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イニシャルR.K

初めて付き合った彼氏は、LUNA SEAが大好きだった。

とにかくRYUICHIに憧れていた。

「自分の息子の名前は『隆一』にする!」と言っていた彼は本当に息子の名前を『隆一』にした。

私のイニシャルがR.Kで河村隆一と同じだったので「俺と結婚したらR.Yになっちゃうから結婚しない方がいいかもしれない…」と真顔で言っていた。

そんな彼と別れて数年後、私の両親が離婚した。

クグリからゴジョウに苗字が変わった。

クグリという苗字がかなり気に入っていたのでゴジョウになるのはマジ勘弁だった。

母に「苗字どうする?」と聞かれたが「ステイで!」と即答。

しかし数日後、ゴジョウに変更されることが告げられた。

「ゴジョウか…」

『ゴ』から始まる苗字なんて億パー『ごっちゃん』になるじゃないか。

『ごっちゃん』とだけは呼ばれたくない!

しかし『クグリ』の時代からあんまり下の名前で呼ばれるタイプではなかった。

『ゴジョウ』になってからできたお友達にドバシさんというとっても可愛い加藤夏希似の女の子がいた。

ドバシさんは「濁点から始まる苗字はダメだよね〜!」と言っていて『ゴジョウ』に対する嫌悪感の正体が少しだけわかった気がした。

同じ悩みを共有する友として私はドバシさんのことをファーストネームを文字って呼んでいるが、ドバシさんは私のことを「ごっちん!」と呼ぶ。

『ごっちん』はもうほとんど『ごっちゃん』だ。

こうして私は『ごっちゃん』の呪縛に囚われ、イニシャルはR.Kではなくなったのである。

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