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怪談・THE私41team100モノ

※寄せ集めた怪談です。

メンバー。

解滴 榾建ときしずく ほたて

心霊現象は嗜む程度だが、自覚なく怪奇現象に見舞われている。
怪談は恐らく実質ノンフィクションである。
女子大生。

獬焼 依奈巾かいやき いなは

スポーツ好きの男子高校生。
浮気性で様々なスポーツを楽しむ。
口癖は「俺〇〇極めた。」
クラウドファンディングで心霊番組に協力するほどのホラーファン。
怪談は慣れてないからか、スポーツ関係の実体験での話が怖さをかもし出している。

ワデス竿翔冠さおとめ

自称ハーフの欧米出身男子中学生。
本名不明。
何処から聞いたのか00年代のホラーよりな話が多い。
呪いをかけているつもりはないのに相手の負の予兆を直感で分かるからかあだ名は「呪詛師」
恨みの相談を頼まれることが多い。

惰鯛 船護たいた にっく

映画に影響された家族に見切りを付けて早くから双子の姉と共に二人暮しをしている女子高校生。
決して暗い性格ではないのだがやたらと怖い体験が多く、そんなに仲が良くない姉と怖い話の時だけ盛り上がる。
最近は話す練習のために怪談を始めた。

惰鯛 筏船たいた ごふ

船護にっくの双子の姉で女子高校生。
妹と仲は悪いが「自分達に大した財産ないし親族の介護もしたくない気持ちは一致してるからからいいじゃないか。」
と若いうちから未来の準備をしている。
それでもおじいちゃん、おばあちゃん子で年配者から聞く令和の怖い話を多く持つ。
手続きさえしっかり終わればある決断をするつもりでいる。

プロローグ:蘇ったのか?


 寿命が尽きた。
その先の物語は全て生者の壮大な作り話であり、概念と共に変わるだけ。

 人里離れた屋敷に四体の「かつて生者だった」名も籍もない者たちが集まる。

 しがらみもないし、生命維持の必要も無い。
ただリスクを伝えるのなら

 『霊体は本当にあった』現実だ。
彼ら…性別は生前のものでしかないがこの場にいる四体にとって全ては計算外だった。

「やっと生き地獄から解放されたのにまさか次は生殺しとはな。」

「天国も地獄も創作か。
分かってはいたけれどここに留まるのもリアルなわけだ。」

「恨みや未練があるからと、昔の人ならそうやって教育目的を理由に霊の事を伝えたのかもしれないね。」

「いいじゃないか。
もう人間や蚊とか、そういう生き物になることもない。」

 怨霊だとか、地縛霊だとかそんなものはなかった。
だけれど浮遊霊でもない自分達はなんとか歩き続けて廃墟となった屋敷に集まった。

 もう霊感がある人間からも見られることはないが他の人間と出会うのも嫌だった。

 死因は誰も語る事はない。
おおよそ検討がつきそうな者もいるが追究や言及なんかしない。

ある程度話して分かったことは

「自分達は確実に死んでいること」

 ただ霊体として自分達が存在している以上、本来なら解き放たれた不安が流れ込む。

「霊体があるのは嘘じゃないのなら…俺たちはこれから本当に輪廻転生?やら何かがあってまた人間生活か何かさせられるのか?」

 そんなものあるわけが無い。
みな一蹴してやりたかった。

 だけれど死後の文献なんて宗教や占いを含めても誰も未踏過ぎて記録は生者に任せるしかない。
古来の人間が捻った創作が本来起こりうるわけが無い。

「そりゃあ、もう地球上で生を謳歌したいなんて思わない。
けれど自分達は死んだ後も生前と同じ姿。
輪廻転生があるのなら霊体なんて残らないはずだよ。
記憶も何もかもないまま、別の生をやらされるだけ。」

 確かにそうか。
ならもう寿命がなく、死ぬことも出来ない第二の霊体人生なんてあまりにも残酷だ!

 すると一人の女性霊が彼の肩に触れる。

「不安なのは分かる。
けれど霊体となったのはあなた一人だけじゃない。
皆、この先どうする?
お金も料理も何にも楽しみがないわけだけれど。

 だからこその死後の現実にいる。
口数が少ないもう一体は屋敷の椅子に座り、何かを飲む仕草をしている。

 自分達と似た若さでいるが恐らく何年か前の霊なのかもしれない。

 そういえば…自分達の霊としての姿って本当に生前のものなのだろうか?
もしかしたら死んだ後にゲームのアバター変更的な何かをしてきたのかもしれない。
役所みたいな手続きや閻魔大王にも合わなかったから。

「地獄道だとか極楽だとか。
本当に人間の創作意欲って素晴らしいな。

それでも、生み出した人達って幸せな人生だったのだろうか?」

 生前のように何かを飲む仕草をする仲間が一瞬脳を揺らし、反応する。
それで答えをなんとなく察する。

「この屋敷の童子として、後世に古き良きホラーを体験してもらう?」

「そんな面倒なことされたら屋敷に管理者がやってくるかもな。
若手ではなくて、中年のおっさんがライトを照らしてぶつくさ文句を言いながら夜の屋敷を管理するだけ。
今どき死者にも居場所は無いのかもしれない。」

「訳の分からないNPO法人が死後にもないだけ充分じゃない?
ま、死んだらその時の記憶はないままどこかでさまよってるのかもしれないけれど。」

 やはり生前は楽しい経験は少ないようだ。
自分達は。
苦しいことも忘れられていいけれど、今後どこを彷徨いてしまおうか。

 四体の霊は死後の現実を生前よりも前向きかつ様々な方向で観察しようと屋敷で考えていた。

 いいね。
争う必要も何も無い関係というのは。
生前でそれが成り立てれば良かったのに。
口にはしないが四体の霊達は会話しながらどこかの片隅にしまった。

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