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怪談・THE私Ver.2

※誰かから聞いた話です。
余りにも現実離れしていて、私は笑い飛ばしてしまいましたが本人が怪談って言うので尊重させて頂きます。

招かざる推し

ある人間関係のトラブルをきっかけに、破滅願望を抱えたゲーマーがいた。
アイドルファンでもあったらしく、よく好きだったアイドルの自叙伝や著書を購入していたらしい。

新調したPCモニターの前でかつて好きだったアイドルの楽曲を聴きながら、倫理観の強要をされる現実に辟易しつつも外では何もなかったように振る舞う毎日の中で、楽しみを見出す術も見つけてしまった。

そんなゲーマーにはある曰くがあった。
ファンになったアイドルは必ずトップへと登りつめる。
本人の力もあると思うのだが、ゲーマーの審美眼は運や縁を凌ぐスキルであった。

それと同時に、ゲーマーが別で肩入れし始めたアイドルは自殺や失踪も多いらしく、ゲーマーはそれを考慮して友人と話す時は誰のファンか訪ねられた時は嘘をついて誤魔化していたのだがその嘘で公言したアイドルがトップに行くのだった。

それ以来、ゲーマーは砂かけする事なく別の趣味へと切り替えた。
乱立したアイドル事務所にSNSで応援していたアイドルの話をしたら目をつけられたからというのもあった。

もういっそ人間でもアイドルでもない存在を産み出した方が哀しまなくて済む!

そう考えたゲーマーは久しぶりにアプリ開発をしていた旧友へ、AIによるエンタメ集団を作れないか頼む事にした。

ゲーマーにとって、その対象はラブドール等の類や別の技術でも良かったらしい。
投票による競争もなく、仕事と括ってしまえば歌、トーク、演技も身につく。

ゲーマーは本が嫌いだ。
年寄りが多くて、画像映えもしないし身体を張らない卑怯なクリエイターという認識があったからだ。

自分は旧友とこの技術に、かつて誰かに肩入れすれば死や不運を招く審美眼をAI開発の為に発揮する事になる。

死をもって生を制す。

この開発が叶った所で昔のようにハマることもなく、富を得てもいつも通り外では多数派、部屋では少数派で過ごすだけ。

開発は運良く成功した。
といっても、β版。

少し付け足しすぎたからか、二次元と三次元の悪さが独特のアート感を醸し出していた。

台詞はインプットしていない。

ただ、そのAIはマネキンのように不気味に動いていった。

しまった!
マナーの悪い連中への対処方法が苛烈すぎた。
それはゲーマーが内緒で仕組んだもの。
旧友は自分のミスだと勘違いしていたのでゲーマーが励ましていた。
偽善もここまでくると名演技に変わる。

目的が定まらないAIは突然姿を消した。

制御不明のまま、破滅願望と防衛機能が搭載されたリアルプロトタイプ。

今も何処かで不運を齎すアートとして歩いている。

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