひまだね。最近はもっぱら島に逃避していますが、島がなかったら病んでるね。

あれもこれもそれも中止になって、払い戻して、でもなぜか新たに発売されるチケットを買って、また席番を見ることすらないまま払い戻して、ということを繰り返すの、控えめに言って賽の河原みがある。買うほうも買うほうだけど、売るほうも売るほうだ。そりゃあ何年も前から準備して、心血を注いで作って、熱を入れて稽古してきたものを届けられない中の人たちのほうが悔しくつらいと思いますが、もうかれこれ2か月というところまできた今、それを聞かされ続けているおたくのほうもなんかこう、スーーーーン……みたいな感じになってきている。いちいち寄り添っていられなくなってきたというか、おたくですら「正直それどころじゃないよね」みたいな感じになりつつある昨今、みなさま自宅でいかがお過ごしでしょうか。

先の展望なんか何もわかりませんが、わからないからこそ、最近よく夢想するのです。ふんわり収束?終息?したあとに一体どんな世界が広がっているのか。少なくとも2020年3月以前の世界には戻らないとして、その先には一体何が? 私はどんなおたくでいられるのか?

…という夢想のメモ書きをならべました。主に2.5系の若手俳優周辺について考えています。アイドルとかアーティストとか映像系俳優さんとか女の子とかはちょっと事情が違うと思うので、読むときはそのへんお含みおきを。


(1)チケットリセールサービスの基本導入

制作は、これまで意図的に無視されてきた「急に都合/体調が悪くなってしまった」という存在を無視することができなくなるでしょう。たとえば6月以降の公演が実施されたとしても、しばらくは感染症対策の一環として、無条件での払い戻し対応をしながらになるのではないかと思います。いつどの地方に外出自粛要請が出るかわからないし、「ちょっと体調悪いけど返金されないから来た」という言い訳を制作側はつぶさねばなりません。

そうするとどうなるかというと、「払い戻しによる完売公演の空席化」が起こります。たとえばあるユーザーが払い戻しを選択して当日劇場に行かなかったとしても、払い戻し有効期限は公演後まで設けられていることが多いので、その場では「遅刻」なのか「払い戻す予定の空席」なのか判断ができません。そのため払い戻し分を当日券として再販売することは、通常では不可能です。当日券として販売するには、少なくとも前日までに払い戻しの意思を制作側に伝える必要があります。しかし当日窓口精算の取り置きチケットならいざ知らず、前売り発券入金済のチケットで「当日劇場窓口に電話連絡」などという運用は現実的ではありません。

そこで最も有効と思われるのが、一部公演(*1)で採用されているリセール(トレード)サービスです。多くはアプリなどのシステムを介して、チケットを前日までリセール登録し、希望者は最遅で当日0時まで抽選・購入することができるサービスもあります。このスピード感がないと、おそらく「完売公演の空席化」は避けられないでしょう。このサービスを利用しつつ「リセールが成立しない場合は改めて払い戻しを行ってください」という形での導入が、最もロスが少ない券売方法ではないかと思います。

ただし、これはあくまで「券単位」でのロスが少ない方法なので、前売完売しない公演ではリセールサービスを導入するコストのほうがロス分を上回る可能性もあります。あくまでも大手、かつ人気の完売公演に限った施策になりそうです。

(2)大箱の換気性能向上

ホールは、これまで以上に「換気性能」に対してのアピールが必要になるでしょう。おそらく換気に関してのスペックが一般化され、大箱(1000人クラスの劇場・ホールやアリーナなど)は実証、実験をし、満員の状態で換気が十分に行われることをアピールする必要があります。条件を満たさない場合、すべてのチケットを売ることは難しくなる(=満員にはできない)かもしれません。会場施設は改修も視野に入れて検討することになるでしょう。

(3)チケット価値の2極化

ユーザーは「行く価値」を大幅に見直すことになるでしょう。財布のひもが固くなるだけではなく、感染の危険を冒してまで劇場で観たい作品なのかどうか、ユーザーのジャッジはよりシビアになります。

特にここ数年は「2.5次元バブル」ともいえる状況がありました。多数の公演が乱立し、ユーザーの観劇に対する敷居も低くなり、ゲームやアニメと同じひとつのメディアミックスのプラットフォームとして「演劇」が扱われるようになりました。しかしいわゆる「3密」リスクが高い劇場に、大都市に赴く必要のある「演劇」は、<手軽さ>で完全に負けます。「演劇であること」そのものに価値を見出している演劇ファンではなく、ある原作コンテンツのひとつのメディアミックス展開として「演劇」をみたとき、原作コンテンツのファンに今まで通り選択され続けるかどうかは疑問です。バブルに乗っかって乱発していた企画のうち、それでもペイできるほどに客席が埋まるコンテンツは、一体どれだけあるでしょうか。

しかし一方で、開催確定公演チケットは高騰し、転売市場は再活性化するでしょう。キャストやキャラクターに価値を感じているファンにとっては、いつ中止されるかわからなくなれば、「その日の」「良席の」チケットはより価値が高まります。逆に「やるかわからない」「クソ席の」チケットには誰も手を出さなくなるでしょう(良席なら「ワンチャンあるかも」程度でも手を出す人間はいる)。転売を禁ずるのがいかに難しいかということはマスクを通じて多くの人が知るところとなりましたが、狭い世界での転売行為は激化すると思われます。中止になったときの払い戻しを巡ってのトラブルも増えることでしょう。

(4)「積み」文化の死滅

コンサートや演劇の公演が実施されたとしても、いわゆる「握手会」や「お渡し会」「チェキ会」など濃厚な接触を伴うファンサービスイベントが復活するにはさらに時間がかかるでしょう。特に、密閉空間でのおしゃべりや宿泊を伴うバスツアーに関しては、復活は数年単位で見込めないのではないかと思います。CD・DVD・カレンダー・写真集などのリリース記念イベントの類はトークショー形式が増えていくのではないでしょうか。

そうなると同時に、写真集やCDの「積み」文化も衰退していきそうです。「1枚で握手・3枚でチェキ」のような特典の設定にそもそも無理が生じますし、握手やチェキと違ってトークショーは無限ループできません。もちろんさまざまな信念のおたくがいるので一概には言えませんが、おそらく多くのおたくは「写真集を100冊買う理由」を失うはずです。

ちなみに、そもそもチェキを自粛したりしない地下などに関してはまったく別の力学があるのでこの限りではないでしょう。大型握手会もきっとまた別の事情があることと思います。上記は主にHMVとか福家とかアニメイトとか、CDショップや大型書店でやるタイプのイベントの話です。

更に余談としては、電子書籍や音楽配信での流通も増えているはずですが、通常データは積むことができません。1アカウントで買えるのは1回だけ。YouTubeの再生数のようなものはおたくが自分たちの矜持として水増しすることはできますが、誰が何回再生したかは可視化されませんし抽選に有利になったりもしないので、「積み」としてのマネタイズは難しそうです。


飽きてきた


(5)新規企画の凍結

時期やキャストが未発表だったものは、未発表のまま凍結される可能性が高いです。単純に、予算とスケジュールが破綻してバラしになる企画も増えるかもしれませんね。しばらくは再演、続編で食っていくことになるでしょう。

(6)予算が減る

低予算でも作る、低いギャラでも仕事を受けることが増えるでしょう。キャストも裏方も、言い方は悪いですが「ワナビジネス」の世界なので、なり手がいなくなることはおそらくありません。しかし生活がたちゆかなければ続かないので若いうちにやめていき、技術は育たないなどの弊害もありそうです。しかも相場がわからずクソみたいなギャラでも受けてしまうかもしれません。そうして現場がランサーズ化した結果、おたくがクソ現場に当たる確率があがるという最悪の流れ、あり得る。

(7)事務所がつぶれる

制作会社もさることながら、芸能事務所もあっさりつぶれたりするでしょう。もしくは契約を切られる。個人事務所レベルのところは逆に無事だったりして、中堅どころの事務所のほうがやばそう。そのまま辞めちゃう子あり、他に拾われる子あり、フリーになる子あり、逆にフリーだった子が大手に拾われたりもする可能性も。


疲れたのでこのへんでおしまい。明日は森アプデだね!たのしみだな!(現実逃避)


*1 そうだね、ヒプステだね。他にもあるけど。笑

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?