見出し画像

20年、ずっと仕事を中心に生きてきたけれど…

大学時代に付き合っていた元彼と近所のスタバで20年ぶりに偶然会って、少しお茶をした。「この20年何してた?」と聞かれた私は、20年を咄嗟にうまく要約することなんてできなくて、苦し紛れに出てきた言葉は「ずっと働いてた」だった。

ずっと働いてた。

女性誌の編集者という、自分の好きなことと近い仕事に就いたことはとても幸運なことだった。ファッションや美容、ライフスタイルについての企画を考えることも文章を書くことも、自分には向いている仕事だと今でも思う。

だからなのか、いつだって仕事が中心で、そのほかは「だって仕事だから」の一言で蔑ろにしてきた、ずっと。
自炊ができないことも、観葉植物がまた枯れちゃったことも、冷蔵庫の野菜を毎回腐らせてしまうこともデートの時間に遅刻することも、仕事のためなら仕方がないことと信じて疑ってなかった。

だけど、、、。

2020年の春、1回目の緊急事態宣言が出たとき、仕事はほぼストップしていて自宅待機となった。多くの人と同じように、なるべく家から出ないようにして、家の中で料理をしたり掃除をしたり植物を育てたりと、不安な気持ちに包まれながらもゆるやかな生活を送っていた。
運動不足解消のために、朝早起きして近所を散歩するのがすごく気持ちよくて、不謹慎ながら、ずっとこんな暮らしを続けられたらいいなと思っている自分もいた。

私は、ひとつひとつの家事を丁寧に楽しむ地味な生活をしているときが一番穏やかで楽しくてクリエイティブになれるということに、このときから薄々気がついていた。

ずっと仕事を中心に生活することが正しいと信じて疑わなかったけれど、これからは暮らしを中心に生きていってもいいんじゃないか?

これは私にとっては大きな発想の転換だ。

暮らしを成り立たせるために必要なだけ仕事をし、自由時間を潰してまで稼げるだけ稼ごうとはしなくていい。その代わりライフコストを見直して、身の丈に合った暮らしにサイズダウンすることも大事。

犬のおやつも手作りしたいし、パジャマのボタンをつけたり、洗濯の研究をしたり、ハーブを育てたり、一汁一菜のごはんを作ったり、仕事関係なく好きなイラストや文章を書いたり……。

そういう私の好きなことをする時間をもっともっと増やしたい。だから今、そのためにできることを現実的に模索している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?